貴社の強みや特徴を一言で表現
詳しくは、下記リンクより詳細をご覧ください👇
ポリスチレン(PS)とポリプロピレン(PP)は、いずれも汎用熱可塑性樹脂として世界的に大量に使用されている樹脂です。
どちらもナフサをクラックして得られるモノマーを重合することで製造されますが、重合反応や触媒系、添加剤の違いにより最終物性やコスト構造が大きく異なります。
PSはガラス転移温度が約100℃と高く、剛性と寸法安定性に優れます。
透明性が高く、光沢のある外観が得られるため、家電外装、食品トレー、ディスプレイ部材などで需要があります。
一方で耐衝撃性や耐熱性は限定的であり、屋外用途では経年劣化が顕著です。
改質グレードとして耐衝撃ポリスチレン(HIPS)が流通しており、ゴムブレンドにより脆性を緩和できますが、添加量に比例して材料単価も上昇します。
PPは融点が約165℃と高く、耐熱性と耐薬品性に優れます。
比重が約0.9と軽量で、フローレベルを調整することでインジェクションからブロー、シート押出まで幅広い成形法に対応します。
アイソタクティック度や共重合比率により剛性と靭性のバランスを最適化できる点が最大の利点です。
しかし透明性はPSほど高くなく、表面硬度も低いため傷が目立ちやすい欠点があります。
PSとPPの価格差は2024年時点で平均して1kg当たり20〜40円前後、PSの方が高値に位置しています。
以下の要因が複合的に作用し、月ごとに価格レンジが変動します。
両樹脂ともナフサ価格に連動しますが、スチレンモノマーはベンゼン系中間体を経由するため生成コストが高くなります。
これがPPよりもPSが高値で推移しやすい構造的理由です。
PPは自動車、包装材、家電部品など用途が分散し、グローバル生産能力も大きいです。
対してPSは環境規制や代替材シフトにより生産設備が縮小傾向にあり、需給がタイト化すると価格が急騰します。
とくにHIPSは北米・アジアのプラント停止が続くと一気にプレミアムが乗るケースが多いです。
PSは汎用グレードと難燃、発泡、導電など特殊グレードの価格差が大きく、後者はベース比で1.3〜2倍になることも珍しくありません。
PPもガラス繊維強化やエラストマー改質で同様に単価が跳ね上がりますが、母材コストが低いため総額ではPSより抑えやすい傾向があります。
材料決定の初期段階で、単純な樹脂単価だけでなく成形条件まで含めた総コストを把握する必要があります。
PSとPPのトン当たりFOB価格を月次で取得し、為替と輸送費を加味して円建て単価を算出します。
ここに着色マスターバッチ、難燃剤、アンチスタティック剤などの添加費用を加え、グレード別の実質キログラム単価を導きます。
発泡シート用途の場合、発泡倍率を考慮して単位面積あたりの材料使用量を補正することが重要です。
PSは低粘度で金型充填性が高く、射出圧の設定値が低く抑えられます。
これによりサイクルタイムの短縮が可能で、電力量コストが低下します。
一方PPは結晶化冷却に時間を要し、特に肉厚成形では冷却水温度の最適化や金型インサートの導入が必要になる場合があります。
成形ロス率はPPの方が高めですが、リグラインド再利用がしやすいためミルコストを含めた総材料コストは拮抗します。
価格差だけでなく、最終製品の性能要求、加工工程、サプライリスクを多角的に評価する必要があります。
引張強度、曲げ弾性率、衝撃強度、熱変形温度、透湿性などのデータを横並びで比較し、必須要件に対し過剰スペックとなる項目はコスト低減余地と判断します。
たとえば大型家電筐体では、耐熱要求が90℃以下であればPP改質グレードで代替可能なケースが多いです。
PSは寸法収縮率が小さく変形が少ないため、後加工や組立工程での不良率を圧縮できます。
PPはウェルドライン強度や収縮痕が課題になる場合があり、金型修正やゲート位置最適化に伴う追加投資が発生します。
一方、PPはリブやスナップフィット設計が容易で、部品点数削減によるアッセンブリコスト削減余地があります。
欧州では発泡PS食品容器がEPR課徴金対象となり、代替素材への切り替えが加速しています。
PPはモノマテリアル包装の筆頭としてリサイクルインフラが整備されつつあり、LCA評価でも優位に立ちます。
ただし黒色カーボンマスターバッチを使用したPPは近赤外選別で検出できず、リサイクル歩留まりが落ちる点に注意が必要です。
従来は光沢外観を優先してHIPSを採用していた洗濯機トップカバーを、耐衝撃PP+UV耐候マスターバッチへ置換した事例です。
部品単価は5%低減に留まりましたが、成形後の塗装工程を省略できたことで総コストを15%削減しました。
加えて重量が12%軽量化し、物流費と組立ラインの作業性改善にも寄与しました。
高透明PSシート0.35mm厚を、ランダム共重合PPシート0.25mmに薄肉化した医療トレーの例です。
PSよりも剛性が劣るため、リブピッチを調整してねじれ変形を抑制しました。
結果として材料使用量を36%削減しながら、滅菌条件下での寸法安定性を維持しました。
短期的には中東大型PPプラントの稼働によりPPの供給過剰が懸念され、価格差はさらに拡大する可能性があります。
一方、PSは需要減による設備閉鎖が進むことで、特定グレードが入手難となりプレミアム価格化が進むリスクがあります。
製品ポートフォリオを複数の樹脂で設計すること、長期契約とスポット調達を組み合わせて価格ヘッジすることが今後一層重要になります。
また、LCAとリサイクル適合性が調達要件に組み込まれる動きは不可逆であり、PPの機能性向上とケミカルリサイクルPSの実用化が競合軸となるでしょう。
専門家としては、単なる価格比較に留まらず、サプライチェーンの弾力性、環境規制シナリオ、そして最終用途ごとのトータルコスト最適化を総合的に評価し、クライアントへ提案する姿勢が求められます。

詳しくは、下記リンクより詳細をご覧ください👇
You cannot copy content of this page