ポリエチレン(PE)とポリカーボネート(PC)の加工方法と強度特性【業界技術者】

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PEとPCの基礎物性

ポリエチレン(PE)はエチレンを重合して得られる熱可塑性樹脂です。
密度と結晶化度の違いにより、低密度(LDPE)、線状低密度(LLDPE)、高密度(HDPE)に分類されます。
ポリカーボネート(PC)はビスフェノールAとホスゲンの縮合で得られる非結晶性の熱可塑性樹脂です。
ガラス転移温度が約145℃と高く、耐衝撃性に優れることから透明エンジニアリングプラスチックとして用いられます。

機械的強度

PEの引張強さはHDPEで20〜35MPa前後、LDPEでは8〜15MPa程度です。
PCの引張強さは55〜75MPaと高く、HDPE比で約2倍以上になります。
衝撃強度についてはPE(特にLLDPE、HDPE)は常温で優れますが、-40℃以下では脆性破壊が起きやすくなります。
PCのノッチ付きアイゾッド衝撃値は600J/m以上で、低温でも高いエネルギー吸収能を示します。

熱的特性

PEの融点はHDPEで130℃前後、LDPEで110℃前後です。
PCは非結晶性のため明確な融点はなく、ガラス転移温度Tgが145℃であり、この温度を超えると力学特性が急激に低下します。
連続使用温度はPEで80℃、PCで115℃前後が目安です。

代表的な加工方法

射出成形

PEは粘度が低く流動性が高いため、スプルー径やランナー径を小さくしても充填しやすい利点があります。
金型温度は30〜60℃、シリンダー温度はLDPEで160〜190℃、HDPEで180〜220℃が一般的です。
結晶化速度が速いので冷却時間は短縮できます。

PCは高粘度で溶融剪断熱が大きいため、シリンダー温度は270〜310℃と高く設定します。
金型温度も100〜130℃に保ち、残留応力やブリスターを低減します。
ガス抜き不足は銀条やショートショットの原因になるため、ベント構造を十分に取ります。

押出成形

PEではフィルム、パイプ、ブロー成形用パリソンとして広く採用されます。
スクリューの圧縮比は2.5〜3.5が適し、バリアスクリューで出力を高めるとゲル欠陥を抑制できます。
PCは光学用途シートの押出が主流で、二軸押出機+Tダイを用い、溶融温度は260〜300℃に制御します。
シート冷却ロールは鏡面仕上げで艶を高め、ロール温度は90〜120℃が推奨されます。

ブロー成形

PEは中空容器で圧倒的シェアを持ち、HDPEの高分子量グレードは耐ストレスクラッキング性が高いです。
プリフォームを射出後に延伸ブローする2ステージ方式もあり、透明LLDPEが使用されることもあります。
PCのブロー成形は成形温度幅が狭く、肉厚均一化が難しいため高度な温度管理が必要です。

真空・圧空成形

PEは非極性で表面エネルギーが低く、熱で軟化するとやや粘弾性が強いためヒーター温度を高めに設定します。
PCシートは成形前に120℃×4h以上の充分な予乾燥が必須です。
予乾燥不足は気泡や白濁を起こし、機械特性も低下します。

切削・機械加工

PEは軟らかく弾性戻りが大きいので、刃物は鋭角に研磨し、低送りで切削します。
バリ取りはホットナイフやフレーム処理で行うと溶け込みが滑らかになります。
PCは内部応力が残りやすくクラックを誘発するため、水溶性クーラントを併用し低温切削を行います。
切削後に130℃×2h程度のアニール処理で応力解放すると耐衝撃性が回復します。

溶接・接着

PEは熱風溶接、超音波溶着、ホットプレート溶着が実用化されています。
非極性のため接着剤との相性は悪く、表面処理としてコロナ放電やプラズマ処理が必要です。
PCは塩化メチレン系やエポキシ系接着剤で高い接合強度が得られますが、応力割れを防ぐためプライマー処理が推奨されます。
レーザー透過溶着では近赤外領域で吸収材を配合したPCを下層に配置し、上層は透明PCで透過させる設計が一般的です。

強度特性向上の技術

PEの改質

長鎖分岐を導入した超高分子量PE(UHMW-PE)は分子量が300万以上で引張強さ40MPa、アイゾッド衝撃値2000J/m以上になります。
カーボンブラックやシリカ微粒子を5〜20wt%添加すると剛性が向上し、耐磨耗性も改善します。
ガラス繊維とのコンポジットは界面相溶性が低いため、MAPP(無水マレイン酸グラフトPE)をカップリング剤に用いると曲げ弾性率が2倍以上になります。

PCの強化手法

PC/ABSブレンドは流動性を改善しつつ耐衝撃性をさらに高めます。
耐熱グレードではシリコーン変性PCを共重合し、荷重たわみ温度が10〜15℃向上します。
連続ガラス繊維テープを積層したPC-LFT(Long Fiber Thermoplastic)は曲げ弾性率が10GPaを超え、自動車ボディパネルに採用されています。

加工時のトラブルシューティング

PE特有の問題

メルトフラクチャ(表面蛇行)は高せん断域で発生するため、シリンダー温度を10〜20℃上げ、吐出速度を落とすことで低減します。
ピンホールやブラックスポットは樹脂デグラや異物混入が原因で、スクリーンパックを細かくし、ブレンド材料の乾燥状況を確認します。

PCの代表的欠陥

シルバーストリークは水分と揮発分の急激な膨張が原因です。
前述した予乾燥の徹底と射出速度の最適化が必要です。
黒点や黄変は滞留長時間による分解で、シリンダーゾーン温度を下げ、パージ材による定期的な洗浄が効果を発揮します。

用途別材料選定ガイド

医療・製薬容器ではガンマ線殺菌対応のHDPEや透明性の高いPCが選択されます。
食品包装は耐薬品・耐寒性重視でLLDPEが主流ですが、耐衝撃トレイにはPC/ABSブレンドが採用されています。
電気電子部品ではUL94 V-0を満たす難燃PCが必須で、ノンハロ難燃グレードがRoHS対応に有効です。
大型貯水タンクやライナーは応力クラッキングに強いPE100(MRS≧10MPa)を使い、溶接継手部の非破壊検査が推奨されます。

環境・リサイクル視点

PEは単一ポリマーでのマテリアルリサイクルが容易で、メカニカルリサイクル後も物性劣化が小さいです。
ただし酸化劣化で黄変や臭気が発生するため、フェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤を再添加します。
PCは熱履歴で粘度が下がりフローレンジが広がるため、リグラニュレーション時に分子量制御剤を少量加えるとMIを安定化できます。
ケミカルリサイクルとしてグリコール解重合によりビスフェノールAを回収する技術も実証段階にあります。

まとめ

PEは成形加工性と耐薬品性に優れ、低コストで大量生産が可能です。
一方PCは高い剛性、透明性、耐衝撃性を持ち、高付加価値部品に適します。
加工方法を選定するときは、樹脂の熱粘弾性挙動とクリティカル温度域を理解し、適正な金型温度・乾燥条件を設定することが重要です。
強度特性を最大限に引き出すには、コンパウンド添加、繊維強化、アニール処理など多角的なアプローチが有効です。
リサイクル対応も含めて材料選定・製品設計を進めることで、環境負荷低減と機能向上を両立できます。

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