エラストマーと熱可塑性エラストマー（TPE）の選定ガイドと応用技術

エラストマーと熱可塑性エラストマー（TPE）とは

エラストマーとは、ゴムのように弾力性を持ち、高い伸縮性と柔軟性を特徴とする材料の総称です。
その中でも、熱可塑性エラストマー（TPE）は、熱可塑性樹脂とエラストマーの特性を併せ持つ材料で、加熱すると柔らかくなり、冷やすと固まる性質を持ちます。
これはゴムのように加工しやすく、再加工やリサイクルが可能な点で大きな利点があります。

エラストマーの種類と特徴

エラストマーの種類は多岐にわたっており、用途や必要な性能に応じて選定されます。
一般的なエラストマーには、天然ゴム（NR）、合成ゴム（SBR、NBRなど）、シリコーンゴム（SR）、フッ素ゴム（FKM）などがあります。
それぞれの材料は、耐熱性、耐薬品性、耐磨耗性、電気的特性といった、異なる特性を持ち合わせています。

熱可塑性エラストマー（TPE）の種類と特徴

TPEは、ゴムタイプ成分とプラスチックタイプ成分のブロック共重合体として設計されています。
主な種類としては、スチレン系エラストマー（SBS、SEBS）、オレフィン系エラストマー（TPO）、ポリエステル系エラストマー（TPEE）、ポリアミド系エラストマー（TPA）などがあります。
これらは、それぞれ耐熱性、耐薬品性、伸縮性、加工性などの違いによって様々な用途に適しています。

エラストマーとTPEの選定ガイド

エラストマーやTPEを選定する際には、使用条件や求められる特性に基づいて慎重に判断することが重要です。

使用環境の考慮

製品が使用される環境条件を考慮して選定します。
例えば、屋外で使用されるものであれば、紫外線や酸性雨に対する耐候性が必要です。
化学薬品に接触する可能性がある場合には、耐薬品性が重要です。

必要な性能の確認

耐熱性、耐寒性、耐油性、耐摩耗性といった特性が製品に必要かどうかを確認します。
例えば、自動車用途の場合、オイルやグリースとの接触が多いため、耐油性が重要です。

コストと製造プロセス

予算内で適切な材料を選ぶ必要があります。
また、製造プロセスにおいて効率よく加工できるか、リサイクル可能かなども考慮する必要があります。
TPEは加工性や生産効率を高めるため、多くの場面で選ばれやすくなっています。

エラストマーとTPEの応用技術

エラストマーとTPEは、非凡な特性から様々な製品や産業分野で使用されています。

自動車産業での応用

エラストマーとTPEは、自動車部品に広く使用されています。
ゴム状の部品として、シール剤、ガスケット、ホース、ワイパーブレードなどです。
TPEは、軽量化と再加工性からバンパーや内装部品への応用が進んでいます。

医療分野での役割

高いバイオコンパチビリティと柔軟性から、エラストマーとTPEは医療機器にも利用されています。
カテーテル、栄養チューブ、医療用シール製品はその代表例です。
TPEの無毒性と容易な加工は医療分野で幅広く評価されています。

消費財への展開

日用品や家庭用品においても、エラストマーやTPEの耐久性と柔軟性が評価されています。
例えば、靴底、電気配線カバー、携帯電話のケースなどです。

まとめ

エラストマーと熱可塑性エラストマー（TPE）は、その多様な特性と応用のしやすさにより、様々な業界での利用が進んでいます。
適切な選定は、使用条件や求められる特性に基づくものであり、特にコストと環境への配慮も重要です。
今後、新しい素材や技術の開発により、更なる応用と活用が期待されます。