ローズティージェルの粘度と香りを均一化する製造プロセス

ローズティージェルに求められる粘度と香りの均一性とは

ローズティージェルは美容やウェルネス市場で人気が高まりつつある製品です。
このカテゴリーでは、口当たりの良さを左右する粘度の安定性と、リラクゼーション効果を演出する華やかな香りの一貫性が強く求められます。
粘度がロットごとにばらつくと、塗布感や可使時間が変動し、消費者のリピート率を下げる要因になります。
また、香りが弱かったり、時間経過で飛んでしまうとブランドイメージにも影響します。
したがって、製造プロセスの各工程で粘度と香りを同時に均一化する仕組みが不可欠です。

均一化を実現する原材料選定

ローズペタルの品質評価

ローズティージェルの香気の核心はローズペタルです。
ペタルの品種、産地、収穫時期によって含有精油量が変化するため、ガスクロマトグラフィーで主要香気成分（シトロネロール、ゲラニオールなど）の濃度を定量し、ロット間差を数値で把握します。
評価指標を明文化し、基準外の原料はブレンド比率で調整または使用を見送ります。

茶葉エキスの抽出条件

ローズの香りを引き立てるため、茶葉はタンニンやカテキン含有量が過度にならないセイロン系を採用する例が多いです。
抽出温度は70〜80℃、時間は10〜15分を標準とし、ポリフェノール過多による沈殿を防ぎます。

ゲル基剤と増粘剤の組み合わせ

ローズティージェルの粘度は一般に1,500〜3,000 mPa·sが好まれます。
ヒドロキシエチルセルロースやキサンタンガムを主剤とし、カルボマーで微調整する三段階設計が安定性に優れます。
増粘剤は分子量が異なる3種類を組み合わせることでせん断応力に対して広い範囲で粘度を維持できます。

前処理工程でのポイント

洗浄と殺菌

ローズペタルは表面に微生物や農薬が付着している場合があります。
50 ppmの次亜塩素酸水で3分間フロー洗浄し、その後RO水でリンスすることで微生物負荷を大幅に低減します。

香気保持のための低温抽出

ローズ精油成分は揮発性が高く、加熱に弱いです。
真空条件下（−0.08 MPa）で45℃を上限に浸漬抽出すると熱劣化を避けながら高収率を実現できます。

ゲル化工程の温度とせん断制御

溶解タンクでの温度プロファイル

増粘剤を投入する際は、まず70℃まで加温して完全溶解を促進します。
その後45℃まで段階冷却することで、ローズ抽出液を添加しても香気損失が少なくなります。

高剪断ホモジナイザーの活用

径が2 mm以下のスタティックミキサーをライン上に配置し、5,000 rpmで90秒間ホモジナイズすると、増粘剤のネットワークが均一化し、粘度ムラが発生しにくくなります。
同時に香気成分は微細気泡に吸着しやすいため、ホモジナイズ後すぐに脱気処理へ接続します。

粘度を安定させるpHとイオン強度管理

カルボマーを使用する場合、pHが6.5〜7.0の範囲で最大粘度を示します。
クエン酸ナトリウムで緩衝し、0.01 M以下のイオン強度に保つと、架橋結合が安定し長期保存でも粘度低下が起こりにくくなります。
金属イオンは香気を錯体化して失わせるため、キレート剤としてEDTA-2Naを0.02％添加する例もあります。

香り揮散を防ぐ脱気・充填技術

ホモジナイズ後のゲルには微細気泡が残存します。
真空脱気槽で−0.09 MPa、60秒間処理し、温度を35℃まで低下させると香気成分のロスを最小限にできます。
充填は窒素置換した環境でピストンフィラーを使用し、エアギャップを1 mm以下に抑えると封入後の酸化も防げます。

品質管理と分析手法

粘度測定

Brookfield粘度計のスピンドルNo.4、回転数20 rpmで25℃にて測定し、3,000 mPa·s以内を出荷可否の基準とします。
粘度が規格外の場合は増粘剤濃度を0.05％単位で補正します。

香気成分クロマトグラフィー

ヘッドスペースGC-MSで主要8成分のシグナル比率をプロファイリングし、相対標準偏差（RSD）5％以下を均一性の指標とします。
RSDが高い場合はローズ抽出液の保存温度やホモジナイズ条件を再検証します。

スケールアップ時の注意点

100 Lから1,000 Lへスケールアップする際は、タンク径が増えるためせん断速度分布が変化します。
計算上の回転数を1.2乗則で補正し、現場でトルク計を使って実測粘度を確認することで品質を維持できます。
さらに、スケールアップで熱容量が上がり冷却効率が低下するので、プレート式熱交換器を並列に追加し温度降下速度を確保します。

サステナブルな製造への取り組み

ローズ農園と直接契約し、オーガニック認証を取得することで農薬残留のリスクと検査コストを削減できます。
茶葉抽出後の残渣はコンポスト化し、農園へ返送するクローズドループを構築すると環境負荷と廃棄コストを同時に低減できます。
エネルギー面では、温度段階冷却の際にチラー排熱を温室の暖房へ再利用する仕組みを導入すると、年間CO2排出量を約12％削減できた事例があります。

まとめ

ローズティージェルの粘度と香りを均一化するためには、原材料の定量的評価、低温抽出、温度とせん断の精密制御、脱気・充填の酸化防止策が鍵になります。
各工程で数値基準を設定し、オンラインモニタリングと統計手法で管理することで、ロット間のばらつきを最小化できます。
さらにサステナブルな視点を取り入れるとコスト削減とブランド価値向上にもつながります。
これらのプロセスを一貫して実践することで、高品質なローズティージェルを安定供給でき、市場での競争優位を築くことが可能です。