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バイオミメティック構造設計によってカシ材の剛性を高める研究が、建築・家具・土木分野で急速に進んでいます。
本記事では、自然界の仕組みを模倣した設計手法が、国産広葉樹であるカシ材の性能をどのように引き上げるかを解説します。
バイオミメティック(生体模倣)とは、動植物が長い進化の過程で獲得した最適構造や機能を工学的に再現し、製品や材料に応用するアプローチを指します。
具体的には、ハチの巣のハニカム、昆虫の外骨格、貝殻の多層構造などが代表例です。
これらは軽量でありながら高強度・高剛性を示すため、木質材料の補強にも有効とされます。
カシ材は、ドングリを付けるブナ科コナラ属の総称で、密度と耐摩耗性の高さから床材や構造材に利用されてきました。
一方で、水分変動による寸法変化や割裂に弱い点、加工エネルギーが大きい点が課題です。
さらに、曲げ剛性(ヤング率)はスギやヒノキより高いものの、さらなる補強を施すことで部材断面を小さくでき、軽量化・コスト削減につながります。
ハチの巣にみられる六角形セルは、最小質量で最大剛性を実現するトポロジーです。
カシ材内部をくり抜き樹脂含浸したあと、ハニカム状の竹繊維プレートを挿入すると、曲げ剛性が約30%向上した例が報告されています。
木本植物のセルロースミクロフィブリルは、セル壁内で螺旋上に配列し、ねじり荷重を吸収します。
人工的に繊維強化プラスチック(FRP)を螺旋巻きにし、カシ材表層にラミネートすると、曲げ破壊靭性も同時に高められます。
真珠層はレンガとモルタルを積層したような階層構造です。
カシ材では、0.3mm厚の板を交互に繊維方向を90度ずらして貼り合わせ、多層サンドイッチ化することで、弾性係数が従来比1.4倍に向上しました。
まず、CNCルーターでカシ材内部に六角形空隙を削孔します。
次に、植物由来エポキシ樹脂を含浸させ、竹繊維シートを挿入し硬化させます。
これにより、密度の増加を15%に抑えながら、曲げ剛性と圧縮強度をそれぞれ38%、27%向上させました。
カシ材梁の外周に±45度でガラス繊維クロスを巻き、バイオマス樹脂で硬化。
ねじり剛性は約2倍、曲げ剛性は1.3倍となり、橋梁デッキの補強梁として採用実績があります。
0°・90°・0°の順でカシ単板を配置し、中間層に紙蜂の巣コアを挟むサンドイッチ構造を試作。
航空機内装パネル試験で、従来の合板より質量を25%削減しながら同等の曲げ剛性を示しました。
有限要素法(FEM)による解析では、ハニカムパターンと螺旋巻きFRPの複合補強が最も高い剛性向上効果を示しました。
実験では、市販カシ集成材ビーム(断面90×120mm、長さ2m)を用い、三点曲げ試験を実施。
・無補強:曲げヤング率 12.5GPa
・ハニカム補強:16.8GPa
・螺旋FRP補強:16.3GPa
・複合補強:19.4GPa
複合補強では質量増加が21%であったのに対し、剛性は55%向上し、剛性向上効率が最も高い結果となりました。
大断面集成材の代替として、耐火被覆を工夫することで中規模木造ビルの梁・柱用途に拡大できます。
薄板化した部材でも高剛性を維持でき、フラッシュ構造の扉や天板の反りを抑制します。
鉄道車両の床パネルやトラック荷台の軽量化に寄与し、燃費向上とCO2排出削減につながります。
カヌーやスケートボードデッキで、木の質感と高い耐久性を両立する試みが進行中です。
カシ材は国内に豊富に自生し、スギやヒノキの人工林と異なり手入れされにくい里山の有効活用につながります。
輸入広葉樹を置換することで、輸送由来のCO2排出を削減可能です。
さらに、バイオミメティック補強に植物由来樹脂や竹繊維を用いることで、材料の再生可能率が高まり、SDGs目標12(つくる責任・つかう責任)にも貢献します。
・製造コストの低減:CNC加工や樹脂含浸工程の自動化が鍵となります。
・接着耐久性:多湿環境での長期使用における剥離をどう抑制するかが課題です。
・リサイクル性:樹脂との複合化により分別が難しくなるため、熱可塑性バイオ樹脂の開発が望まれます。
・規格整備:JISやISOにおける評価基準が未整備なため、性能保証の枠組みを構築する必要があります。
バイオミメティック構造設計は、カシ材の潜在能力を引き出し、高剛性かつ軽量な木質部材を実現する有望な手法です。
ハニカム空隙充填、螺旋巻きFRP、多層サンドイッチといった技術を組み合わせることで、剛性が50%以上向上する事例も確認されています。
建築・輸送・家具など幅広い分野で脱炭素化と高機能化を同時に達成できる点が大きな魅力です。
今後は製造コストやリサイクル性の課題を克服しつつ、国内カシ資源を活用した産業クラスターの形成が期待されます。

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