バイオプラスチック（PLA）とPPの強度比較と自動車業界における応用

バイオプラスチック（PLA）とPPの特徴

PLAの特徴

バイオプラスチックであるPLA（ポリ乳酸）は、植物由来の資源から作られる生分解性プラスチックです。
主にトウモロコシやキャッサバ、サトウキビといった再生可能な資源から抽出されたデンプンを原料にしています。
PLAは環境負荷を低減する素材として注目を集めていますが、特に分解性や生産由来の持続可能性が強みです。
また、透明性が高く、高光沢を持つため、見た目が美しい製品に向いています。

PPの特徴

PP（ポリプロピレン）は、石油由来のプラスチックであり、軽量かつ耐久性が高い素材です。
化学的安定性に優れ、広範囲の温度に耐えることができるという利点があります。
さらに、機械的強度が高く、衝撃や引張力に対して強いのが特徴です。
非常に加工しやすく、多様な形状の製品を作成できるため、広範囲な用途に利用されています。
加えて、リサイクル可能であるため、環境への配慮も可能です。

PLAとPPの強度比較

引張強度と伸傾性

引張強度については、PPがPLAよりも優れています。
PPは、一般的に50 MPaの引張強度を持つのに対し、PLAは40 MPa程度です。
さらに、伸びなどの伸傾性においてもPPがPLAより優れています。
PPは高い伸び率を持ち、耐衝撃性が高いのですが、PLAはその反面、脆性が高く、衝撃には弱い傾向があります。

耐熱性

耐熱性に関しても、同様にPPが優れています。
PPは90～110°Cの高温に耐えられるのに対し、PLAは約60°Cで形状が崩れることがあります。
このため、耐熱が求められる用途には、PPが選ばれることが一般的です。

環境への影響

一方で、環境への影響についてはPLAが有利です。
PLAは生分解性を持ち、自然環境で分解されるため、廃棄物としての環境負荷を低減できます。
しかし、PPは石油由来であるため、廃棄後の環境負荷が問題視されることがあります。

自動車業界における応用

PLAの応用例

自動車業界でのPLAの応用は、環境意識の高まりとともに注目されています。
特に内装部品や一部の外装部品に利用されることがあります。
PLAの軽量性と、リサイクル時の環境負荷低減が重要視される材料として位置付けられています。
また、PLAの高光沢性を活かして、車内のデザイン性を向上させるために使用されることもあります。

PPの応用例

PPは、自動車業界で非常に広範囲に利用されています。
バンパー、ダッシュボード、内装パネルなどに使用されることが多く、その耐久性と加工の柔軟性から選ばれています。
また、PPの耐衝撃性や耐熱性により、エンジン周りの部品にも使用可能です。
業界標準の材料となっており、コスト効率の面でも優れています。

今後の展望

自動車業界は、持続可能な社会に向けてより環境に配慮した材料の利用を模索しています。
PLAはその先陣を切る素材として、今後さらに利用が拡大すると考えられます。
一方で、PPもリサイクル技術の発展により、環境への配慮を強化し、多様な用途での使用が続けられるでしょう。
これらの素材の特性を活かしつつ、新しい技術の開発が進められることで、自動車業界はより持続可能な未来へと進んでいくことが期待されます。