熱可塑性ポリウレタン（TPU）の種類と成形方法、用途に応じた選定方法

熱可塑性ポリウレタン（TPU）の種類

熱可塑性ポリウレタン（TPU）は、多種多様な物性を持つことで知られる高分子材料です。
TPUは、その優れた柔軟性、耐摩耗性、耐寒性および耐油性といった特性により、多くの用途で使用されます。
TPUは大きく分けて、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカプロラクトン系の3種類があります。

ポリエステル系TPU

ポリエステル系TPUは、機械的強度が高く、耐油性、耐薬品性にも優れるため、工業用製品やスポーツ用品に広く利用されます。
耐摩耗性が高いため、ベルトやホース、ワイヤーコートにも適しています。
ただし、水分や湿気に弱いため、湿潤環境では性能が低下する可能性がある点に注意が必要です。

ポリエーテル系TPU

ポリエーテル系TPUは、耐水性、耐寒性が高いのが特徴で、水に濡れても性能が低下しにくいです。
このため、医療機器やスポーツ用品、特にスキーブーツやダイビングギアなど、水に接する用途での使用に適しています。
また、伸長性が高く、弾力性もあるため柔軟な製品での利用も可能です。

ポリカプロラクトン系TPU

ポリカプロラクトン系TPUは、耐摩耗性と透明性が高く、特に高い引張強度を持っています。
このため、フィルムやシート状、透明性の必要な部品などでの利用が進んでいます。
また、環境に優しい生分解性も有しており、環境負荷を軽減する製品への応用が求められています。

TPUの成形方法

TPUの成形方法には、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダリングなどがあります。
それぞれの成形方法は、製品の特性や形状に応じて選択されます。

射出成形

射出成形は、プラスチック製品の製造に最も一般的に用いられる方法の一つです。
TPUを加熱し、液状にした後、型に注入し、冷却して固化させます。
この方法は、高精度で複雑な形状の製品を作るのに適しています。

押出成形

押出成形は、TPUを連続的に供給し、加熱・溶融させてから、ダイを通して一定の形状に押し出します。
チューブ、シート、フィルム、ホースなど、長さのある製品がこの方法で製造されます。

ブロー成形

ブロー成形は、空気圧を利用してTPUを特定の形状に膨らませる方法です。
この成形技術は主にボトルや容器の製造に用いられ、軽量で強度のある製品を作ることができます。

カレンダリング

カレンダリングは、ロールを用いてTPUを薄いシート状に伸ばし、連続生産を行う方法です。
この方法は、主にフィルムやシートの製造に用いられ、均一な厚みの製品を迅速に大量に製造することが可能です。

用途に応じたTPUの選定方法

TPUを選定する際には、その用途に応じた特性を考慮することが重要です。
目的に応じて適切な種類と成形方法を選ぶことで、性能を最大限に引き出すことができます。

機械的強度が求められる用途

耐摩耗性や機械的強度が求められる用途には、ポリエステル系TPUが適しています。
例えば、ベルトやホースなどは、ポリエステル系の優れた機械的特性を活かすことが可能です。

水や湿気に強い特性を活かす用途

水や湿気にさらされる環境で使用する場合は、ポリエーテル系TPUが適しています。
医療機器やアウトドア用品では、この水分耐性を利用した製品選びが望まれます。

透明性や環境配慮が求められる用途

透明性が必要な用途や環境負荷の低減が求められるケースでは、ポリカプロラクトン系TPUが選択肢となります。
フィルムやエコ製品には、この生分解性と透明性があるTPUが向いています。

まとめ

熱可塑性ポリウレタン（TPU）は、その多様な特性と用途に応じた様々な種類が存在し、成形方法も多岐に渡ります。
適切なTPUを選び、製品の要件に応じた最適な加工方法を選定することは、製品の市場競争力向上に寄与します。
そのためには、各特性と用途を十分に理解し、適切な選定を行うことが重要です。