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スティック型コードレス掃除機OEMがFLOOR to CEILING対応を叶えるブラシヘッド設計

目次
はじめに
製造業の分野で多くの商品OEM(Original Equipment Manufacturing)が進化を続けていますが、そのなかでも家庭用掃除機の世界は大きな転換期を迎えています。
中でも、スティック型コードレス掃除機は「手軽さ」「おしゃれなデザイン」「パワフルな吸引力」などで一気に普及が進みました。
最近では一歩進んで、「FLOOR to CEILING」──つまり床から天井、床面から壁・カーテン・エアコン高所まで、あらゆる場所を1台で掃除できるモデルの開発がOEM市場でも求められています。
この記事では、現場目線かつ最新トレンドを交えながら、スティック型コードレス掃除機のOEM開発における『FLOOR to CEILING対応ブラシヘッド設計』について深堀りします。
製造業に根付く“昭和的”発想からの脱却
なぜ「FLOOR to CEILING」仕様が求められているか
日本の家庭はもちろん、グローバル市場でも住空間は多様化しています。
昔は掃除といえば「畳・床・カーペット」が主な対象でしたが、今やフローリング・ラグ・タイル・階段・カーテン・天井・窓枠、さらにはエアコンや隅の巾木と、掃除の対象エリアが格段に広がっています。
現場では「掃除機で全部やろう」とすると、アタッチメント交換や本体持ち運び、コンセントの抜き差しが不可避でした。
しかし、現代の消費者は“もっと楽をしたい”“無駄な動作を省きたい”という願いが強く、ワンストップのソリューションを求めています。
昭和的な開発と今求められる柔軟性のギャップ
昭和期から続く日本の製造業は、
「それはウチの分野ではない」
「既存の金型やラインから外れるのは非効率」
「アタッチメント方式で“対応済み”と謳えば十分」
といった意識が根強く残っています。
しかし、現代ではOEM/ODMで各国・各ブランドが「差別化」を最重視。
ODMやOEMで調達バイヤーが求めるのは“どこよりも便利で使い勝手のいい、一歩先を行くブラシヘッド設計”です。
調達側が「なぜ、これだけで全領域掃除できないのか?」と疑問を持てば、他のサプライヤーへ容易に流れてしまう時代なのです。
OEMで求められるブラシヘッドのイノベーション
FLOOR to CEILING対応ブラシヘッドの開発ポイント
では、実際にスティック型コードレス掃除機のブラシヘッドで「FLOOR to CEILING」をどう実現するのか、開発の視点で整理しましょう。
1. 多機能・可変ヘッドの設計
・フローリング、カーペット、畳、それぞれに応じた吸引力やブラシの可動調節
・天井やカーテンには軽い接触でホコリを巻き取るソフトな素材の採用
・可動域270度以上を実現するヒンジ構造
・長さ可変、取り回し自由度の高い伸縮設計
こうした「自由に角度調整」「ヘッドの摩擦力の自動可変」「ヘッド先端の脱着や曲げ伸ばし」などがOEMでの差別化ポイントとなります。
2. 軽量化への挑戦
「天井、壁の高所掃除」は重いと“腕が疲れて続かない”“落下や破損リスク”がつきまといます。
ですから、徹底した軽量化とバランス設計が求められます。
たとえば、エンジニアリングプラスチックの新素材採用や、部材の肉抜き構造、内部補強材の最適配置がカギとなります。
3. ホコリ飛散&静電気対策
天井や壁掃除では“ホコリ吸引時の舞い上がり”が課題です。
静電気吸着パットや、サイクロン吸引構造といった設計が評価されています。
静電気発生を抑える素材やコーティングにもOEM各社が“伸びしろ”を見いだしています。
4. 現場発の工夫実例
・手元で回転速度・吸引力を一時切替できる機能
・ヘッド部の先端LED搭載
・壁・カーテン用に専用開口を持つダスト回収構造
・ツールレスでブラシ先端着脱(メンテ性向上)
OEMメーカーがこうした工夫を現場提案し、自社製品の強みとしてバイヤーにアピールできれば、談合的な値下げ競争から「技術力による採用」という新局面へ突入できます。
バイヤー目線で見る「FLOOR to CEILING対応」への期待
サプライヤーとバイヤーの認識ギャップ
OEMでスティック型コードレス掃除機の調達を検討するバイヤーの本音は「手間なく全部掃除できる付加価値が欲しい」に尽きます。
実際のところ、OEMサプライヤーは「なるべく標準化・低コストでまとめたい」「モジュール設計に留めたい」と考えがちです。
このギャップが、組み立て現場・設計現場・調達部門で常に摩擦を生みます。
なぜFLOOR to CEILING仕様が選ばれるのか?実需の視点
大手量販店や家電専門店、小売バイヤーにリサーチすると
“掃除機が売れる理由”には
・引っ越しやリフォームで制限なく色々な床材に対応できること
・共働き・子育て層に「効率」を訴求できること
・アレルギー対応やペット毛集塵など、次なる付加価値をワンストップで提案できること
が挙げられます。
OEM供給側が、「高機能すぎて製造コストが合わない」として設計工数や素材費の削減“だけ”を優先すると、バイヤーからの評価は一気に下がります。
むしろ現場提案で、「この1ヘッドだけで天井から床まで手間なく掃除出来るので、売り場スタッフもおすすめしやすい」「アタッチメント紛失トラブルも防げる」と信頼を勝ち取ることが重要なのです。
生産現場の知恵が活きるブラシヘッド開発
作業改善の視点を設計へ還元
実際に、工場の生産現場では様々な改善提案が出されています。
たとえば、組立時のネジ締め工数・調整幅を最小限にすべく、
・ブラシ交換式ではなく、着脱ワンタッチ式
・初期フィット感テストや動作検査の自動化
・先端パーツの間違った取り付けを防ぐ形状ガイド
などの現場知見が活かされます。
OEM案件では「いかに大量生産のなかでも“個体差”を減らし、クレームを防ぐか?」が問われます。
ブラシが外れやすい、ヘッドがすぐにガタつく、ホコリが詰まりやすい──は国内外問わずNG。
“ちょっとした気付き”に基づく設計改善・現場フィードバックがモノづくりの実力差となるのです。
品質管理部門と現場データの連携
工場長や品質管理責任者としての経験から言えば、“現場のクレームこそ宝の山”です。
OEMでは量産出荷後の現場データ(不良品率、返品率、ユーザーレビュー分析)を設計開発へダイレクトに還元するPDCAサイクルが不可欠です。
・数百台に一台程度、「操作部の接点ずれ」による吸引力低下
・壁面ブラシの経年摩耗による素材劣化
こうした蓄積情報を、次の調達会議で“バイヤーと一緒に改善案として討議”できるサプライヤーは引き続き信頼され、次のOEM案件でも「また頼むよ」と指名を得やすくなります。
機能+αのブラシヘッド、“ブランド化”への挑戦
OEMサプライヤーが目指すべき道
OEMサプライヤーの多くは“低コスト大量生産”に傾倒し、いかに受注を増やすかを優先しがちです。
しかし、「このサプライヤーのヘッドは他とは違う」「これなら競合他社に対してリードできる」とバイヤー側に思わせた時、単なる部品メーカーから一歩進んだ“商品開発パートナー”へと昇華します。
近年では、「軽さ」「耐久性」「静電気防止」「ワンタッチ着脱」「シームレス吸引」「LED搭載」など、“ブランド化”可能な付加価値がカギを握ります。
消費者目線とトレンドを読む力
現場をよく知る技術者だからこそ、消費者目線にもなれます。
“片手操作で全ての掃除が済む”
“アタッチメント迷子にならない”
“お手入れが楽”
この“気付き”をOEM提案につなげることで、家電量販店やオンラインショップで「これぞ本当に考え抜かれたヘッドだ」「OEMの既成概念を超えた」と高評価を得るチャンスが広がるでしょう。
まとめ・次世代へ向けた提案
FLOOR to CEILINGに対応したブラシヘッド設計は、これまでの「ただ付加価値を増やす」だけの時代から、「現場の作業性・メンテナンス性」「消費者からの本音」「調達・生産コストの両立」をつなぐ新しい地平線に進みつつあります。
OEMサプライヤーの皆様には、設計・生産・品質管理・営業が一体となり、小さな発見や工夫、現場ノウハウを積極的にバイヤーへ提案し、FLOOR to CEILINGを標準仕様へと押し上げる挑戦を期待します。
製造業で働く皆さん、サプライヤーの立場の方、そしてバイヤーを目指す方々。
本記事を参考に「何が本当に求められているのか」「今こそ打破すべき問題は何か」に一緒に目を向け、OEMという枠を超えた“オンリーワン製品”開発の未来を切り拓いていただければ幸いです。
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