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消耗品OEMを活用した小売店のプライベートブランド事例

目次
消耗品OEMとは何か?小売店のプライベートブランド戦略を支える基盤
消耗品OEMとは、日常的に繰り返し使われる商品(トイレットペーパーやキッチンペーパー、洗剤、家庭用電池など)を、小売店が自社ブランドで販売するために、外部の製造業者に委託生産するビジネスモデルの一つです。
日本の製造業は長く、最終製品メーカーが主役で、下請けや部品供給の立場に甘んじてきたという歴史があります。しかし、流通業界の競争激化や消費者ニーズの多様化を受けて、小売業が独自ブランド(プライベートブランド=PB)の展開を積極的に進めることとなり、OEMの需要も急拡大しています。
昭和時代から続く旧態依然の習慣を抱えつつも、ここ十数年で流通と製造のパワーバランスは徐々に変化しています。消耗品OEMは、まさにこの“地殻変動”の象徴ともいえる動きなのです。
なぜ小売店は消耗品OEMに注力するのか?
差別化と利益率向上の追求
小売店が消耗品OEMによるプライベートブランド(PB)化を進める最も大きな理由は、既存のナショナルブランド(NB)商品との差別化と、利益率の向上にあります。
NB商品はメーカーがブランド力を持ち、販売価格もコストも小売側でコントロールしにくいという課題があります。
そこにPB戦略を導入することで、商品設計や価格設定まで踏み込むことができ、売り場全体の収益性を高めることが期待できるのです。
顧客ロイヤルティの強化
自社の名前やストアブランドで販売することで「この商品はこのお店でしか手に入らない」という独自性を打ち出せます。
消耗品はリピート頻度が高いため、お客様が「いつもこのPB製品で満足しているから、他の商品もこの店で買おう」となるロイヤルティ効果が生まれやすいのです。
サステナブルな取り組み・社会貢献イメージの向上
近年はSDGs対応やエコパッケージ、地球環境配慮などを取り入れたPB商品が目立ちます。OEM生産者と連携することで、スピーディーに社会課題対応型の売場展開が可能になります。消費者の購買意識変化に対応するという観点でも、OEMは小売業にとって重要度が増しています。
消耗品OEMの導入プロセスと現場の苦労
仕様設計〜原材料手配の現実
一見すると「名前だけ変えて既存商品をそのまま作れば簡単では?」と思われがちですが、実際は小売側とOEMサプライヤーの間で、入念な仕様調整、品質基準のすり合わせ、実際の原材料調達ルートの見直しが必要です。
例えば、トイレットペーパー一つとっても、「肌触り」「白さ」「ミシン目の切れやすさ」など、お客様の声として出てくる要求は細かく、原料段階から調整を迫られることも少なくありません。
調達購買の現場では、「今までメーカーから買ってきたNBと同等以上の品質で、なおかつ価格は下げたい」という要望が突きつけられ、原材料価格上昇など外部要因にも振り回されます。ここが腕の見せどころであり、従来型の販社主導のやり方を乗り越える必要があります。
生産管理・供給安定性へのチャレンジ
消耗品は需要波動が比較的小さい一方、大型連休前などには急激に注文量が変動したり、急な企画変更が発生することが日常茶飯事です。
生産管理担当者は「安定供給」と「コスト低減」の狭間で常に最適解を模索しています。
また、小規模なOEMサプライヤーに大量発注をかけると納期が乱れたり、品質にバラツキが出たりします。
サプライヤー目線では「突然PBをやりたいと言われ、大量納品を要求されたが、マンパワーが追いつかない」という悩みも散見されます。
品質保証とトレーサビリティの壁
消耗品PBは「製造者の顔が見えない」というリスクを常に持っています。もしクレームや事故が起こった場合、責任の所在や回収ルートを明確にし、安全性・安心感をユーザーにきちんと伝えられる体制づくりが必須です。
工場の現場視点では「自社ブランドではないから多少ラフで良い」などの甘えが生まれやすいのも事実ですが、今や徹底したトレーサビリティやRoHS・REACHなどの化学物質規制対応など、昭和時代の“見て見ぬふり”が許されない時代です。
成功している消耗品OEM活用プライベートブランド事例
大手スーパーチェーンのトイレットペーパー
某大手スーパーチェーンでは、自社PBとして“地域製紙メーカー”と共同開発したトイレットペーパーを導入しました。
NB商品より約20%安価でありながら、「肌触りが良い」「エコマーク取得」「包装を紙パック化」するなど差別化にも注力。その裏側では、担当バイヤーが地元メーカーと定期的に意見交換し、「消費者アンケートの声」を毎年反映。
結果として売上は年々拡大し、PB比率がNBを上回る主力商品となりました。メーカーも安定した発注量が得られ、設備投資や原材料共同購入のスケールメリットを享受しています。
ドラッグストアの洗剤・洗濯用品ライン
PB化によって「低価格で高品質」「香りや洗浄力に独自カラーを出す」ことに成功した事例です。
OEM委託先は戸惑いを見せつつも、小売側と協業し外部ブランディング支援まで手掛けるようになりました。「製造管理番号による品質追跡」「ポジティブリストの情報公開」「問い合わせ担当窓口の常設」など、NB以上の体制を構築し、消費者の安心・安全に向けた取り組みを徹底しています。
ホームセンターの乾電池PB展開
従来はNBメーカー品を並べていたところ、独自ルートのOEMでPB乾電池を展開。これによって「まとめ買い需要」と「工事現場や業務ユーザーの獲得」、「収益率の大幅改善」を実現しました。
OEM委託先サプライヤーも、小売への専用窓口を設け、納期短縮や個別仕様対応へ注力。両者で“共存共栄”型の供給体制に進化しています。
業界が昭和から脱皮するための現場視点のヒント
小売・バイヤーが意識すべき視点
単なるコストカット・他店舗との差別化だけでなく、OEMサプライヤーの技術力向上や現場の声を尊重した「ものづくりパートナーシップ型」の協業が不可欠です。
バイヤーは「工場の都合も最前線で聞き、納得解を一緒に考える」という姿勢が、PB成功のカギとなります。
また、社内調達購買部門・生産管理部門との密な情報共有(需要予測・長期計画・緊急時のリスク対応)も不可欠です。事務的な値下げ交渉だけでは、現代の製造パートナーは本領を発揮できません。
サプライヤー側が知っておきたいPB時代のバイヤー心理
「バイヤーはコストと品質しか見ていない」「値下げ圧力ばかり」とネガティブに捉えがちですが、本質的には「長期的に安定取引、共に成長するパートナーでいてほしい」という希望が多くの小売りに存在します。
特に地場や地域密着型小売りでは、「社会性(環境、雇用)」を重視する傾向も強まっていますので、取引先企業としてその点をアピールすることが大切です。
OEMメーカー側は「現場のプロ」として、小売りバイヤーの“理想と現実のギャップ”を埋める工夫(品質とコストのバランス、工程短縮策、安定供給へのリスク分散ノウハウ)を随時提案する姿勢が喜ばれます。
まとめ:消耗品OEM×プライベートブランドは「協創」に未来がある
消耗品OEMによる小売店のプライベートブランド化は、もはや一過性の流行ではなく、製造と流通それぞれの現場を根本から変える“イノベーション”の一つです。
ここには「ただ作るだけ、ただ仕入れるだけ」の旧態依然とした商習慣を脱却し、双方が技術・知恵・現場目線を持ち寄る『協創の場』を構築するヒントが詰まっています。
現場力・現場目線を最大限に活かしながら、小売とサプライヤーが本当に“強いものづくりチーム”になれる時代。その流れを一人でも多くの方に体感し、これからの日本の製造業発展の一助になればと願っています。
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