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投稿日:2025年10月28日

OEMからの脱却を成功させるための社内体制と製品企画チームの作り方

はじめに ― OEMからの脱却が求められる理由

製造業において「OEM」とは、多くの方がご存知の通り、Original Equipment Manufacturerの略です。
つまり、他社ブランドの製品を受託生産する仕事です。
日本の製造業は長らくこのビジネスモデルで成長してきました。

しかし、近年は海外勢によるコスト競争の激化や、完成品ビジネスへの回帰志向(いわゆる「ファブレス化」に対抗する流れ)も加わり、OEMから脱却し、自社ブランドやオリジナル商品で独自の価値を創出しようとする動きが強まっています。
なぜなら、OEM依存のビジネスモデルだけでは利益率が低く、取引先からの値下げ圧力にも晒されやすいからです。

本稿では「OEMからの脱却を成功させるための社内体制と製品企画チームの作り方」について、工場の現場経験や業界トレンドを交えて詳しく解説します。

OEM脱却に必要な社内体制のポイント

1. 目指すべきビジョンの徹底共有

OEMからの脱却は、単なる生産フローの変更ではありません。
経営トップが「なぜOEMを続けるだけでは限界なのか」「自社ブランドでどう勝負するのか」という明確なゴールを、社内隅々まで行き渡らせることが肝心です。

現場レベルでの戸惑いや反発も避けられません。
ですが、ビジョンと具体的な計画が具現化してこそ、全員のベクトルが揃い、組織として動き始めます。

2. 現場・営業・企画のクロスファンクショナルなチーム設計

従来のOEM体制では、顧客(バイヤー)が設計した仕様に従い、製造現場が生産計画を組み、管理職が品質や工程を担保するという縦割り構造になりがちでした。

しかし自社製品・オリジナル商品の開発では、市場志向が極めて重要です。
そのために、以下のようなクロスファンクショナル(部門横断型)チームが欠かせません。

– マーケティング・営業(市場と顧客の声を拾う)
– 開発・製品企画(アイデアを商品化する)
– 生産技術・品質管理(現場実装と品質・コストを担保する)

これが形ばかりの「チーム」や「会議体」で終わらず、実運用上もフラットに連携し合う文化が必要です。

3. 属人化の打破と情報共有基盤の再構築

昭和的アナログ体制の名残で「この担当者しか判らない」「ノウハウや開発履歴が紙・ローカルPCに眠っている」といった部分は要注意です。
製品開発や生産に関する情報、ノウハウ、評価結果などはクラウドや共有サーバーに一元化・可視化し、誰でもアクセスできるようにする必要があります。

ベテランの暗黙知を、現場に残し続けては新製品ロードマップも若手育成も前進しません。
デジタル手帳・Wiki・手順動画といった仕組みも積極活用しましょう。

製品企画チームの立ち上げステップ

1. チームリーダーとコア人材のアサイン基準

OEMの枠を超え、自社独自の商品を世に出すためには、エース人材の投入が必要不可欠です。
ここでは以下の観点で人選しましょう。

– 現場を熟知し、設計~生産までの流れを理解している
– 部門間を巻き込めるコミュニケーション力がある
– 新しいことに積極的に取り組み、失敗や摩擦を恐れない

現場オンリー、技術オンリー、営業オンリーといった偏りを避け、複数分野にまたがる人材をリーダー軸に据えます。

2. 顧客バリュー起点の商品企画プロセスの構築

OEMは「言われたものを、言われた通り作る」のが基本です。
しかし自社開発では「本当に顧客が欲しがる(対価を払う)価値」をゼロから着想し実現する必要があります。

おすすめの取り組み例:
– 既存ユーザー向けアンケートやインタビュー、実機観察
– バイヤーや流通現場へのヒアリング(サプライヤー側の視点で重要)
– 社内営業やサービスマンの声も積極的に巻き取る

市場調査や仮説検証をショートサイクルで回していく「リーン開発(MVP)」も取り入れたい手法です。

3. 現場フィードバックを迅速に反映する体制整備

「本社の企画が現場を知らず空中分解」「現場は現場で不満を呟くだけ」といった分断が、失敗するプロジェクトの典型パターンです。

ポイントは以下です。
– 製品企画の早期段階で、現場・品質・調達メンバーを巻き込む
– 初期試作・1次サンプルを現場主導で評価し、率直な意見を吸い上げる
– 管理職や工場長も定例で現状把握し、都度軌道修正できるようにする

このPDCAサイクルを早く・多く回すことで、無理な設計や高コスト・慢性的な現場負担を防げます。

昭和的アナログ文化からの脱却と現場発イノベーション

1. 業界特有の慣習・しがらみへの対応とは

日本の製造業は「御用聞き」「言った通りにきっちり作る職人魂」といった独自文化が根強く残っています。
これは一方で大きな武器ですが、新事業や自社製品開発にシフトする際は「自分で考え、提案し、変える」土壌が不可欠です。

具体的には、
– 「失敗OK」をトップが明言し、挑戦を称賛する風土醸成
– ベテランだけでなく若手にもアイデア発表の場を
– 毎年・毎月の「改善提案強化月間」など小さな制度設計

こうした一歩一歩の改革が、長年の昭和型アナログ体質を緩やかに変えていきます。

2. 工場現場力を活かすシーズ発想とユーザー発想の両輪

今までOEMで培った生産技術・品質管理の強みを活かすには、「自分たちにしかできないこと」を棚卸しし、社内外にアピールしていくことが必須です。

一方で、今まで見落としがちだったユーザー視点、バイヤーの購買決定要因、顧客が抱える潜在課題にも目を向ける必要があり、それらを拾える現場の声と連動させることが大切です。

– 「こう作れば絶対に壊れない」「どこよりもこの工程は高精度」な工場自慢
– 「こうしたらもっと仕事が楽になる」「他社製品で不便と思った」の現場アンケ

この二つを融合させることで唯一無二の製品コンセプトが生まれます。

サプライヤーやバイヤーを巻き込んだ価値創出型の提案へ

1. バイヤー視点の製品提案を意識する

OEMの現場に長年いると、バイヤー側が何を重視しているか見落としがちです。
ですが、自社製品で市場に攻めるには、バイヤー(買い手企業)側の「提案を受ける心理」や「責任の所在」「調達KPI」などを深掘り理解するべきです。

– バイヤーは、調達リスクの低減、納期遵守、トータルコストを重視します
– 新規サプライヤーや新商品の導入時には、社内決裁のハードルが高くなりがちです
– だからこそ、製品企画段階で「どうしたらバイヤーにリスク無しで提案できるのか?」の視点が重要

例えば、試作品段階で信頼醸成の説明会を開催したり、品質安定化の裏付け資料や第三者認証を先回り提供するのも有効です。

2. サプライヤー側から「共創」アプローチを仕掛ける

今後は単に「納品するだけ」でなく、サプライヤー主導で「こんな新しい使い方はどうか」「この部品を組み合わせるとランニングコストが下がる」など、共創型の提案も不可欠です。

業界のとりまとめ役や影響力の大きい企業同士が、Open Innovationや業界横断プロジェクトを立ち上げる例も増えています。
サプライヤー同士が協調し、新たな価値提案をバイヤーと共同で進める時代に入っています。

まとめ ― OEM脱却で新たな製造業の可能性を切り拓く

OEMからの脱却は決して平坦な道ではありませんが、その第一歩は「変革の意志」と「具体的な社内体制づくり」によって切り拓くことができます。
製品企画チームの強化、クロスファンクショナルな連携、徹底した現場主義、アナログ習慣の見直し、サプライヤー起点の価値創出。

そのいずれもが、これからの日本製造業の未来を形作ると断言します。
まさに現場発の発想と改革が、新たな地平を切り拓く原動力です。

本記事が変革に挑むすべての製造業従事者バイヤー、サプライヤーの皆さんのヒントとなれば幸いです。

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