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海外製造業との商談で求められる“実務英語の粒度”

目次
はじめに
製造業が急速なグローバル化の波にさらされる中、海外の取引先やサプライヤーとの商談の機会も飛躍的に増えています。
その中でとくにハードルとなるのが、いわゆる“実務英語”のやり取りです。
英語でのプレゼンや資料作成はカバーできていても、会議冒頭のちょっとしたアイスブレイク、仕様詳細を詰める時のニュアンス、イレギュラー対応の伝達など、現場寄りの英語表現で躓く場面が多くなっています。
本記事では、20年以上現場に携わってきた経験から、海外製造業の商談で「実際に使われている」「本当に伝わる」英語の粒度と、その背景にある業界独自の文脈について解説します。
また、昭和の日本的アナログ文化と世界の標準が交差した時に生じる摩擦や、具体的な対応策もご紹介します。
“商談英語”と“実務英語”の違い
カタログと仕様書だけでは通じない現場のリアリティ
多くの人が「商談英語」として想像するのは、会議冒頭の自己紹介や自社の説明、簡潔な製品PRなど、比較的定型化されたやりとりです。
書面のやり取りや契約条項の確認も、その大部分はテンプレートでカバーできます。
しかし、製造業の現場で決定打となるのは“実務英語”です。
そこでは「どこまで細かく情報を伝えるか」「どのように揺れる状況や、イレギュラーに対応するか」「なぜそれができない(あるいは、できる)のか」を説明できることが求められます。
たとえば、中国や東南アジアメーカーとの金型立ち合いの場合。
「ゲート位置はこっちのほうが量産時の歩留まりが良いが、そちらの仕様ではどうか?」といった具体的な突っ込みが入ります。
その際、単に“Yes/No”や、“Possible/Not possible”だけでは、現場の意思決定には繋がりません。
「射出成形のサイクルタイムの都合で、〇〇mm以上の肉厚部分はビビリが生じやすい。だから現行案では不良率リスクが高く、流動解析も必要」といった、裏付けも含めて英語で伝える必要があります。
“粒度”とはどのくらいの細かさか
“英語の粒度”とはつまり、「どれだけ細かい内容をきちんと英語で伝えきれるか」ということです。
一部のエンジニアは、文法やアクセントに過度な意識を払い過ぎるあまり、重要な現場情報を端折ってしまったり、逆に冗長になり過ぎることがあります。
製造業の実務に適した英語の粒度は、「分かりやすく、かつ論点やリスクが漏れないこと」が最重要です。
具体的には
– 業界共通ワードや現場用語(ex. tolerance, lead time, jig, die-casting)が活用できる
– QCD(Quality, Cost, Delivery)に関する具体的数値や評価軸を示せる
– 派生リスクや、“なぜ”の根拠を端的に示せる
このバランス感覚が肝心です。
昭和的アナログ文化が根付いた現場と海外標準のGAP
“暗黙知”と“マニュアル外し”が英語化を難しくする
日本の製造現場では、長年の経験や現場カンに基づく“阿吽の呼吸”で動くことが珍しくありません。
たとえば、「いつもの取引先だから」「例年この時期は急ぎの案件が来る」など、不文律的なルールが多く存在します。
しかし海外のパートナーには、こうした前提は一切通じません。
特に欧米のグローバルメーカーや中国のデジタル先進工場では、工場オペレーションの細部まで標準化・見える化されています。
暗黙知は“事故”の元とされ、曖昧なやりとりは即座に信頼を損ねる原因になるのです。
実務英語の粒度を高めるには、まずこの“見えないルール”や“現場独自の調整”を、誰が読んでも分かるような英語で明示することから始まります。
それには
– なぜ本来規定された工程から外れる必要があったのか
– そのリスクは何か
– どのタイミングで誰が判断したのか
などを英語で記載できるスキルが不可欠です。
「みんな分かってるよね」は禁句です。
業界ごとに異なる粒度と共通部分
さらに、プラスチック射出成型や電子部品、鋳造、組立など、各業界ごとによっても「求められる粒度」は微妙に異なります。
電子部品の分野なら、0.01mmオーダーの管理や品質保証体制まで詳細に伝える必要があり、金属加工分野では熱処理条件や顧客独自の検査基準などが細かく問われます。
一方で、最大公約数的なポイントは「5W2H+α」“いつ、誰が、何を、どこで、なぜ、どのように、いくら”に加えて、“リスクの想定”と、“現場判断の根拠”です。
これらを備えた英語力が、どの業界でも信頼を勝ち取る決め手となります。
バイヤー目線で見た「伝わる英語」のポイント
数字と根拠をセットで伝える
グローバル調達部門のバイヤーは、いつも数社・数十社のサプライヤー情報を同時に比較しています。
“納期は何日?可能理由は?”
“品質不良率は?その改善策は?”
との問いかけに即座に数字で答えられること、そしてその数値の裏付け(たとえば“過去2件の納入実績”や“工程能力Cp値”など)まで英語で添えることが極めて重要です。
逆に、数字や根拠もなく“I think possible” “Maybe OK”のような返答は、工場の信頼度を一気に下げかねません。
「曖昧な日本流」に慣れてきたベテラン現場管理者ほど、この粒度の変化に要注意です。
失敗事例や課題もオープンに
日本の商習慣では、“弱み”や“ネガティブ情報”を商談でオープンにすることは良とされませんでした。
しかし海外のバイヤーの多くは、リスクや課題自体を可視化できるサプライヤーこそ評価します。
たとえば
– “この工程には過去に〇〇のトラブルがあった”
– “現場熟練者不在時はA工程、B工程とも標準化されていない”
など、自社の現場課題も英語で伝え、共に対策を考える姿勢そのものが信頼を生みます。
具体的な“実務英語”の粒度トレーニング方法
「現場用語日英対訳リスト」を作ろう
実際に海外商談で使われる現場英語の訓練には、業界ごと、職場ごとに“日英対訳リスト”を作成するのが有効です。
たとえば、調達購買部門では
– 発注数:Order quantity
– 見積依頼書:Request for Quotation (RFQ)
– 検収:Acceptance inspection
生産管理では
– 生産計画:Production schedule
– 在庫切れ:Stockout
– 納期遅れ:Delivery delay
など、決まったワードを暗記します。
加えて、「なぜ納期遅れが生じたのか?」「その原因は?」など、“一歩先の理由”も自分で英語表現を調べて書き出しておく習慣が大切です。
シナリオベースの実践練習
シチュエーションごとに「もし自分が英語で説明するなら?」と考え、簡単な商談ロールプレイを繰り返します。
例えば
– 「A部品の精度が図面からずれている」と指摘された
– 「納入予定日に間に合いそうにない」と判明した
この時に、「何が起こり、なぜ起き、どう対応したか」を整理して英語に直す訓練です。
最初は単純な単語でも十分です。
言い淀むことより、“必要情報が揃っているか”にこだわりましょう。
デジタル時代、標準化が進む“粒度”のグローバル基準
DX・SCMツール導入と英語粒度の変化
近年、グローバルSCM(サプライチェーンマネジメント)のクラウド化や品質管理システム(QMS)の国際標準化により、“伝えるべき項目”はどんどん明確になっています。
DX推進の現場では、「誰がいつどこでどう対処したか」という事実が、即座に共有されるようになっています。
たとえば、FMEA(故障モード影響解析)やAPQP(先行製品品質計画)など、英語でリスク管理内容を整理するフレームワークが一般化しつつあります。
今後は現場のベテラン社員こそ、「自分のノウハウをどう数字・根拠を添えて英語化するか」が、ますます重要なスキルとなります。
まとめ:昭和的現場とグローバル実務英語の橋渡しを
いまだに残る“阿吽の呼吸”や“不文律”で動く昭和的な現場習慣。
そこから一歩進み、海外パートナーやバイヤーと真正面から向き合うには、“粒度”を意識した英語化が欠かせません。
– 数値や根拠をセットにした説明
– 課題や失敗も含めて率直に伝える姿勢
– マニュアルの“外”にある現場ノウハウの可視化
こうした実務英語力が、商談の信頼と成果を大きく左右します。
アナログ文化を愛するベテランの方も、グローバルな現場に飛び込みたい若手バイヤーも。
「どこまで細かく、なぜそれを伝えるのか?」の視点で、現場の英語力をぜひ磨いてみてください。
それが日本のものづくりパワーを次代へとつなぐ、新しい「架け橋」になるはずです。
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