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投稿日:2025年12月6日

荷札の貼り位置ルールが守られないことで起こる事故

はじめに

製造業の現場で日々繰り返されている出荷作業。その過程で発生する「荷札の貼り位置」に関するルール違反は、時に大きなトラブルや事故を引き起こします。

一見地味に思える荷札貼付の運用ですが、この些細なルール軽視が、バイヤー側・サプライヤー側いずれにとっても大きなリスクとなることは意外と知られていません。

今回は、製造業の現場で起きがちな荷札の貼り位置ルール違反と、その背景・影響、そして今後アナログ業界がどう変革していくべきか、現場目線の実践的な視点を交えながら詳しく解説します。

荷札の役割と貼り位置ルールの重要性

荷札は「唯一の識別情報」

荷札は、部品や製品が「何か」を識別する根拠です。

出荷時、最終検査が終わった製品はパレットや箱に梱包されます。その際、荷札には部品番号・ロット番号・数量・納入先など、必要な情報が記載されています。

この荷札情報がなければ、どれが何か分からなくなり、正しい納品ができません。

なぜ貼り位置にこだわるのか

荷札の貼り位置は、多くのメーカーで細かくルール化されています。

代表的なのは
・パレットの場合:短辺左下
・箱の場合:全枚数の正面右下
・大物の場合:持ち手付近の目立つ箇所

などといった指示です。

なぜここまで位置が決まっているのでしょうか。

それは
・フォークリフト搬送・棚入れの際、人が「一目で識別」できる
・誤品、数量違いを瞬時にチェックできる
・自動認識機器(ハンディターミナルやカメラ)での読取精度が格段に上がる

ためです。

加えて、多くの現場では「作業同線」や「荷扱いする手順」にピタリと合わせて荷札ルールが設けられています。

荷札貼り位置ルールが守られない背景

作業者の意識不足と教育の限界

現場では生産や出荷の数が増えるにつれ、作業効率を優先するあまり、
「荷札なんてどこにつけても変わらないだろう」
「他の作業者が後で直してくれるだろう」

そんな甘えや意識の低下が起こりやすくなります。

また、外注や派遣社員など雇用形態が多様化した今、社内教育の徹底・伝達が追いつかないケースも珍しくありません。

アナログ業界特有の「場当たり」慣習

昭和から続く中小企業や、家族経営の下請け現場では、
・口頭で伝えたり、経験則で回していたり
・「みんな知ってるから大丈夫」と思い込んでいる
といった特有の慣習が根強く残っています。

たとえば「今、人手が足りないから急いで出してよ」と上司から指示が出ると、手近な場所に荷札をペタリ。
その一瞬の手抜きが、後工程で大きなリスクを生み出すことになり得ます。

デジタル化の波と現場のギャップ

近年、ITやIoT導入によるトレーサビリティの自動化が進んでいます。

一方で、いざ現場を見ると「PC画面ではバーコード管理なのに、現物の荷札の貼り付け方はアバウト」など、デジタルとアナログの運用乖離が露呈しています。

システム投資をしても、最終的に人による“貼り方”が標準化されない限り、データとの乖離が埋められない現実があるのです。

荷札貼り位置ルール違反が引き起こす事故実例

ケース1 誤品出荷による納入NG・返品

ある自動車部品メーカーでは、本来異なるロットの部品が混載されて出荷されました。

原因は、「パレットの両側面に荷札を貼る」ルールを無視し、片側にのみ貼付したため。
荷受け先ではロット違いに気づくのが遅れ、結果として全数を返品せざるを得ませんでした。

ケース2 棚入れ・自動搬送時のミスピック

物流倉庫でのパレット管理では、自動認識カメラが荷札を読み取る場合が増えています。

既定の貼り位置から数cmずれているだけで、カメラが情報を認識できず、ミスピックや所在不明が発生。
後続工程の自動搬送ラインでは、誤部品の混入で生産停止まで至った、という大きな損害が発生しています。

ケース3 大型貨物での現場混乱・積み残し事故

大型産業機器の部品では、「最も見やすい位置に」と指示されていた荷札が本体の背面に貼られていました。

フォークリフト作業者が荷姿を誤認し、積み残し事故や納入時の誤配が相次ぎました。
結果として、顧客からの信頼失墜・損害賠償問題に発展しました。

なぜ「ちょっとしたルール違反」が重大事故を生むのか

サプライチェーン全体への想像力の欠如

荷札貼り位置というアナログなルールは、「後工程で誰が・いつ・どんな場面でそれを見るか」にまで想像が及んでこそ守れるものです。

目先の“納期短縮”や“今だけ楽すればいい”と考えると、バイヤーや物流、最終顧客まで影響が伝播する可能性が見過ごされがちです。

現場文化の“形骸化”とリーダーシップの問題

どの現場も「マニュアル通り・標準作業でやります」と言いながら、いつの間にか“形だけ”守っているケースが多々あります。

特に生産ピーク時や一時的な増員・応援作業では、「誰がどこを見て確認するか」が曖昧になり、事故が発生しやすくなります。

リーダーや管理職が“なぜそのルールがあるのか”を現場に根気よく説明し、“見つけたらすぐ指摘する”リーダーシップが不可欠です。

自動化・デジタル化が“万能”でない理由

どんなにITが進化しても、現場作業の最後の一手はやはり人間による実作業です。

「バーコードも貼れば自動で管理できる」と思われがちですが、実際には

・バーコードが隅に貼られ、ハンディが届かずスキャンできない
・異なる面に貼付され、トレーサビリティが崩れる
・剥がれたり、他の荷物とくっついてしまう

といった事故が絶えません。

現場実態を知らない“机上デジタル化”ではリスクを完全には排除できません。

現場で実践すべき、荷札ルール徹底のためのアプローチ

1. 最終用途を伝える教育・OJT

単に「この場所に貼るように」と指示するだけではなく、
「倉庫作業者はここでしか見ない」「物流中の人が必ずこの面で確認する」など、バイヤー側・後工程の想像力を養う教育が有効です。

「なぜ、わざわざこの位置に?」という“WHY”を丁寧に伝えるOJTが事故ゼロ化の第一歩です。

2. リーダー自ら現場確認・フィードバック

四半期や月次で、出荷現場~バイヤー現場まで歩いて実地確認を行いましょう。

サプライヤー側の工場長が納品先の倉庫に出向き、「うちの荷札位置、現場で本当に見やすい?」「誤納防止のため改善すべき点は?」と相互確認すれば、形骸化を防げます。

3. デジタルとアナログの現場ギャップを埋める工夫

IT化が進んでいるほど、「現物とデータの齟齬」が発生しやすい傾向にあります。

誤貼付を検知する仕組みとして
・出荷検査時に画像記録を自動保存
・現場専用の「貼付治具」や「貼付ガイド」を導入
・バーコード照合で貼付面チェックフローを組み込む

など現物実態をITとセットで管理すると、アナログ業界でも高精度の運用が可能になります。

アナログ業界が変わるための新たな提案

仕事「楽にする」ことと「手を抜く」ことは違う

現場では「楽をしたいからルールを守らない」という誤解が根強くあります。

むしろ、決まった荷札位置に必ず貼り、全員が安心して動ける体制を作ることで、事故や無駄な手戻りを無くし、最終的には全員の“仕事が楽”になります。

“なぜそれを守るのか”という“意識変革”こそが、本質的な省人化・効率化の基盤です。

現場の「気づき」を改革の起点に

現場作業者が違和感を感じたことを、直接リーダーや工場長に報告できる文化の醸成も重要です。

「あれ?この荷札の場所でいいの?」という素朴な疑問が、新しい貼付方法や標準フローの見直し、ダブルチェック体制の導入など大きな成果に繋がります。

日々の「気づき」を“改善のタネ”として活かす仕組みを組織的に広めていくことが、アナログ業界の現場改革に直結します。

まとめ:荷札ルールは、現場力と信頼構築の要

荷札の貼り位置ルールは、小さなことのようで、サプライチェーン全体の事故防止・信頼確立に欠かせません。

昭和的アナログ現場でも、ルールを「なぜ守るのか」を徹底的に現場目線で伝え、日々小さな改善を積み重ねることで、バイヤーとサプライヤー双方が安心して取引できる環境が実現します。

“荷札の貼り位置”のこだわりーーそれは単なる習慣ではなく、現場のプロフェッショナリズムの証です。

製造業を志す皆さん、現場改善を目指す管理職の皆さん、日々の些細なルールにもう一度目を向けて、よりよい未来の現場づくりに取り組みませんか?

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