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SKU増加で物流作業の難易度が指数関数的に上がる現象

目次
SKU増加で物流作業の難易度が指数関数的に上がる現象とは
製造業の現場や物流現場において、SKU(Stock Keeping Unit:最小管理単位)が増えることは、一見企業のラインアップの充実や顧客ニーズへの対応力向上に貢献しているように見えます。
しかし、その裏側では現場作業の難易度が指数関数的に上昇するという、管理職や現場担当者の「あまり語られない本音」が存在します。
現場で体感してきた数々の“地味な難題”を、今回は実務者の目線で解説します。
SKU増加:その現場的インパクト
SKU数が増える実態:現場の風景
取引先や市場からの「品ぞろえを増やしてほしい」「色違いも展開できないか」というリクエストは、バイヤーにとってもサプライヤーにとっても日常茶飯事です。
SKUが増えることで在庫の細分化が進み、カタログ上の選択肢は豊かになります。
しかし、これが現場にもたらす最も大きな影響は、保管・ピッキング・出荷指示・梱包・在庫管理など、すべての物流工程の複雑化です。
たった1SKU新たに加わるだけで、保管場所の見直しから現場作業者への教育、システムマスタの修正など“見えない工数”が山ほど発生します。
現場スタッフから見たリスクの増大
現場目線で考えれば、SKU増加は言い換えれば「ミスのトラップ」が増えることを意味します。
似たような型番や色、サイズが並んだ棚を素早く(かつ正確に)判別することは熟練者でも年々厳しくなり、新人担当者にとっては更なるハードルとなります。
労災や誤出荷、棚卸ミスといったヒューマンエラーの発生確率が文字通り指数関数的に高まるのです。
物流難易度が指数関数的に上がるとはどういうことか
パラメトリックに増える作業手順と組み合わせ
物流現場では、SKUが10個から100個に増えた時、単純に作業量が10倍になるわけではありません。
保管ロケーションの組み合わせ、ピッキングリスト上の並び替え、梱包パターンの増加、ラベルの種類や貼付場所、多段階検品の必要性など、「考慮すべき事柄の数」が爆発的に膨れ上がります。
これは大学の組み合わせ数学にも似ており、「A商品・B商品・C商品…Z商品がどのタイミングで、どの組み合わせでピッキングされるか」そのパターンは理論上無限大に近づきます。
現場では“平時”でも異常対応が日常に
SKUが1000、2000と膨らむ現場では、ベテラン作業者の「いつも通り」が通用しなくなります。
オーダーのうち1件でも「B商品の緑、13cmサイズの特注」などイレギュラーなものが混じっていれば、そこだけ作業手順が異なる、という事態が常態化します。
そのうえ、突発的な製品仕様変更や、ラベル表示内容の微調整が発生すれば、現場は即座に対応を求められます。
化学反応のように想定シナリオが指数関数的に増えていき、ベテランも新人も“初見対応”が増え、現場全体が疲労していきます。
「昭和のやり方」が限界を迎える瞬間
伝票・人海戦術の幻想
昔ながらの「伝票で流す」「現場の知恵でうまくこなす」といったアナログ的な物流管理は、SKUが30~50程度までなら成立します。
しかし、SKUが100を超えたあたりから、手作業・経験値依存の限界が顕著に現れます。
単純計算で、SKU30のときのヒューマンエラー確率を1とすると、SKU100なら約10倍、SKU500では100倍以上になることも想定されます。
システムマスタや教育体制も追いつかない現実
SKU追加時の部品表リスト登録や、現場担当者への教育資料の更新、全社的な管理ルールの周知徹底など、“一度作れば終わり”の業務はほぼありません。
SKU実装に伴い必要となる諸々の管理マスター修正や、細部の現場作業ルールのアップデート、教育の手間も、自動化しない限り労働集約的で泥臭く負担が積み重なります。
製造業・物流現場の「逆転の発想」
SKUは何のために増やすべきなのか?
生産管理や営業サイドから「SKUを増やさないと競争力が落ちる」という圧力がかかることは珍しくありません。
しかし、なんでもかんでも増やせばよいわけではなく、「SKU追加の真の目的」を部署横断的に再定義すべきです。
現場の負荷を最小限にしながら、顧客満足・売上拡大という本来目的を追求するためには「SKUごとの売上貢献」「SKU追加に伴う現場の負担コスト」などを見える化し、不要なSKUの間引き・統合も重要な議論になります。
デジタル自動化で“現場の無理”をゼロにする
近年では、WMS(倉庫管理システム)やハンディターミナルの導入、ロボットピッキング、AI画像認識による検品などの自動化技術が拡大しています。
SKUの増加=現場の疲弊、という負のスパイラルを断ち切るには、こうしたデジタル技術・IoTの活用が不可欠です。
「誰がやっても間違いが起きにくい工程設計」「繁閑差に耐えうる省人化フロー」を意識するべきです。
バイヤーとサプライヤーの関係に潜む“見えない摩擦”
バイヤーが無意識に発注しているSKU増加リスク
バイヤーは、売上向上や自社ブランド価値向上のため商品バリエーション増に努める傾向があります。
しかし、それが現場の負荷爆増、最悪の場合は物流崩壊やコスト増・納期遅延等のリスクに直結するという“現場のリアル”は、意外と伝わっていません。
サプライヤーのジレンマとアクション
サプライヤーの立場から見ると、顧客要望にはなるべく応えたい一方で、SKU増加は生産効率や在庫管理費用の負担増となりがちです。
こうした場合、双方の立場を理解した上で、「SKU増加の本当の意味」や代替策の提案(例:カスタマイズオーダー制への移行、カラー・サイズの絞り込み)など、建設的なコミュニケーションがカギとなります。
まとめ:現場目線の“最適SKU数”の再考
製造業の現場に長く携わってきた者として断言できるのは、「SKUは増やすほど現場が大変になる」のではなく、「指数関数的に難易度が上昇する」ということです。
SKU増加が単なる品ぞろえや会社アピールに止まらず、真の顧客満足や利益拡大につながるよう、現場、営業、経営層が一体となり“適正SKU数”と運用設計を再考すべきフェーズに来ています。
単なる昭和的根性論や人海戦術からの脱却、デジタル技術の大胆な活用、そして部署間・企業間コミュニケーションの深化——。
それこそが、“指数関数的に複雑化する物流現場”で今後求められる「サバイバル力」なのです。
現場を知るバイヤー、サプライヤー、物流・生産管理担当者の皆さんが、SKU増加を制する=これからの製造業を制する力になることは間違いありません。
今こそ視野を広げて、地に足の着いたSKU戦略を一緒に考えていきましょう。
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