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投稿日:2025年12月10日

新規部品導入時の検証プロセスが不足しリスクが残る本音

新規部品導入時の検証プロセスが不足しリスクが残る本音

昭和から抜け出せない現場の現実

製造業の現場に20年以上身を置いて感じることは、「変わらない強さ」と「変われない弱さ」が隣り合わせで存在していることです。
特に部品調達や新規導入のプロセスは、昔ながらの“人の勘と経験”に大きく依存しているケースも多く、「これまで大丈夫だったから今回も大丈夫だろう」という空気がはびこっています。

とはいえ、グローバル調達が当たり前になった今、製品バリューチェーンが複雑化し、ひとたび導入した部品に不良があれば、国内外の顧客まで迷惑をかける時代に変わりました。
だからこそ、新規部品導入時の検証プロセスは、組織の未来を左右する重要なポイントになっています。
しかし、現場の負荷や納期短縮のプレッシャー、膨れ上がるコスト意識などから、本来必要な工程がスキップされがちなのも実情です。

では、実際にどのような問題が生じているのでしょうか。

新規部品導入プロセスの理想と現実

理想的な新規部品導入プロセスは、次のような流れになります。
1. 仕様書・図面などによる要件定義
2. サプライヤーとの事前技術打合せ
3. サンプル手配&初期検証(寸法測定、材質・性能評価など)
4. 量産トライアルと実機搭載
5. 信頼性/耐久性評価
6. 不具合発見時のフィードバック&工程改善
7. 認定後の安定量産へ移行

しかし現実には、時間やコストから
「とりあえず現物を見てみよう」
「机上評価だけで良いのでは?」
「客先の要求も厳しくないから大丈夫」
といった“省略”“簡略化”の空気感が根強く、新規部品導入がズルズルと進むことが少なくありません。

特に大手メーカーの場合、購買・調達部門が調整役となり社内外を取りまとめる必要があるため、現場(生産技術・品質保証・設計・工程管理等)との連携や巻き込みが不十分なまま進行するケースも目立ちます。

検証が不十分なまま進めてしまう理由

新規部品導入で十分な検証をしないまま進めてしまう背景には、次のような“昭和的な”文化や課題があります。

1. 『コストダウン最優先』思考に傾く風土
2. 部門ごとの縦割り意識が改まらず、情報のサイロ化
3. 現場作業員の「大丈夫だろう」的な慣れ
4. 外部サプライヤーを“下請け扱い”し、フィードバックが形骸化
5. 品質保証部門の人的リソース不足
6. 上層部からの「早く導入してくれ」のプレッシャー
7. 不具合時の原因特定や再発防止策検討プロセスが十分でない

このような状況が重なると、「そこそこ使えそうだからOK出しておこう」「細かい実験や追加コストは後回しでいい」との妥協が生まれやすく、結果的に見えないリスクが社内に蓄積されていくのです。

現場で起きている“ありがちな失敗例”

実際に、私が見聞きした現場では、次のような失敗例が頻繁に起こっています。

・初期サンプルで測定数が少なすぎて、希少な不良モードを検出し損ねる
・試験条件や測定方法が旧規格のまま運用され、“今の用途”には不足していた
・模倣品(コピー品)と気付かず、そのまま量産ラインへ流してしまった
・量産立ち上げ時のサプライヤー製造ラインの状態を“現地現物”で見ていない
・規格認定は問題なかったが、実際の製品実装やシステム連携で誤作動
・現行部品にない新材料・新メッキなどの工程を十分に検証しなかった

こうした失敗は、一見、個々のミスや運用不備と見られがちですが、根底には「検証体制が形骸化している」という組織全体の課題が横たわっています。

“検証プロセス”見直しのポイント

将来のリスクを減らし、本来あるべき部品導入プロセスを確実に機能させるためには、以下のようなポイントや工夫が求められます。

1. 初期段階で各部門が本音をぶつける
調達、設計、品質、生産技術―。
部門間の風通しを良くし、サプライヤー側も交えたディスカッションに“異論”や“違和感”をしっかり提示する環境が不可欠です。
他部門だからと遠慮せず、現場の声やリスク懸念を率直に共有することで、漏れなく検証テーマを洗い出せます。

2. 検証仕様&GATE管理を徹底する
「なぜこの検証をするのか」「どの項目が必須なのか」を、導入プロジェクトの初期段階で明確化しましょう。
各工程の“GATE(関門)”で妥協や棚上げが起きないよう、KPIやクリティカルパスを設定し、“見える化”する仕組みが重要です。

3. 現場の“古参”と“若手”の目線をミックスする
長年の経験値から来る直感や懸念(たとえば“ちょっとした違い”に感じる違和感)、新入社員や外部人材のフレッシュな視点の双方がかみ合うと、見落としやすいリスクも早期に拾えます。

4. サプライヤーとの“共創関係”を作る
部品の価値や生産プロセスの先まで意識できる強いサプライヤーとの関係作りが大切です。
“下請け発想”から一歩踏み込み、開発段階から品質・コスト・納期リスクを共に話し合い、現地現物で納得感を持ち合うパートナーへと進化させましょう。

バイヤー・サプライヤー双方に求められる視点

バイヤー視点:
「メーカーの責任感」として、“今・ここ”だけでなく、“数年先の市場要求や環境変化”も見据えた部品検証ができているか自省する必要があります。
また、名ばかりの“管理点”に頼らず、本質的なリスク抽出(たとえば製品の使用環境やメンテ周期まで見据えた設計)が重要です。

サプライヤー視点:
「納期とコスト」だけで選ばれる時代は終わりつつあります。
自社の工程能力や、過去のトラブル事例から学んだ注意点を、率先して提案・共有できるパートナーとして信頼を獲得することが、事前検証を強化できる強みとなります。

アナログ業界にこそチャンスあり

日本の多くの製造業では、未だ「紙文化」や「現場のカン・コツ」が根付いています。
だからこそ、“マニュアル通りにやればOK”という固定観念から脱却し、少数精鋭であっても現場・本社・サプライヤーがフラットに意見し合い、本気で検証を重ねる組織には大きな伸び代があります。

例えば、IoTやAIなどの新テクノロジーを検証工程に取り入れることで、従来“見えなかった”品質変動や工程異常を可視化する動きも出始めています。
アナログ業界だからこそ、今こそ大胆な変革と、現場ベースのラテラルシンキング(水平思考)が生きてくるのです。

最後に:価値ある検証を仕組みに落とし込む

新規部品導入時の検証プロセスは、やり過ぎても、形だけやっても現場には根付きません。
「何のために検証し、どこで合格、どこでNOと言うか」を関係者全員で共通理解し、属人化を脱して曖昧さを排除しきる仕組み作りが不可欠です。

変わり続ける世界、市場の不確実性の中、確かな現場力で顧客へ安心と価値を届ける―その出発点が「新規部品導入時の検証プロセス」なのです。
本記事が、現場担当者やバイヤー、サプライヤーの皆様にとって、もう一歩踏み込んだ“現場改革”のヒントとなれば幸いです。

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