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コーターブレード摩耗が品質不良につながる理由

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コーターブレード摩耗が品質不良につながる理由
製造業において、「コーターブレード」の存在は意外と日常的に語られることが少ないかもしれません。
しかし、ロータリー印刷やコーティング工程に携わる現場の方にとっては、その一挙手一投足が製品品質に直結する重要なパーツです。
今回は、コーターブレード摩耗による品質不良の実態と現場で起きている課題、そして改善へのアプローチまで、私自身の現場経験を織り交ぜながら深く掘り下げていきます。
コーターブレードとは何か?
コーターブレードは、塗工(コーティング)やインキの塗布、フィルム製造などさまざまな生産工程で使われている刃状の消耗部品です。
主にロール表面の材料を一定量・一定厚みに制御する役割があり、高精度な表面処理には欠かせません。
例えば、偽札防止ホログラムが埋め込まれたフィルムや、電子部品向け機能性フィルムなど、最終製品の安定的な品質を保つために「均一な膜厚」「異物レスな表面仕上がり」が強く求められます。
現場では「コータブレード」「ドクターブレード」といった呼び名もありますが、基本的には刃先の摩耗や損傷が進みやすい消耗品です。
どんな摩耗が発生するのか?
コーターブレードは、直接ロールや塗布面にタッチし続けるため、運転時間が長くなるほど摩耗が進みます。
主な摩耗形態には以下のようなものがあります。
1. 均一摩耗
刃先全体が、比較的均一にすり減っていく現象です。
適度な設定で使われており、突発的なトラブルの前兆は比較的見えにくいです。
2. 局部摩耗・エッジ摩耗
一部分だけ極端に摩耗し、刃先が段付きになったり、角が削れたりします。
異物の噛み込みや、ロールと刃のミクロな精度不良、セットアップのズレから発生しやすい特徴があります。
3. 経年変形や摩擦熱による歪み
特に樹脂製、セラミック製のブレードでは熱で曲がったり歪んだりする現象があり、コーティングラインの長時間連続運転時に顕著です。
現場の感覚ですが、「刃先の厚みの減り」「刃の角度の変化」「断面の欠けやミクロンレベルのギザギザ」も重要なチェックポイントです。
多くの現場でコーターブレードの摩耗に無頓着な理由
日本のものづくり現場は、よくも悪くも「経験と勘」に依存しやすい傾向があります。
ベテラン作業者が「音」や「作動圧の感覚」で交換タイミングを見極めている例が多く、デジタル管理が遅れている側面も見逃せません。
また、紙やフィルムなど母材ロールの状態や、原材料の微妙な粘度差、日々変動する温湿度にも大きく影響されるため、「調整で何とかなる」と軽視されがちです。
結果として、品質トラブルが起きて初めて、「あ、そういえば最近ブレード替えてなかったな」となってしまう現実が根強く残っています。
工場長経験の観点でも、設備投資や消耗品コストを削減したい気持ちが現場に伝わるほど、どうしても「もう少し使える」と判断してしまいがちです。
摩耗が引き起こす品質トラブルの具体例
摩耗したコーターブレードは、ただ単に「すり減る」だけではありません。
刃先の状態が製品の膜厚分布や表面の仕上がり精度にまでダイレクトに波及します。
現場で実際に起きやすい現象を紹介します。
1. 膜厚ムラ・スジ不良
摩耗により刃先の圧力バランスが崩れることで、コーティング層が「筋状」あるいは「雲状」に乱れる現象です。
高機能フィルムや電池材料など、μm単位で均一性を求められる製品では最も重大な不良となります。
2. パーティクル混入・異物付着
金属刃先の摩耗粉や、欠けた樹脂片がそのままライン上に流れ込み、母材側に異物として混入するリスクがあります。
特にクリーンルーム工程で鍛えられる分野では、こうした異物の発生源調査が大きな負担です。
3. 滴下・だれ・にじみ発生
摩耗によりコーティング剤の保持力が低下すると、意図しない箇所に液だれ・にじみが起こりやすくなります。
乾燥後に見えてくる「繊細な波打ち模様」や「端部のにじみ」は、摩耗した刃先が液をコントロールしきれていない証拠です。
なぜ摩耗を見逃すと「品質不良」が止まらないのか?
大きなポイントは、「コーターブレードは目視点検だけでは異常を掴み切れない」という構造的課題です。
実際の膜厚や表面状態のバラつきは、数値管理と定期的なサンプリング検査が必須ですが、アナログ現場ではどうしても「体感」や「慣れ」で判断されがちです。
また、摩耗は「じわじわ進行する」ため、初期の小さなズレは見落とされやすいですが、ある日を境に急激な不良発生率の増加として現れるパターンが少なくありません。
これは、刃先の摩耗と製品不良発生の間にタイムラグが生じやすいため、「突発事故」「原因不明のトラブル」として処理されることも多いです。
特に複雑なサプライチェーンの中では、サプライヤーとバイヤー間で「何が原因だったのか」追跡が難しく、責任分担や再発防止の視点でも大きな課題となります。
現場力で「摩耗監視」を強化しよう
では、コーターブレードの摩耗管理をどのように変えていけば良いのでしょうか。
20年以上の現場経験から言えることは、以下の3つの視点でアプローチすることが重要です。
1. デジタル管理とトレーサビリティ
従来はノートやExcelに「交換日」や「異常有無」を記録する程度でしたが、今後はIoTやセンサー活用も視野に入れ、稼働データ・交換履歴・不良発生履歴を一元管理することが求められています。
ひとたび「いつ、どの条件で、どんな不具合が出たか」を明確化すれば、設備管理・購買部門・品質部門との情報共有がスムーズになり、再発防止策も立てやすくなります。
2. 標準化(SOP化)と教育の徹底
ブレード交換や点検の基準をしっかり明文化し、ペーパーレスで運用できる仕組みを作ることも大切です。
また、新人作業者でも「どこを、どんな道具で、どの順番で見ればよいか」を習熟しやすくするための抜け漏れチェックリスト作成や定期的な現場教育も有効です。
3. サプライヤーとの連携強化
消耗品メーカーとの情報交換を強化し、「なぜこの素材なのか」「どんな摩耗条件で寿命が決まるのか」最新知見を吸収する姿勢も重要です。
また、購買部門がコストダウンだけでなく、「停滞リスク」「品質トラブルコスト」を総合的に評価する文化を根付かせれば、長期的に高品質な生産体制を維持できます。
バイヤー・サプライヤー双方が知るべき「摩耗管理」の真価
昨今のデジタル化の波にもかかわらず、多くの製造現場は「昭和的な職人技+アナログ管理」が根深く残っています。
しかし、国際競争や市場ニーズの変化により、少しの膜厚不良や異物混入が重大な信用不安につながる時代に突入しています。
バイヤー(購買担当者)は、単なるコスト比較だけでなく、摩耗部品のライフサイクル分析や不良低減力もベンダー選定基準に加えるべきです。
サプライヤー(部品メーカー)は、現場トラブル事例を積極的に開示し、「うちのプロダクトを何回使ったらどうなるのか」までリアルな情報提供に努めることが取引の質を変える第一歩です。
まとめ:摩耗管理の徹底が製造品質の真価に直結する
コーターブレードの摩耗は、一見すると些細な「消耗品の劣化」に見えるかもしれません。
ですが、現場目線で見つめ続けることで、製品品質の要である「均一性」「異物レス」「再現性」のカギを握っていることが明らかになります。
未だ根強いアナログ管理文化こそ、逆にデジタル化や標準化の導入による改善余地があるともいえます。
現場作業者、バイヤー志望の方、サプライヤーの皆さん、それぞれが自身の立場から「摩耗管理」の重要性に気づき、具体的な行動に落とし込むことが、令和時代の“ものづくり力”の礎です。
明日からの現場で、コーターブレードの交換タイミングや点検記録に、今一度目を向けてみてください。
きっと、品質安定やコスト低減への新たなヒントが見えてくるはずです。
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