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原料濃度計測用センサー部材の汚れトラブル

目次
はじめに:製造業で避けて通れない「センサー部材の汚れ」問題
製造業の現場では、原料の濃度をリアルタイムで正確に管理することが求められています。
品質の安定、生産性向上、そしてリスクの低減。
すべてに直結する要素のひとつが「原料濃度計測用センサー」です。
しかし、意外と多くの現場で「センサー部材の汚れ」―ほんの些細な汚染や堆積物の付着―が計測誤差や設備トラブルの元凶となっています。
この問題は、決して最新デジタル化だけでは解決できません。
むしろ、昭和から続くアナログ的な油断や、省コスト意識、保守の現場感覚の甘さが根強く残っているため、何度も繰り返される傾向にあります。
本記事では、現場のリアルな体験と業界の知見を混ぜ合わせ、原料濃度計測用センサー部材にまつわる「汚れトラブル」について、具体的かつ実践的に深掘りします。
原料濃度計測用センサーとは何か?その役割と種類
主流の計測センサーの種類
化学薬液や食品、塗料、金属加工液など、原料の濃度を安定的に測るために、様々なセンサーが活躍しています。
代表的なのは、以下の3タイプです。
– 電気伝導度式(導電率式)濃度センサー
– 超音波式濃度センサー
– 光学式・濁度(吸光度)センサー
それぞれのセンサーは測定の原理が異なるため、汚れの影響の受けやすさも違います。
汚れというアナログな現象が、それぞれどう影響するかを見ていきましょう。
なぜ「部材の汚れ」が命取りになるのか
計測センサーが正確な数値を示すには「検知面がクリーンである」ことが大前提です。
ですが、実際の現場では、次のような現象が発生します。
– 原料成分の析出物、固形物がセンサー表面に付着・堆積する
– スケールやバイオフィルム(ぬめり)が薄く広がる
– 微細な鉄粉や樹脂粉塵が静電気で付着する
– 洗浄工程後のすすぎ残しや、油分・グリースの再付着
一見しただけでは気づかない微細な「汚れ」や「薄膜」ですが、これが測定誤差の蓄積や「警報遅れ」に直結し、最悪の場合は不良品流出や生産停止リスクの引き金になるのです。
なぜ現場で汚れ問題が軽視されやすいのか?
ここが昭和アナログ業界で根深い「文化的問題」です。
1. 清掃・洗浄の頻度=コストとしか認識されていない
現場では「定期的に分解洗浄しているから大丈夫」「ステンレス製だから汚れにくい」という固定観念が根付いています。
清掃作業は生産効率に直結しないので、特に現場リーダーや中間管理職が省略しがちです。
洗浄の頻度=コスト、という見方が根強いのです。
この点が「トラブルが起きるまで動かさない」という、日本の現場的な“もったいない精神”の裏返しとも言えるでしょう。
2. 汚染の「見える化」が進んでいない
センサーの汚れというのは見えにくいものです。
目視点検や“指でなぞってみる”程度のチェックでは、測定精度へ及ぼす影響まで把握しきれません。
そもそも汚れそのものが水や薬液で溶けたり、光学的に透明だったり、ということも多いので、「汚れている」自覚そのものが生まれにくいのです。
3. 異常値が出ても“測定の問題”にされがち
工程で異常値(例えば原料が薄い・濃いなどの警報)が出ても、「センサーの不良」や「電気系統のトラブル」として処理されがちです。
結果、すぐに計測器メーカーへ丸投げし、現場側は“汚れ”の影響を真剣には分析しなくなります。
この悪循環が根深いトラブル体質を生んでいます。
実際にあった「部材の汚れ」によるトラブル事例
事例1:塩分濃度センサーに付着したカルシウムスケール
食品工場で、原料水の塩分濃度管理に使っていた導電率式センサーに、カルシウム由来のスケールがミリ単位で付着したことで、濃度が過少表示されるという事態が発生しました。
製品ロット数十件分がNGとなり、原料廃棄とライン停止で大きな損失を被りました。
原因は、稼働環境の硬水による析出物と、「月1回点検」で十分だろうという過信でした。
事例2:光学式濁度計のセンサー面に付着したバイオフィルム
化学プラントで、冷却水の濁度モニターが誤作動を繰り返す事象がありました。
分解してみると、センサーの光学窓に肉眼では見えにくい薄いバイオフィルムが広範囲に堆積。
これが光の散乱を微妙に変化させ、濁度測定値の上振れを引き起こしていました。
しばらくは「計器の老朽化」と見なされていたのです。
事例3:セラミック流量センサーの油脂汚染
金属加工工程で、クーラント液の流量管理に使っていたセラミックセンサー。
オイルが混入しやすい現場で、センサー面に微細な油脂膜が堆積し、僅かながら流量指示が狂う→加工機保護ロジックが働き急停止。
点検時に油の“てかり”が残っていたことに現場担当者が初めて気付いた、というリアルなエピソードです。
最新のセンサー技術と「汚れ対策」の現状
セルフクリーニング機能の搭載
近年では、センサー自体が「セルフクリーニング」する仕組みも登場しています。
例としては、
– 超音波振動で表面の汚れを自動的に弾き飛ばす
– 表面コーティングにより親水・親油性をコントロールし、汚れが付着しにくい構造にする
こうした進化は確かに進んでいますが、実際の現場では“たまにイレギュラーな汚れ”や“想定外の異物”でセンサー寿命が縮むケースも多いので、過信は禁物です。
「点検間隔の最適化」「状態監視」の導入
IoTやAI解析の導入によって、「センサーの出力値のドリフト」「応答変化」といった微細な発生傾向を捕捉し、汚れや異常を先読みできるシステムも増えています。
事前警告ができれば、突発的なトラブルを防ぐことが可能です。
ただし、“アナログ発想”主体の工場では、まだまだ導入率は高くないのが実情です。
素材開発とサプライヤーの提案力
センサーメーカーや素材サプライヤーは、耐薬品性や汚れ付着リスクを減らす新素材を開発しています。
フッ素樹脂コート、シリコン系親水コート、ナノテク薄膜加工などが代表的です。
バイヤー側からも「付着防止加工」「現場の洗浄頻度適正化」など、素材選定段階での“汚れにくさ”重視の提案要求が高まっています。
現場で実践できる「センサー部材汚れ」対策のポイント
1. 日常点検+簡易洗浄のルーティン化
– 毎班ごと(1日1回)で目視とセンサー表面の濡れ雑巾拭きを徹底
– 週次で分解清掃。洗浄剤+ブラシで定期的なリセット
– 表面の曇り・違和感があれば即洗浄実施
手間はかかりますが、「測定器は消耗品」という意識を持ち、省メンテに走らない工夫が大事です。
2. 異常値が出た際、「汚れ」を最優先で疑うルール
測定値がおかしい、センサーが頻繁にエラー出しする。
そんなときこそ、まず「汚れチェック」を第1アクションに据えてください。
“メーカー依頼”前にできることを明確化しましょう。
3. 洗浄方法・頻度・部材の見直しを習慣化
– センサー表面に適した洗浄剤や道具の選定(酸性・アルカリ性・有機溶剤など)
– ライン洗浄時にセンサーも同時洗浄できる治具の工夫
– センサー毎の洗浄履歴・トラブル事例を明確に記録・共有(デジタル記録の活用)
これらを現場ルール化し、サプライヤーへも「より汚れに強い仕様」の改善提案を行いましょう。
バイヤー、サプライヤーが重視すべき視点
バイヤー目線
– 価格と性能だけでなく、「汚れ耐性」「保守の容易さ」を重視した評価
– 新規採用時は必ず「現行品との定期洗浄比較トライアル」を実施
– メーカーやサプライヤーに“クリーニングガイド”“トラブル履歴データ”を提出させる
これらが将来的なランニングコストやトラブル低減のカギになります。
サプライヤー目線
– 顧客現場でどんな汚れ・異物が実際に付着するのか、「現場視点」の情報を丁寧にヒアリング
– 汚れ事例や洗浄方法のナレッジ共有を常にアップデート
– 劣化・汚染に強い素材開発への継続的な取り組みと、改善提案の積極化
これらの積み重ねこそ、信頼を得るサプライヤーへの近道です。
まとめ~センサー部材の汚れ問題は、アナログ発想からの脱却と現場主義の両輪で解決を
原料濃度計測用センサーの部材汚れによるトラブルは、デジタル技術の進化だけに頼ることなく、現場の「アナログ的な気付き力」と「定期的なメンテナンス習慣」が最も重要な解決策です。
そして、バイヤーもサプライヤーも、価格・納期だけでなく「汚れに強いか/現場で使いやすいか」を評価軸に加えることで、昭和型工場でも一歩先へ進むことができます。
小さな“見落とし”が大きな損失に直結するこの時代、現場感覚を研ぎ澄まし、地道な積み上げによる「新しい地平線」への挑戦を一緒に進めていきましょう。
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