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投稿日:2026年1月5日

ガスケット部材の材質選定ミスが香味変化を引き起こす理由

はじめに:ガスケットと香味変化の密接な関係

食品・飲料業界の製造現場では、「ガスケット部材の材質選定」が想像以上に重要な役割を果たしています。
特に香味、すなわち製品の味と香りの微細な違いは、消費者の評価を大きく左右します。
昭和の時代から続く設備と文化の中で、「昔からこれで良かった」と慢心することなく、ガスケット一つ取っても最適な材質を選ぶ目線が問われています。

この記事では、20年以上にわたる現場経験と管理職視点から、ガスケット部材の材質選定ミスがどのようにして香味変化を引き起こしてしまうのか、そのメカニズムと現場への影響、そして真に効果的な材質選定の要点を実践目線で解説します。
調達バイヤーやサプライヤーの方も、是非現場の空気感・視点を持ってお読みいただければと思います。

ガスケットとは何か?その役割を再確認する

ガスケットは、配管接続部分や機器の接合部など、液体やガスの漏れを防止するために使用される重要なシール材です。
食品・飲料業界ではステンレス製の配管やタンクの継ぎ目、加熱ラインやポンプなど、数多くの場所にガスケットが使われています。
ガスケットの主な材質としては、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコンゴム、PTFE(テフロン)、カーボン入りゴム等が挙げられ、それぞれに耐薬品性や耐熱性、柔軟性など特徴があります。

昭和の工場では長年同じ材質・同じメーカーのガスケットを使用し続けている現場も多く見受けられますが、現代の多様な製品・生産条件では、その選定が香味や品質に与える影響が増しています。

材質選定ミスがなぜ香味変化を呼ぶのか

香味へ直接の影響:「ガスケットからの溶出」と「吸着」に注意

ガスケットと接する食品や飲料の中には、水や油、アルコール、有機酸、糖分など多様な成分が含まれます。
もし選ばれたガスケットの材質が液体との親和性や耐薬品性に適していなければ、二つの現象が起こります。

一つ目は「溶出(Migration)」です。
ガスケット材質に含まれる添加剤(可塑剤、滑剤、防腐剤など)が製造物に溶け出し、微妙な香味変化や異臭、時には安全性上の問題に発展する場合もあります。

二つ目は「吸着」です。
ガスケット表面が水分や香気成分を吸着してしまうと、本来製品が持つべき芳香や風味が奪われ「劣化した香味」となってしまいます。

工場内で長年使い続けた材質でも、原料や配合が知らぬ間に変わっているケースもあり、昭和から続く“昔の常識”が通用しない例も増えています。

環境・工程由来の間接的影響も無視できない

材質選定ミスによるガスケットの摩耗・劣化は、粒子の混入やシール不良→加熱・冷却工程における温度変化、過度な圧力変動、頻繁な洗浄による薬品暴露など、過酷な使用環境での問題も噴出させます。
例えば、不適切なゴム材質はCIP(定置洗浄)や高温殺菌のたびに硬化・膨潤・割れが進みやすく、マイクロリーク(微小漏れ)による微細な成分変質も見過ごされがちです。

現場で「最近なぜか味が安定しない」、「香りが飛びやすくなった」などの小さな変化があれば、その原因の一端がガスケットに潜んでいる可能性は十分にあります。

具体的な現場トラブル事例

事例1:新製品立ち上げ時に発生した異臭問題

清涼飲料を生産するある工場で、新バージョン飲料の立ち上げ時に「金属的な異臭がつく」というクレームが続出しました。
徹底した分析の結果、原因は配管の一部ガスケットがNBRからEPDMに変更されたことによるものでした。
旧NBRタイプでは安全性は確保されていたものの、新しい飲料の有機酸成分がEPDMから添加剤を微量溶出させてしまい、香味が僅かに変わってしまったのです。

事例2:洗浄工程改善→意外なガスケット劣化で香味低下

ある調味料メーカーが、HACCP対応としてCIP洗浄の温度・洗剤化学成分の変更を実施した際に、以前より「香りが抜ける」「コクが足りない」との内部指摘が増加。
調査を重ねた結果、洗浄の薬剤耐性が不十分なガスケット材質の老朽化が進み、製品の香気がガスケットに吸着されていたことが判明しました。

このような現場経験は、味覚や嗅覚といった「数値化しにくい領域」でも、アナログに蓄積された“職人の勘”とともに、理論的根拠と材料知識を組み合わせて初めて解決に繋がります。

最適なガスケット材質の選定手法

1. プロセス条件・成分分析からの逆算

重要なのは、現行の製造プロセス・製品成分・最大温度・圧力・化学薬品暴露などの全プロセスを丁寧に洗い出すことです。
特に新規開発・リニューアル時は、新成分や微量成分までリストアップし、それに耐性を持つ材質を複数候補として比較検討します。
「成分に弱いガスケット材質でなぜ問題が起きるのか?」を現場のトラブル履歴と突き合わせるのがポイントです。

2. サプライヤー・メーカーとの連携強化

組成や配合変更、最新材料の情報はサプライヤーにしか分からないことも多く、昭和型の「電話一本で済ます」調達から、「現場同行」「材質認定」「実地検証」をセットとする付き合いに変化すべきです。
バイヤー視点では「カタログスペック」だけでなく、「現場トラブル事例」や「組成情報の開示」を必須要件としましょう。

3. 定期的な交換・状態監視の推進

ガスケットは消耗材です。
現場には「まだ使える」「問題なさそう」といった判断が蔓延している場合が多いですが、香味変化リスクの観点では、早期交換による未然防止が重要です。
特に洗浄条件や温度変化の大きい現場、難揮発成分・香味成分を扱う現場では、記録付きの定期監視と交換タイミングの見直しがリスク軽減に直結します。

実践的な提案:デジタルと現場アナログの融合へ

今後は「デジタル管理」と「現場観察」を両立する姿勢が求められます。
例えばIoTセンサで温度・圧力履歴、ガスケット取り付け日時等を可視化しつつ、現場の五感を活かした異常察知の仕組みも残すことがベストです。

ガスケットの材質変更時、サンプル検証だけでなく一定期間のテストロット運用、抜き取りサンプリングでの香味分析等、多角的なアプローチが不可欠です。
また、香味変化だけでなく、微小な異物混入リスクも見過ごさず、現場と調達、設計、品質管理、サプライヤーが一体となるコミュニケーション体制の改革こそが「一歩先ゆく品質保証」へと繋がります。

まとめ:ガスケット材質選定は香味品質保証の第一歩

製造業現場では、部品一つ一つの材質選定が製品品質、最終的な香味・風味にも大きな影響を持ちます。
特にガスケットなど消耗部材は「ものづくりの基礎」ですが、香味・風味という繊細な分野でも決して見過ごせないキーパーツです。

材質選定ミスを防ぐためには、現場の知恵・経験と、最新の材料科学やサプライヤー情報を融合し、定量・定性双方のデータを生かした運用が必須です。
今こそ昭和から続く「慣習」を超え、現場に即した新しい視点で、ガスケット材質の最適化に取り組んでいただきたいと思います。

ガスケットを制する者が、香味品質を制す。
あなたの現場でも、ぜひ今日から点検・見直しを始めてみてください。

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