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造粒機用シール部材の材質選定と粉漏れ対策

目次
はじめに:造粒機の心臓部「シール部材」とは
製造業の現場において、造粒機は医薬品や食品、化学製品の製造工程で多用されています。
粒子状の原料の流し込みや、湿式・乾式造粒など、その役割は多岐にわたりますが、同時にラインからの「粉漏れ」や「異物混入」といったトラブルも絶えません。
その主要因のひとつが、造粒機に使われている「シール部材」です。
この記事では、シール部材の材質選定と粉漏れ対策について、現場目線でわかりやすく解説します。
造粒機のシール部材の役割と重要性
なぜシール部材は重要なのか
シール部材は、造粒機内部と外部を「遮断」する役割を持っています。
わずかな隙間から原料粉が漏れ出すと、設備の周囲が汚れるだけでなく、異物混入や歩留まり低下、最悪の場合は近隣工場への粉体飛散など、重大なトラブルに発展しかねません。
近年はGMP(適正製造規範)やHACCPといった高い品質管理基準が求められる中、シール部材の選定は製造現場にとって最重要テーマの一つとなっています。
昭和のアナログから現代のデジタルへ
かつて多くの現場では、とりあえず手近なゴム板やフェルトで応急的に作られたシール部材が使われていました。
安全意識やコスト意識が強い一方、現場ごとに独自工夫が根付き、材質や設計が統一されていませんでした。
しかし今、標準化・最適化が強く求められる流れの中、最適な材質選定が現場力の差を生み出しています。
材質選定の基本:使用環境を洗い出す
1. 粉体・原料の物性を把握する
まず、シール部材が接触する粉体の粒径・硬度・流動性・吸湿性・腐食性といった詳細な物性を把握しなければなりません。
特に「化学的な反応性(材料の分解や劣化、膨潤)」、「摩耗のしやすさ」、「清掃工程での耐洗剤性」など、材質ごとに影響を受けやすいファクターに着目します。
2. 装置側の温度・圧力・回転数・構造
造粒機のどの位置にシール部材を使用するのかによっても材質選定の基準は変わります。
例えば、ロータリーバルブや供給スクリューの軸シール、側面部や投入口、排出口など、それぞれの環境での温度変動、圧力、回転数、摺動・静止など労働環境も違います。
メンテナンス作業性や分解頻度、現場での交換しやすさも考慮しなければなりません。
3. 食品・医薬品工場では法規制も加味
食品や医薬品工場では、FDA(米国食品医薬品局)や日本薬局方、厚労省認可材質など、法的規制がかかるケースが多いです。
接粉部については必ず「フタル酸エステルフリー」「重金属フリー」「食品衛生法適合」など、証明書付きの材質であることが必須条件です。
主要なシール部材材質と特長(現場目線のメリット・デメリット)
1. 合成ゴム(NBR, EPDM, FKMなど)
合成ゴムは汎用性が高く、密封性能に優れています。
EPDMは耐熱・耐薬品性があり、NBRは油脂への耐性が高いのが特徴です。
FKM(フッ素ゴム)は高温・高薬品環境でも劣化しにくいですが、コストは上がります。
耐摩耗性、耐油・耐水性、柔軟性、価格バランスで最適なものを選ぶ必要があります。
2. テフロン(PTFE)・PEEKなどの樹脂系素材
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:いわゆるテフロン)は化学的安定性と滑り性が極めて高く、摩耗粉も少ないです。
医薬やバイオ分野でも広く使われていますが、柔軟性に欠けるため摺動シール用途では注意が必要です。
PEEKは更に高温・高強度対応ができるハイエンド素材です。
3. メタル系(ステンレスワイパー・オイルシール・バネ付きリップシール)
金属系シールは、主に高圧・高温・高回転環境に強みを発揮します。
ただし、相手部品(金属シャフトなど)との摩耗や、摩耗粉による異物リスクが付きまとうため、食品・医薬現場ではあまり主流ではありません。
逆に粉体の硬度が高い場合や、腐食性粉体の排除を優先する場合には適しています。
4. 特殊フェルト・パッキン(非金属繊維系)
コストを抑えつつ、粉漏れを止めたい場合に使われます。
ただし吸湿や膨潤、脱落による異物混入がリスクとなるため、慎重な設計が求められます。
粉漏れを防ぐための設計上の工夫とは
1. シール部の多重化・ラビリンス構造
たった一枚のパッキンやOリングだけでなく、複数のシール部材の重ね使い(多重シール)は粉漏れ対策の王道です。
また、軸回りなどは「ラビリンス構造(迷路状の隙間設計)」を導入して、粉体が直進できない経路を設計します。
これにより、粉漏れリスクは劇的に軽減されます。
2. 一体化設計による段差・隙間の排除
昔ながらの現場では、複数部材の「継ぎはぎ」による隙間から漏れやすいケースが多く見られます。
最近は、3DプリンターやNC加工、シリコン射出成形などを活用し、隙間や段差を最初からリデザインする事例が増えています。
ユーザー側で改善点を提案し、OEMメーカーにフィードバックする動きも活発です。
3. 購買部門と現場の連携
「安かろう、良かろう」への誘惑は今も強いですが、現場の痛点やクレームを把握しているバイヤーが、実運用者とコミュニケーションを取り、材質選定や追加工(面取りや表面処理)の要否を情報連携する仕組み作りが極めて重要です。
現場の悩み<最新技術と人の知恵の融合>
デジタル時代の粉漏れ監視~異変を「見える化」
IoTセンサーやAI画像監視システムの導入が進み、シール部からの粉漏れをリアルタイム検知し、ライン停止や自動修理をサポートする最先端の技術も台頭しています。
しかし、「完璧な自動化」にはまだ壁があり、現場の肌感覚、熟練工の経験値とデータの融合が今こそ大切です。
材料メーカー・サプライヤーとバイヤーのパートナー関係
「コストダウン」が大きなミッションであるバイヤーですが、最安素材を選ぶだけではなく、安全・効率・ルール遵守のトータルコストで判断する必要があります。
一流のサプライヤーは、現場から寄せられた声をもとに改善提案(材質のカスタム配合、摩耗テスト、現場立ち合い)を重ねています。
バイヤーと技術、調達、現場がジグソーパズルのようにかみ合うことで、「もう一段階上のベストプラクティス」が引き出されます。
まとめ:現場発、製造業における未来志向のシール部材選び
パーツひとつ、シール部材ひとつを選ぶことが、現場の品質・効率・社会的信用を大きく左右する時代です。
「昭和の現場力」と「最先端技術」の両方を活かし、法規制・コスト・メンテナンス性・異物混入対策……すべてを総合的に考え続けることが現場改革のスタート地点です。
たとえどんなに見過ごされがちな部品であっても、「本質を見る目」と「俯瞰した現場視点」、さらに「現場と設計・サプライヤーとの対話」が、製造業現場の未来を切り開く最大の武器です。
造粒機用シール部材を通じて、製造業全体の進化の一助となることを願っています。
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