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締結部材のトルク管理不良が密閉性を損なう理由

目次
はじめに:トルク管理の重要性を見直そう
製造業の現場で日常的に取り扱う締結部材は、ボルトやナットなどの「連結部材」とも呼ばれ、機械や装置の性能、信頼性、安全性を大きく左右します。
その締結部材の管理において最も基本でありながら、見落とされがちなポイントが「トルク管理」です。
昭和の時代から続くアナログな作業習慣に引っ張られ、勘や経験則に頼ったトルク締めは、現代の高度化する品質要求や顧客ニーズに応えきれません。
特に、密閉性を要求される配管接続部や圧力容器、電子機器外装などの現場では、締結部材の僅かなトルク不良が重大な密閉性損失と直結します。
本記事では、なぜトルク管理不良が密閉性の低下・損失を招くのか、その実践的な理由から現場での対策、そしてアナログ業界に根強く残る課題とともに今後の展望までを、現場経験20年超の目線で解き明かします。
トルク管理が密閉性に直結するメカニズム
なぜ「締め過ぎ」「緩め過ぎ」で密閉性がダメになるのか
締結部材を使ってカバーやフランジ同士を密着させる場合、防水・防塵や流体・気体の漏洩防止を狙ってゴムガスケットやOリングが併用されます。
この時、締結部材の「締め具合(=トルク)」は、ガスケット等の密着力に直結しています。
トルクが弱すぎると、ガスケットが十分に圧縮されず、接合面で隙間ができて漏洩(リーク)します。
一方、トルクを掛けすぎても、ガスケットが極端に押しつぶされて変形・劣化し、亀裂や隙間が生まれてしまうのです。
また、極端な過トルクはねじ山破損や部品の座屈など二次トラブルも誘発します。
現場で「とりあえずキツく締めておけば安心」という昭和流発想では、密閉にとって逆効果になるケースが少なくありません。
密閉性を左右する「面圧」の落とし穴
締結部の密閉性は、ガスケット面を押さえつける「面圧」の均一性に依存します。
工具・作業者のクセ、取り付け順序などによってトルク値や分布がバラつくと、密閉部の一部にだけ面圧が集中し、やがて局所的な漏れ(ピンホールリーク)が発生します。
この点は量産現場でも油断大敵で、トルク値のバラつきによる密閉品質のムラ=「現場不良・クレーム・リコールリスク」の根源となります。
現場あるある:なぜトルク管理はおろそかになるのか
アナログ現場で今も根強い“勘締め”文化
現場の熟練者の中には「経験と手の感触で十分だ」と言う方もいます。
しかし、現代の多様な材料、複雑な部品構造、高機能ガスケットなどに対し、勘締めではほぼ確実にバラつきが生まれます。
また、「力任せに締めると壊れる」「もう少し絞めてみるか」など、経験則は悪い意味での現場のスタンダードになりやすいです。
製造業のアナログな気風が根強い現場ほど、この“感覚頼み”が横行しています。
トルク管理の盲点:工具・設備への思い込み
日常的に使っているラチェットやトルクレンチ自体がずれていたり、校正していない…そんな現場も多いです。
工具は消耗品です。
トルクレンチも使えば必ず誤差が生じます。
にもかかわらず「うちの工具は大丈夫」と根拠のない自信で点検・校正を怠り、これが管理不良→密閉性低下→製品不良の連鎖につながります。
トルク管理の「書類化」=やらない理由が増える現場
トルク管理を指示しても「書類が増える」「手間がかかる」と敬遠する現場も多いです。
アナログ工程のままだとトルク測定や管理記録の手間が現場負担となり、「後でまとめて適当に記入」などの不正も発生しやすい。
その結果、品質不良・クレーム・コスト増といった悪循環に陥ります。
サプライヤーとバイヤーの視点:互いに知りたい“本音”
サプライヤー側から見た密閉性・トルク管理とは
部品サプライヤーにとって、納入先から「密閉性強化」や「トルク管理の厳格化」を求められるケースが増えています。
これは単なる仕様遵守ではなく、納入品全体の信頼性・保証責任にも関わります。
サプライヤーは「自社出荷前のトルクチェックはどこまでやるべきか」「現場での締結状態はどう再現できるのか」という課題を常に抱えています。
密閉性不良で納入先から返品や損害請求があれば、信頼・契約ともに大きなリスクです。
バイヤー(購入側)目線で重視すべき密閉性の検証
購入側の工場・バイヤーは、サプライヤーを信じてそのまま組み込みたくなる一方、自社責任で密閉性チェックを怠ると自社ブランド毀損に直結します。
「納入品の現場トルク管理記録」「ロットごとの密閉テストデータ」「ガスケット素材や形状のスペック保証」など、より厳格なエビデンス取得が不可欠です。
とくに多品種少量の生産現場では、細かな差異にも対応できるフレキシブルなチェック体制が求められます。
業界動向:デジタル化とリモート管理がもたらす変化
IoTトルクレンチ・トレーサビリティの導入動向
近年では、無線で締付トルク値を自動記録するIoT連携トルクレンチの導入が各社で加速しています。
トルク作業者ごとのばらつき検証、記録の自動化、作業現場の見える化に加え、AI解析による不良発生メカニズムの特定などが実現しつつあります。
また、トレーサビリティ(履歴管理)強化の流れも進み、「どの製品がどの工具で、誰によって何時締結されたか」といった情報が一目で分かる仕組みが整備されています。
これにより、不良発生時の原因追求と再発防止策の精度が劇的に向上します。
「省人化=自動締結機」の普及と密閉性への課題
ロボットや自動締結システムの導入による省人化も進み、その精度は年々向上しています。
しかし、ロボットによる締付けでも「ボルト先端への過度な荷重集中」や「自動機メンテ不良によるトルクずれ」などの新たな課題が生まれています。
人の手とは異なる誤差・不具合も密閉性に影響を及ぼすため、定期点検や補正体制の強化が求められます。
実践的な現場対策:密閉性を守るトルク管理の新常識
標準作業と教育の“アップデート”を
– トルク管理を常に“標準作業”に組み込むこと。
– 全現場作業員がトルク値設定の「意味」を理解できる教育体制を設けること。
これが密閉性ある製品づくりの礎です。
特に教育面では、「なぜこれ以上締めてはいけないか」「緩く締めた時のリスク」など、失敗事例やシミュレーションに基づいて具体的に伝えることが不可欠です。
工具・機器の定期点検と校正を習慣化
– トルクレンチや締結装置の定期校正を明文化し、厳守する
– 工具の使用履歴や点検状態も記録・共有する
「工具自体が原因の密閉不良」は意外と多発しており、ここに気付けるかどうかで現場の品質レベルが大きく変わります。
密閉性の「見える化」と数値管理を推進しよう
– 漏れ試験、リークテストなどの定期検証を強化
– 合格・不合格の曖昧さをなくし、実測値を明確に記録
– 万一のトラブル発生時にも、すぐに原因追跡・再発防止ができる体制を構築
これがサプライヤー、バイヤー双方にとって信頼ある関係づくりに直結します。
まとめ:締結部材のトルク管理不良は密閉の“最大の敵”
機械・装置分野、建築・プラント、家電・自動車…どんな業界でも、密閉性は安全・品質・クレームリスクの根幹をなします。
締付部材のトルク管理を軽んじる現場ほど、見えない漏れや重大事故という“落とし穴”が隠れています。
アナログな業界文化も徐々に変化しつつありますが、最後は「現場の一人一人の意識」と「体系的な管理体制」のアップデートが不可欠です。
あなたの現場から“密閉性の革新”と“安全・信頼あるものづくり”を始めてみませんか。
今こそ、現場目線でトルク管理と密閉技術の新たな常識を浸透させ、製造業の新たな価値を生み出していきましょう。
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