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コンプレッサーで使うオイルシール部材の加工と寿命短縮の原因

目次
はじめに:コンプレッサーに欠かせないオイルシールの役割
製造業の現場で使用されるコンプレッサーは、生産ラインの要とも言える重要な機器です。
その中でも、オイルシールは潤滑油の漏れを防ぎ、機械の性能と寿命を左右する非常に大切な部材です。
オイルシールは一見目立たない存在ですが、不具合が発生すれば即座に漏油や機械のトラブルにつながります。
本記事では、コンプレッサー用オイルシール部材の加工技術と、寿命を縮めてしまう主な原因について、現場目線で徹底的に解説します。
アナログな業界が多い製造業において、品質安定やコスト削減の秘訣も共有します。
バイヤー志望の方や、サプライヤーの立場からバイヤーの要求を知りたい方にも役立つ内容となっています。
オイルシールの基礎知識:構造と主な材料
オイルシールの基本構造
オイルシールは主に三つの要素から成り立っています。
外周は金属フレーム、中央に弾性体(主に合成ゴム)、内周にスプリングリップが付与されている構造が一般的です。
この構造により、軸に密着してオイルの漏れを防ぎつつも、軸の回転運動に柔軟に対応します。
コンプレッサーでは、高速回転や高温高圧下で使用されることが多いため、耐久性と耐熱性が重要となります。
耐油性・耐熱性を左右する材料選定
オイルシールに使われる主なゴム材料には、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)などがあります。
特にコンプレッサー用途では、油媒体や使用温度に応じて材料を選ぶ必要があります。
近年は、より過酷な条件に耐えるべく高機能化が進み、PTFEや特殊コンパウンドゴムの採用例も増えています。
材料コストは高騰傾向にありますが、初期不具合による再整備コストや納期遅延リスクを考慮すると、適材適所の選定はバイヤー・サプライヤー双方にとって極めて重要です。
オイルシール部材の加工技術と品質管理
金属フレームのプレス加工
オイルシールの外周部分は、金属板を打ち抜くプレス加工で作られることが多いです。
量産性が高く、精度も安定しています。
一方、プレス金型の精度やメンテナンス状態が悪いと、外径のバラツキやバリの発生につながり、最終的なシール性能や組立性に悪影響を及ぼします。
昭和時代から受け継がれるアナログな加工現場でも、IoTを活用した金型管理や定期的な寸法測定など、品質管理体制のモダナイズが進められ始めています。
ゴムの射出成形と焼き付け工程
オイルシール内周のゴムリップ部分は、金属フレームと一体で射出成形もしくは焼き付け成形されます。
最近では自動化ラインによる一貫成形が主流となり、人手ミスや不良流出のリスクが低減しています。
ただし、ゴム材質や加硫温度、金型の清浄度など、製造条件に左右されやすいのも事実です。
焼き付け不良やゴム自体の加硫不足は初期漏れや寿命短縮の原因となりやすいため、温度管理や製造データのトレーサビリティが重視されます。
多様化する品質管理手法
部材検査では、従来の外観・寸法測定に加え、非破壊検査や画像検査システムの導入が進んでいます。
昭和的な「作り込み」中心の管理から、「見える化」と「未然防止」にもシフトしています。
バイヤー担当者は、サプライヤーの設備状況や管理レベルを実地確認することで、品質リスクを事前に知ることができるでしょう。
オイルシール寿命短縮のメカニズム
1. 材料ミスマッチによる化学劣化
使用するオイルや温度に適さないゴム材を選ぶと、化学反応でゴムが早期劣化します。
例えば、標準NBRは耐油性に優れますが高温耐久性が低く、エンジンや高温コンプレッサー向けにはFKMや上位材料が推奨されます。
計画購買の観点からも、現場の温度分布やオイル種類を詳細に把握し、最適な材質仕様を設定することが欠かせません。
2. 組立・据付時の異物混入や傷
オイルシールは組立現場やラインに運ばれる途中で、異物混入や傷が発生しやすい部材です。
軸への圧入時の打痕やねじれも、初期不具合や早期漏れの主因となります。
ベテラン作業者による「見て、触って判断」も大切ですが、昨今は自動搬送や防塵・クリーン化の推進で、ハンドリングリスクの低減が進んでいます。
3. 作動条件の過酷化と経年疲労
近年のコンプレッサーは、小型化・高効率化が進み、回転速度や圧力が上昇傾向にあります。
これによりオイルシールにかかる荷重や熱ストレスが増加し、リップ部の摩耗が加速します。
適合する設計寸法や、定期的な点検・取替えを推奨し、異常加熱や摩耗の初期兆候を現場で掴める仕組みが不可欠です。
バイヤーとサプライヤーが対話すべき「真」の改善ポイント
アナログ的なコストダウン要請や納期短縮だけでは、オイルシールの寿命や品質は向上しません。
現場実態を知った上で、真に取り組むべき改善ポイントは以下の三点に集約できます。
1. クリティカルパーツ認識の共有
オイルシールは一度不具合を出せば、全体設備のストップや重大損害につながるため、多品種部材の中でも「クリティカルパーツ」であるという認識をバイヤーもサプライヤーも強く持つべきです。
購買仕様や検査レベル設定の際は、現場の使用条件や実績データのフィードバックを密にしましょう。
2. 生産現場での未然防止策とIoTの活用
短絡的な検査強化よりも、ミス・不良を作り込まない現場づくりこそが重要です。
現在はAI画像検査やセンサーモニタリングを導入し、品質不良の兆候を見逃さず、現場改善サイクルを回せる企業が増えています。
コスト重視時代だからこそ、「不良品を作らない仕組み」に投資することが、最終的なコストダウンと安全稼働につながります。
3. 寿命予想やリスク評価の「見える化」
昭和期から続く「経験と勘」頼みの保全では限界があります。
サプライヤーは部材ごとに寿命シミュレーション、バイヤー・現場は実機データに基づく交換タイミング見直しを進めましょう。
IoTやデータ連携により、部品交換時期の最適化や突発停止リスク低減が可能になります。
まとめ:現場からバイヤー・サプライヤーへ伝えたいこと
コンプレッサーのオイルシール部材は、一見すると小さなパーツです。
しかし、不具合が起きた時のダメージは計り知れません。
調達や購買の現場では、「コスト」「納期」「安定供給」の三要素が重視されがちですが、材料選定や製造工程、生産現場の未然防止策まで視野を広げることが大切です。
これが寿命短縮リスクの低減、トータルコスト最適化への近道です。
サプライヤーの方は、現場の声や技術トレンドに敏感になり、より価値ある提案を。
バイヤーの方は、仕様・検査項目だけでなく、実際の現場課題や将来のプロジェクトを共に語り合う「パートナー型調達」を目指してください。
アナログ文化が残る業界こそ、現場発のイノベーションで新たな地平線を拓いていきましょう。
この記事が皆さまの日常改善と製造現場の発展に少しでも役立つことを願っています。
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