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ボールバルブ部材とバタフライバルブ部材の使い分け判断

目次
はじめに
ボールバルブとバタフライバルブは、製造業の現場におけるプロセス制御や配管システムで欠かせない重要な部品です。
数多くの現場で「どちらを使うべきか」「どんな基準で部材を選定すべきか」という疑問に直面した経験はないでしょうか。
また、アナログなやり方や旧態依然とした購買手法が残る日本の製造業界では、従来の慣習が意思決定を阻むことも多いのが現実です。
この記事では、ボールバルブ部材とバタフライバルブ部材の本質的な違いと、現場で役立つ使い分けの判断基準について、長年の現場経験とラテラルな視点を交えて解説します。
バイヤーを目指す若手、サプライヤー側からバイヤーの思考を知りたい方、そして日々現場で奮闘されている方々のヒントとなれば幸いです。
バルブの基本設計思想と業界動向
バルブは、配管内の流体(液体・気体)の流れを「開く」「閉じる」「調整する」ための装置です。
ボールバルブの特徴とアナログ現場での位置づけ
ボールバルブは、その名のとおり内部に球状の弁体(ボール)を持ち、ハンドルを回すことでボールの穴を通して流体の通路を開閉します。
構造がシンプルで信頼性が高く、開閉操作が軽く、全開・全閉の応答性に優れます。
特にクリーンな環境や、高速なON/OFFが求められるラインで多用されてきました。
日本のものづくり現場では、昭和時代から「現場の作業員にもわかりやすい構造」「メンテナンスがしやすい設計」など、アナログマインドが根強く残る選定理由がありました。
そのため、熟練工の多い現場ほど、「困ったときはボールバルブ」という保守的な風潮が続いています。
バタフライバルブの特徴を多角的に捉える
バタフライバルブは、円盤状の弁体(ディスク)を軸の回転によって開閉する構造が特徴です。
大口径配管に適し、構造が比較的シンプルなため軽量で、設置やメンテナンスがしやすいという利点があります。
また、流体抵抗が比較的小さく、省スペース化を実現します。
近年、老朽化した工場設備のリニューアル、省人化・自動化が進む中で採用が増えており、「アナログからデジタル」へ、“段階的な変化を求める現場”には適した選択肢といえます。
ボールバルブとバタフライバルブの根本的な違い
両者を使い分ける際に現場バイヤーとして押さえておきたいポイントを、機能・コスト・保守性の観点から整理します。
耐圧・耐久性で考える
ボールバルブは高圧にも耐えられるよう設計されており、シール性(気密性)が極めて高いのが特長です。
そのため、高圧流体やガスライン、漏れを極力嫌う工程では「絶対的な安心感」があります。
一方、バタフライバルブは中・低圧向けが多く、許容できる漏れ率が工程毎に異なる場合は、選定段階で「安全成績証明」や「耐圧検査記録」を細かくチェックすることが、現場目線では特に重要です。
コスト・調達観点で見た場合の変化
ボールバルブは構造がやや複雑で、材料コストや加工コストが高くつく傾向があります。
また、配管スペースやトルク設計が必要な場合は、工事コストも増します。
バタフライバルブは大口径でも安価に手配でき、軽量化・省力化のニーズが高い昨今「大量導入」「定期的な交換」を前提とした工程で有利です。
購買部門としては、単なる部材価格の最安値比較だけでなく、配管標準化や可用性(納期・在庫問題)まで俯瞰する“トータル購買力”が問われる時代になりました。
メンテナンス性と現場運用のリアル
特に昭和から続くアナログ現場の場合、「メンテナンス部隊のスキルに合わせて最適設計する」ことが重要視されます。
ボールバルブは部品点数が多いため、分解・清掃・パッキン交換などが丁寧にできる現場にはフィットします。
逆に、スキル未熟な作業員が多くなったラインでは、簡便なメンテから短時間復旧を求めてバタフライバルブの需要が伸びています。
ノウハウ継承が難しくなっている今、現場の“人材状況”をふまえた機種選定は極めて現実的な課題です。
業界の本音〜昭和アナログと現代DXの間で〜
「使い慣れたものを選ぶ」バイヤーやエンジニアが多い製造業界では、いわゆる“昭和マインド”が根強く残っています。
ボールバルブ信仰が強い現場では、最新の制御系や自動化プロジェクトが立ち上がっても「見た目が違う」「操作が不安」「保全が手間」といった理由だけで、「今まで通り」に意思決定されがちです。
一方で、全社的なコストダウンや、省人化・省スペース化の波が押し寄せる現代では、「トップダウンでバタフライバルブへの全面切替」を求められるケースも増えています。
その狭間で現場バイヤーや購買担当者は、「現場の声」と「経営の理想」とを架け橋する役割を担っているのです。
このギャップを埋めるには、「なぜボールバルブなのか、なぜバタフライバルブなのか」という原理原則を現場の課題(ヒト・モノ・カネ・時間)に照らして深堀し、納得感のある意思決定を促す“ファシリテーター型バイヤー”の登場が求められます。
使い分け判断の実践的フレームワーク
ここからは、ボールバルブとバタフライバルブ部材を実践的に使い分ける際の判断基準を整理します。
経験的に、以下5つの観点を現場レビューシートとして活用することを推奨します。
1. 流体の特性と圧力条件
– 高圧・リーク厳禁・危険性の高いガスや薬液:ボールバルブ
– 中低圧~大口径ライン・リーク許容が可能な用途:バタフライバルブ
2. ラインの使用頻度と操作性
– 頻繁なON/OFF・クイックな操作が必要:ボールバルブ
– 定常的な流量制御や、開度調整用途:バタフライバルブ
3. 設置スペースと重量
– スペースに余裕があり、重量増でも支障なし:ボールバルブ
– スペース制限や軽量化ニーズあり:バタフライバルブ
4. 現場オペレーターの熟練度
– 保全スキル高い:ボールバルブでもメンテ可
– 操作ミス・習熟度にバラつき:バタフライバルブで標準化
5. コストと調達リスク
– 総合コスト(部材・メンテナンス・ダウンタイム)を加味しベストバイを検討
調達購買パワーで現場を変えるために
単なるコスパ比較や“前例主義”だけでなく、現場の声、工場の「カイゼン」、DXの流れを柔軟にリンクさせる購買スキルが求められます。
サプライヤー側から見れば、こうした“現場ベースの意思決定ロジック”を理解した上で、的確な提案や技術資料提供をすることで、バイヤーとの関係構築も強化できます。
日々進化する市販バルブの技術動向(スマートバルブ、センサ連携型バルブ等)もチェックし、必要に応じて現場教育への参画も提案しましょう。
まとめ
ボールバルブとバタフライバルブの使い分けは単なる「仕様」の問題ではなく、工場運営や製造プロセスを根底から変える非常に大切なテーマです。
現場のリアル、アナログな知恵と現代的な調達手法の架け橋となるため、単なるスペック比較にとどまらず、「なぜ、何のために、そのバルブを採用するのか」という“目的ドリブン”な意思決定を心がけましょう。
その積み重ねが、これからの製造業の発展と、変化を恐れない組織文化への布石になると信じています。
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