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理系でも営業に回る可能性がある製造業の会社に就職する学生たちに事前に知っておいてほしい業界の本音

目次
はじめに ― 製造業は「現場」だけじゃない厳しい現実
理系の学生が製造業へ就職すると聞くと、多くの人は技術・開発・生産などの現場部門で活躍するというイメージを持ちがちです。
実際、大学での研究や実験、モノ作りの楽しさを原動力に「現場のエンジニア」への道を選ばれる方がほとんどでしょう。
しかし、気がつくと“営業”の担当になっていた――。
そんな声が思いのほか多いのも製造業のリアルです。
ものづくりに強い憧れがあったはずなのに、なぜ現場を離れることになるのか?
そして、理系出身者が営業を担当する理由には、製造業独自の業界的な事情や構造が色濃く反映されています。
長年、自動車・電機・精密機械メーカーで、調達購買や生産管理、工場の自動化、そして工場長として現場~企画部門まで幅広く経験してきた私から、現場目線・業界目線の「本音」をまとめます。
製造業で理系が営業職に回されやすい理由
製品や技術が高度すぎて「単なる営業」では務まらない
製造業の製品や技術は日進月歩で複雑化しています。
例えば、自動車ではエンジン・電動部品・情報システムまで多様化し、電機業界でも半導体・電子部品・ソフトウェアが複雑に絡み合っています。
そのため、営業といえども単なる「売り子」「ルート営業」では対応できません。
顧客と技術的な会話を交わし、時には仕様検討や提案、トラブル解決まで任されることが非常に多いのです。
こうした状況から「理系出身の技術がわかる営業」を各社が強く求めています。
顧客の満足度は「細やかな技術フォロー」で決まる
BtoBビジネスが主体の日本の製造業界では、カタログ通りのスペックや価格だけでなく「顧客のお困り事」「現場ごとの特殊事情」に深く踏み込んだ“技術営業”が特に強く求められます。
営業サイドに技術の知識・経験がなければ、顧客の現場担当と本質的な会話が成立しません。
こうした “現場感覚” を顧客が強く評価するため、企業は理系人材を営業へシフトさせがちなのです。
海外展開の加速とコミュニケーション能力の重要性
グローバル化が進む今、製造業は国際競争の真っ只中に置かれています。
現地法人や海外顧客との折衝、仕様説明、現地トラブル対応を任せるには、「たたき上げの営業」だけでは限界があります。
理系出身で英語・中国語など語学対応もできる人材は、現場や設計にとどまらず“海外営業”部門でも引っ張りだこです。
製造業ならではの営業のリアル
営業=飲み会・ゴルフではもはや評価されない
昭和日本型の営業と言えば「お得意様と飲みニケーション」や「週末のゴルフ接待」ばかりが重視されてきました。
しかし、今やそれだけでは顧客から本質的な信頼は得られません。
製造業の現場は、顧客ごとに全く異なる技術課題やコスト・納期問題を抱えています。
営業担当は、顧客との打ち合わせのたびに「自社・自分らしさを最大限に伝え、説得し、信頼を勝ち取る」ことが求められます。
その根底にあるのは、高度な技術知識や“現場のリアル”を語れることなのです。
提案型営業・ソリューション型営業の増加
製造業の購買担当は「一円でも安く」「良いものを早く」という要求を現場から突きつけられます。
しかし、単なる値下げ交渉では物事は解決しません。
そこで今、求められているのが「顧客の課題をうまく引き出し、それに対する最適解を提案する力」です。
例)
・歩留り不良が多い→製造条件の工夫や検査装置のカスタマイズ提案
・需要変動に対応した供給体制の提案
・サステナビリティ(脱炭素・労働環境配慮)への貢献
こうした課題解決に理系人材ならではの地頭の良さや発想、現場経験がダイレクトに生きます。
昭和・アナログ業界の「根強い慣習」に直面する厳しさ
「現場は変えたくない」「前例主義」との戦い
製造業の世界では、積み上げてきた経験やノウハウが大切にされます。
それ自体は大きな強みである反面、“新しいものを取り入れづらい”“前例踏襲が身についてしまう”という保守的な側面が根強く存在します。
デジタル化・自動化・業務改善を提案しても「そんなこと現場では無理」「昔からこれで回っている」と一蹴されてしまう現状に悩む新入社員の声も多いのが実情です。
縦割り・部門間の壁が厚い組織―その調整役にされる理系営業
工場(生産部門)、技術、品質管理、調達、営業、それぞれの組織が独自の慣習と人間関係で密接につながっています。
現場から「営業(バイヤー)は現場を知らない」、営業から「現場は顧客の要望がわかっていない」と溝ができがちです。
理系出身の営業が、その“ブリッジ”として板挟みになった経験は一度や二度ではありません。
自分自身が「工場現場の気持ちも、顧客の要望も両方痛いほどわかる」立場に立たされ、時に調整や交渉、現場フォローすべてを担うことになります。
紙・FAX・印鑑文化はまだまだ健在
製造業の多くは未だに紙オーダーやFAXのやり取り、書類に印鑑を押す文化が根強く残っています。
クラウド化・DXの波が押し寄せてはいますが、現場では「紙を見ながら話したほうが早い」「印鑑をもらわないと仕事は進まない」といった昭和的発想が当たり前に存在しています。
理系出身だからこそ効率化・デジタル化への意識は高いでしょうが、“今すぐ”全ては変わらないという現実も理解しておく必要があります。
バイヤー×サプライヤー両面から見る「製造業営業」スキル
バイヤーはなぜ「技術に強い営業」を評価するのか
バイヤーは自社内(設計・開発・生産)とサプライヤーの板挟みになっています。
「コストダウンしろ」「納期を守れ」「仕様変更に対応しろ」と、社内外で板挟みになることもしばしばです。
そんな中、頼りになるのは「その場で技術的な課題に対応できる営業」です。
例)
・納期が守れない原因が技術的なボトルネック(設備・品質)であることを理解してくれる
・現場の事情を察して、柔軟な対応策を一緒に考えてくれる
バイヤー視点では、単なる価格交渉屋や取次ぎ屋ではなく、本質的な課題を解決できる技術力を持った営業と密に連携したいのです。
サプライヤー側の営業が身につけたい「信頼される対応力」
サプライヤーとして営業に回る際、ただ単に「見積もり・納品・クレーム処理」だけをこなすのではなく、以下のような“攻めの営業力”が問われます。
・顧客工場をよく観察し「現場目線の課題」を自ら見つけ、解決案を提案する
・自社(生産や設計部門)とも密に連携し、迅速に調整する
・顧客の将来計画やサステナビリティなど新しい取り組みにも自発的に関与する
現場経験・技術知識に加え、「聞き出す力」「人脈形成力」「社内調整力」も総合的に備えることが信頼につながります。
理系の“現場好き”学生が営業に回るとき、覚悟してほしいこと
「モノづくりの現場を支える」営業になれるかが分岐点
営業職は、現場から離れて「ただ売るだけ」と誤解されがちです。
でも実は、現場を知り、顧客も支え、自社の仲間もフォローしながら本質的な価値を提供しているのが理系営業の真骨頂です。
現場への誇り・こだわりを持ったまま、顧客と向き合い続けてください。
「技術を語れる営業」「現場の本音を翻訳できる営業」を目指せば、“現場に近い営業”として多くの人に感謝されるでしょう。
自分のキャリアの幅を広げるチャンスにも
理系の強みを活かした営業は、将来のキャリア形成にも大きく役立ちます。
例えば「営業を経験⇒調達や経営企画、新規事業開発にも活かす」ことが可能です。
今や、技術系・理系職でも顧客・取引先との対話力や調整力は不可欠です。
現場と顧客をつなげる存在として経験値を積めば、どの組織・立場でも重宝される人材に成長できます。
まとめ ― 製造業の「現場感覚」×「営業力」こそ、未来を開く鍵
理系でも営業に回されたら“失敗”なのではないか?
やりたかった「現場」が遠ざかるのでは?
最初は誰もがそう感じるかも知れません。
しかし、製造業は顧客や現場の声に本気で寄り添い、技術も人もつなげていく「現場感覚の営業」が今、圧倒的に求められています。
営業職こそが会社の成長や新しいイノベーションの起点になる。
「理系なのに…」ではなく、「理系だからこそできる営業」に挑戦し、ぜひ製造業全体の発展に貢献していってください。
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