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ISO 20457金型用語を正しく理解する

目次
はじめに
製造業の根幹ともいえる「金型」。
その業界では、多種多様な専門用語や手法が語られていますが、グローバル化が加速する現代においては共通言語の存在が不可欠です。
ISO 20457金型用語は、まさにその共通言語となることを目的に制定された国際規格です。
昭和の時代から長く続く日本の金型産業ですが、いまだにローカルルールや“暗黙の了解”が色濃く残っているのも現実です。
そこで今回は、ISO 20457金型用語の正確な理解と、現場の実務にどう生かしていくかを、現場目線で深く掘り下げてご紹介します。
ISO 20457金型用語の基礎知識
ISO 20457とは何か
ISO 20457とは、国際標準化機構(ISO)によって2018年に制定された「金型に関する用語(Moulds for plastics and rubber – Vocabulary)」の国際規格です。
プラスチックやゴム成形を中心に、金型設計・製作・取引に携わる一連の関係者が、世界中で共通の言葉でコミュニケーションを取れることが主な狙いです。
本規格には金型部品の呼称や製造・取引時の表示事項など、統一用語が定義されています。
これにより、国際調達やグローバル生産の現場で発生する「言葉のすれ違い」や品質トラブルを未然に防ぐことが期待されています。
日本独自の言い回し・ルールとの違い
ISO 20457が制定される以前、日本の金型業界では長年にわたり独特の用語や慣習、阿吽の呼吸に頼った現場主導の運用が根付いていました。
たとえば「スペーサーブロック」「エジェクターピン」「かさみこみ部」、「押しバネ」など、JISやJAN規格に準じたものから工場ごとのローカル名称まで混在しています。
これが海外サプライヤーとの設計図面交換や海外工場への技術移転時に大きな障害となっていました。
ISO 20457は日本独自の表現を世界標準に擦りあわせるうえで不可欠なガイドラインとなります。
ISO 20457の代表的な用語事例と現場対策
主要用語の整理
ISO 20457で定義されている主な用語には、たとえば以下のようなものがあります。
- Mould Base(モールドベース)
- Cavity(キャビティ)
- Core(コア)
- Runner(ランナー)
- Gate(ゲート)
- Ejector Pin(エジェクターピン)
- Slide(スライド)
- Cooling Channel(冷却チャンネル)
こうした用語は、旧来の日本語訳に基づいた表現(例:「抜きピン」「水管」等)と微妙に異なる場合も多く、現場では「どこまで厳密に言葉を合わせるべきか?」という戸惑いが生じやすいポイントです。
現場での使い分けと注意点
特に国内向けと海外向けで金型仕様書や設計図面を切り替える場合、社内ルールさえ決めておけば都合が良いと考えがちです。
しかしながら、ISO 20457の導入をきっかけに、現場でも次のような意識改革が重要となります。
- 設計部・調達部・品質管理部が「共通の単語」リストを保持し、用語のブレを防止する
- 図面やドキュメントにISO 20457対応の用語を併記する(例:「キャビティ(Cavity)」「エジェクターピン(Ejector Pin)」のような2重表記)
- サプライヤー評価や受入検査時には「ISO用語で正式なスペック確認」を実施する体制作り
これにより、外国人スタッフや海外協力会社との円滑な情報交換、ミスコミュニケーションによる損失の予防につながります。
バイヤー視点で考えるISO 20457金型用語の活用
バイヤーの役割と悩み
バイヤー(購買担当者)は金型の調達にあたり、コスト・納期・品質といった複数の観点から取引判断を迫られます。
近年のグローカル調達では、海外メーカーや新規サプライヤーとの交渉も増え、技術部門だけでなくバイヤー自身が「金型用語」の意味を正確に理解していることが必須条件となりつつあります。
たとえば「ランナーレス」と「ホットランナー」の混同や、「コアの取り違え」など、用語解釈の違いが思わぬコスト増やトラブルの種となることも。
バイヤーこそISO 20457を熟知し、技術者と同じ視点でスペック確認・現場監査を行う力が求められます。
調達購買でのベストプラクティス
バイヤーがISO 20457金型用語を効果的に活用するためには、以下のような工夫がポイントです。
- 自社用語との対訳表を作成し、社内教育の標準資料として整備する
- サプライヤー選定時、「ISO 20457への対応可否」を評価基準の一つに加える
- 金型図面や取引書類には英語も併記し、打合せ時に必ず用語解説を実施する
- 定期的に現場ヒアリングやトラブル事例収集を行い、未対応の用語やNGワード(解釈に差が出る語句)リストを全社で共有する
特に大手企業などでは、本社調達部門がグローバルポリシーとして「ISO 20457完全準拠」を打ち出す動きも増えています。
バイヤーが金型サプライヤーの技術力やISO対応力を見極めることが会社全体のQCD向上につながるのです。
サプライヤー側から見たISO 20457金型用語導入のインパクト
金型サプライヤーの課題
日本国内の多くの金型メーカーでは、昭和時代から続く「親方(社長)=暗黙知」の体制や、熟練作業者の勘と経験に頼る“職人文化”が依然として色濃く残っているのが現状です。
そのため、「ISO規格に合わせた用語・管理は面倒」「昔からこれで問題なかった」といった抵抗感も根強いです。
一方で、大手バイヤーや海外顧客からISO 20457対応を厳しく求められる場面が今後急増します。
サプライヤーも業界標準化の流れを無視できなくなっています。
サプライヤーとして取るべき対策
サプライヤー側は以下の点に注意することで、課題克服と受注チャンスの拡大を狙うことができます。
- 社内で用語統一の徹底研修を実施し、「これからはISOで行く」と意識付けする
- 見積書・受注書・仕様書などの帳票にISO 20457用語を標準フォーマット化する
- 受注先の言葉に柔軟に合わせつつ、“グローバル対応力”を強みとしてアピールする
- 設計部門や営業部門で英語のISO用語も併記する(図面・マニュアル類の多言語化)
これにより、従来の“町工場”イメージから一線を画し、「グローバルな金型メーカー」の地位確立にもつながります。
ISO 20457金型用語がもたらす未来とラテラルシンキングによる可能性
デジタル化・IoT・AIとの親和性
ISO 20457の用語統一は、実は工場のデジタル化やAI活用と極めて親和性が高いという側面もあります。
たとえばAIが金型設計図面を自動解釈したり、クラウド上で金型部品の情報をやりとりしたりする際、曖昧な日本語表記や誤用が大きな障壁になります。
国際規格であるISO 20457を基準にデータを統一することで、スマートファクトリー化やサプライチェーン全体の効率化、新たな付加価値創出まで見据えた「オープンなプラットフォーム」構築も現実味を帯びてきます。
人材育成と次世代技術継承への示唆
昭和時代の職人技や紙図面文化が急速に失われる一方、「ものづくりDX」やグローカル化に適応した新世代バイヤー・技術者の育成が急務です。
ISO 20457金型用語を学び、現場力とグローバル対応力を磨くことは、今後の人材戦略でも極めて有効です。
また、外国人スタッフや若手技術者へのOJT、リスキリング分野でもISO 20457が教材や標準言語となることで、技術力と競争力の底上げが可能です。
まとめ
ISO 20457金型用語は、単なる国際規格の枠を超え、製造業の未来を左右する「共通言語」です。
国内外のバイヤーやサプライヤー、現場スタッフが正確に用語を理解し、仕事の現場で生かしていくことが、工場のグローバル化・自動化・デジタル化の基盤となります。
昭和の慣習から脱却し、業界全体でラテラルシンキング(横断的かつ創造的な発想)を発揮すれば、製造現場と経営の壁も越えられます。
皆様もぜひISO 20457金型用語を「学び直し」「使いこなし」、日本のものづくり力強化とグローバル対応力アップに挑戦してください。
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