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投稿日:2026年1月20日

NFPA 70電気設備設計で注意すべき点

はじめに ― 製造業の現場とNFPA 70の意義

製造業の現場では電気設備は切っても切り離せない大切なインフラです。
特に近年は工場の自動化やIoT化が進み、より高度な電気設計が求められるようになりました。
その中で国際的な安全規格であるNFPA 70(National Electrical Code、通称NEC)は、グローバル展開する日本の製造業にとっても無視できない存在となっています。

本記事では、現場目線でNFPA 70に準拠した電気設備設計を進める上での実践的な注意点と、昭和時代から続くアナログな業界文化の壁、そして最新動向までを深掘りして解説します。
バイヤーやサプライヤー、そしてこれから業界を目指す方に向けて、分かりやすく現場で役立つ情報をお伝えします。

NFPA 70(NEC)とは何か? その基本を押さえる

まずはNFPA 70とは何かを簡単に押さえましょう。
NFPA 70は、アメリカで制定された電気設備の安全基準であり、世界的にも大きな影響力を持つ規格です。
特に米国やその関連市場向けに設備や製品を輸出する場合、必ず遵守が求められます。

日本国内ではJISやIEC規格が主流ですが、グローバル展開を見据えるメーカーやサプライヤーにとっては無視できません。
また、海外工場建設や海外顧客向けプロジェクトで、「NEC準拠」がRFP(提案依頼書)条件に入ることも珍しくありません。

NECと日本の規格の違い

NEC(NFPA 70)と日本の電気設備技術基準(JIS・電気事業法等)では、使用する部材や接地方式、ケーブルの取り扱いなど多くの相違点があります。
その代表的なものとして、
– 使用できるケーブル種類やサイズ
– 防爆仕様の考え方
– アース・グラウンドの設計
– 機器の番号付け・識別方法 等
が挙げられます。

つまり、単なる“翻訳”や“置き換え”で済まない、現場独自の設計思想への深い理解が求められるのです。

現場で必ず押さえておきたいNFPA 70電気設備設計の注意点

一見するとNFPA 70を「単なる安全規格」と捉えがちですが、現場ではそれ以上の意味を持ちます。
現場に根付いた視点から、具体的な注意点やノウハウを紹介します。

1. ドキュメント、図面類の整合性

NEC準拠設計では、「証明」が最重要です。
設計内容を正確にドキュメント化し、現場で誰もが追従・検証できるようにしておくことが必須です。

施工図面・系統図・部材リストはもちろん、リビジョン管理や承認フローの透明性が求められます。
擦り合わせ文化や暗黙知が強い日本的な現場マネジメントでは、「言った・言わない」が大きなトラブルの種です。

また、英語での資料作成や、UL/NEMA等他規格とのクロスチェックも重要な業務となります。

2. ケーブリング・配線方法の厳格化

日本では「モノが動けば良い」という現場の柔軟性、つまり配線の“おおらかさ”が許容されることが時おりあります。
しかしNFPA 70では配線経路、曲げ半径、ケーブルラックの使用、色分け、さらには電流容量・温度条件までが細かく規定されています。

施工後に是正指摘を受けると、全バラシ・再施工というコストだけでなく、信用問題にも発展しかねません。

3. 機器と部材選定での“認証”リスク

現場で最も多い失敗が「UL listed品でなかった」「現地調達品と仕様不一致」など、部材認証に関するミスマッチです。
世界的メーカーの実力部材でも、ULやFMへの適合証明(listing)を伴わないものはNG判断されます。
工場ライン停止の損失は計り知れないため、“安い部材で代替”という日本式の柔軟性は通用しません。

購入時にはカタログ記載の規格だけに頼らず、実サプライヤーに証明書や第三者認証書を細かく要求し、バイヤーと設計担当が密に連携する運用が欠かせません。

4. 防爆エリアの設計と運用

NFPA 70は防爆規定が厳しく、ゾーン分けや機器の区分ごとに厳格な要件が定められています。
「米国持込案件で“日本の防爆機器”が通らなかった」「設置前後の現場検査でNGとなり全取換え」などは珍しくありません。
昭和時代からの“経験と勘”による現場合わせは致命的リスクです。

事前のゾーン決定、現地審査機関との調整、現場工事業者への教育など、計画段階からの仕組みづくりが重要です。

5. 最終的な「現地当局」検査への備え

NFPA 70対応案件では、最終的に認可を出すのは現地当局(AHJ, Authority Having Jurisdiction)です。
「書面で良い」と思っていても、当局検査で思わぬ指摘を受けることがあります。
設計・調達段階から実現場の検査基準に遡って「逆算設計」を進める視点が、昭和スタイルには無いNEC案件成功のカギとなります。

デジタル化・自動化の時代、昭和的“現場合わせ”からの脱却

製造業の現場は長く「ケーブルはどこでも通せる」「この部品も流用品で」といった現場合わせや曖昧な運用が根強く残ってきました。
しかしデジタル化、自動化、グローバル化の流れはこうした“昭和的現場合わせ”を確実に駆逐し始めています。

特にNFPA 70では、証明責任・トレーサビリティが不可欠となり、「現場合わせの美学」は“リスク”そのものとなりました。

これからは現場責任者やバイヤーの判断基準も、「経験値」から「証明可能なロジック」へと進化しなければなりません。
IoT/AIでの遠隔監視や自動検査の導入が進む中、「電気設計品質」の差が“工場全体の競争力”に直結する時代なのです。

バイヤー・サプライヤーに必要な新たな視点

バイヤーやサプライヤーに求められるのは、「安くて早い」調達力だけではありません。
以下の5つのポイントは、現代のグローバル製造業バイヤー・サプライヤーとして必須スキルと言えるでしょう。

1. 規格知識+現場目線の融合

NFPA 70条文の暗記だけでは現場を守れません。
どこでどんな現場リスクが潜むのか、自主的な現場パトロールや設計レビューで“現物主義”を徹底する姿勢が重要です。

2. 情報伝達・交渉力の高度化

海外サプライヤーに対する要求仕様や認証要件の伝達、現地バイヤーとの齟齬調整など、高度な交渉力・情報伝達力が現場トラブルを防ぎます。

3. サプライチェーン全体でのリスクマネジメント

部品の認証切れ、納期遅延、物流の混乱等、単一工場・単一現場だけで収まらないリスクが増大しています。
全体最適の視点で情報共有と事前対策を行うことが重要です。

4. 学び続ける姿勢と現場教育

NFPA 70は改訂が頻繁であり、最新動向への継続的な学習が欠かせません。
また、現場作業者や協力会社への教育や啓蒙活動も、バイヤー・サプライヤーの立場で担っていく必要があります。

5. “現場試験・検査”の巻き込み力

設計・調達部門の仕組みだけでなく、最終的な現場試験や当局検査まで踏み込んだ巻き込み力が現場力を高めます。
トラブルが発生した際の初動対応や、是正・改善をスピーディーに実行できる体制づくりが重要です。

おわりに ― 製造業の発展のために、今私たちができること

NFPA 70への対応は決して“お題目”でも“お仕着せ”でもありません。
現場の安全・品質・効率をいっそう高め、企業としての信用や競争力を向上させるために不可欠な「武器」と言えるはずです。

昭和文化が残るアナログな現場を持つ製造業こそ、「世界基準」への挑戦が大きな成長チャンスとなる時代です。
今後も時代の変化とグローバルな規格要求を捉え、現場の力・現場の知恵を最大限に活かしながら、業界の進化と安全・安心なものづくりに貢献していきましょう。

製造業の現場で日々奮闘されている皆様。
今こそ、自身の知見と経験を磨き、世界で戦える“プロの現場力”を武器に新たな時代を切り拓いていきましょう。

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