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投稿日:2026年1月21日

JIS C 60068の環境試験とは|製品信頼性評価の基本

JIS C 60068とは何か

JIS C 60068は、電気・電子機器に対する各種の環境ストレス試験を行うための日本産業規格であり、国際規格であるIEC 60068に準拠しています。

この環境試験規格は、主に部品・製品の信頼性を確保するため、温度、湿度、振動、衝撃など多様な環境条件下での耐久性や性能を評価するために用いられています。

昭和の時代から日本の現場では、形骸化した「検査=出荷可否判定」の発想が根強く残っていますが、現代のグローバル競争力を維持するためには、設計の段階でJIS C 60068をベースとした環境試験を実施し、真正面から“製品の信頼性”という価値を向き合うことが不可欠です。

JIS C 60068の基本構造と主な規格分類

JIS C 60068は多岐にわたる試験項目が細かく分類されています。

その中核となるものをいくつかご紹介します。

温度試験(高温・低温・温度サイクル)

製品が極端な気温環境にさらされた場合でも、本来の性能を維持できるかを調べる試験です。

自動車部品や屋外設置機器、あるいは産業用途で温度の変動が大きな環境でも安全に使用できるかの目安となります。

JIS C 60068-2-1(低温)、60068-2-2(高温)、60068-2-14(温度サイクル)などが該当します。

湿度試験

電気・電子機器が湿度の高い環境下でも腐食や絶縁不良を起こさず、正常に作動するかを評価します。

特に、アジア圏・熱帯地域へ輸出される製品には必須です。

JIS C 60068-2-30(高温・高湿サイクル)や60068-2-78(定常湿熱)が一般的です。

振動・衝撃試験

輸送中や使用時の振動、物理的ショックに対する製品の耐性を評価します。

ここは、実際の物流現場や顧客使用環境で発生しうる“意外な壊れ方”を想定した検証が求められます。

JIS C 60068-2-6(振動)、60068-2-27(衝撃)、60068-2-64(ランダム振動)などがあります。

塵埃・水試験

屋外設置製品や建設機器、交通インフラ関連製品など、異物や水の侵入による故障リスクを管理するための試験です。

JIS C 60068-2-68(塵埃)、60068-2-18(水)といった規格が該当します。

環境試験の本質と誤解されやすいポイント

現場では「環境試験は形式的なもの」「合格していれば大丈夫」といった認識が依然として残っています。

しかし実際には、JIS C 60068が求めているのは「故障しない」だけのことではありません。

これら試験は製品設計や材料選定上のウィークポイントを早期検出し、新製品の開発・量産時に“再発リスク”を低減させる、いわば設計FMEA(失敗モード影響解析)の一環なのです。

また、単一試験へ“パス”すれば安泰というわけではなく、組み合わせや連続的な環境応力こそが実環境に近い“本当のクリアランス”です。

グローバル市場と環境試験の重要性

国際市場向けには、JIS C 60068はそのままIEC規格として使われている場合も多く、CEマーキングやUL規格、さらにはカスタマー独自の品質監査でも“環境試験データ”は欠かせない存在です。

ここが日本の伝統的“目視・経験主義”だけでは太刀打ちできない現実です。

海外のバイヤーやプロキュアメント担当者は、エビデンス重視の傾向が昔よりさらに強まっています。

よって、取引先との信頼を構築し価格競争以外のバリューを訴求するためにも、国際標準に則った環境試験への対応はもはや企業生存の最低条件となっています。

バイヤー目線で考えるJIS C 60068の活用ポイント

購買担当者、あるいはサプライヤーの立場から見たとき、JIS C 60068環境試験の強みは“客観的・定量的な評価”ができる点にあります。

どれだけ現場の職人技で丁寧な作り込みが施されていても、市場の厳しい現実では“エビデンスドリブン”の議論が中心です。

バイヤーは自社製品の最終顧客からも「どの程度の環境まで大丈夫なのか?」という確認を頻繁に受けています。

このとき、環境試験成績書・試験プロファイル・各種写真などが整理されていると、そのまま“ほぼ無加工”で顧客へ信頼性を示せるため、コミュニケーションコストとリスクが圧倒的に軽くなります。

結果的に「品質で差別化を図りやすい」「単価の値下げ圧力が減る」など、多くの間接価値が生まれます。

調達・購買部門が陥りがちなミスとその回避策

調達・購買の現場では「JISに対応=どのサプライヤー製品も同等品質」のような“幻想”に陥ることも珍しくありません。

ですが、実は同じ規格番号が記載されていても“どの厳しさで・どの条件範囲で・どういう判定基準で”合格したものか?は企業ごとに差があります。

よって、環境試験証明書の「プロファイル(温度・湿度・時間など具体内容)」と「判定基準(機能試験、劣化判定方法)」まで必ずチェックしましょう。

品質管理部門とも連携し、実地でのサプライヤ監査や第三者機関のレポートも併用することが、調達リスク低減の要です。

昭和型現場の“アナログ発想”から脱却するヒント

日本の製造業は、今なお「長年の勘を信じて」「先輩のやり方に習う」「キズ・ヤケなども手直し職人優先」といった価値観が色濃く残っています。

しかし、今やグローバルバイヤーは“誰がやっても同じ品質”を求めています。

一方で、JIS C 60068のような標準化試験を早期導入し体系化することで、“職人の目利き”と“規格ベースのデータ”の両輪を回すことができます。

昭和型の「俺の経験則」は、うまく言語化して規格試験の結果や運用マニュアルに落とし込むことで、若手や非熟練者でも再現可能な財産に変わります。

これが現場とバイヤー、サプライヤー双方にとって大きなメリットとなります。

今後の製造業が持つべきラテラルシンキング視点

従来は、「とにかく壊れなければ良い」「不良は出荷前に全部止める」といった直線的なアプローチが主流でした。

しかし、昨今では気候変動や輸送環境の多様化、IoT連携による24時間稼働など、これまで経験がなかった“新たな壊れ方”や“想定外の環境ストレス”が頻出しています。

ここで重要なのが、“未知のリスクをどうラテラル(多角的)に予測し、規格に反映していくか”という姿勢です。

例えば、高温と振動が重なる複合ストレス下で発生する“見落としがちなトラブル”を可視化し、カスタムプロファイルを作成して評価する。

あるいは、サプライチェーン各社がJIS C 60068のデータをクラウドで共有し、各段階での工程管理パラメータ自動連携を目指す。

こうした発想で“次世代の現場力”を高めることが可能です。

まとめ:JIS C 60068の活用が現場を変革する

JIS C 60068に基づいた環境試験は、単なる「検査」ではなく、“製品信頼性”を体系的に証明し設計・開発・生産・品質管理すべての現場を進化させる武器です。

バイヤー・サプライヤー双方が“同じ基準・見えるデータ”で会話を重ねれば、価格競争に陥りにくく、製品バリューの最大化が可能です。

また、日本独特の昭和的なアナログ現場力も“形式知”として蓄積し、最新の環境試験と融合させることで、アジア発グローバルスタンダード創出も夢ではありません。

これからの製造業は、“環境試験データ”を起点に、業界全体でレベルアップを図る時代です。

ぜひ貴社でも、JIS C 60068の本質活用に取り組んでみてください。

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