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消耗品コストダウンを目的にした見積比較が機能しない場面

目次
はじめに:消耗品コストダウンという永遠のテーマ
消耗品コストダウンは、製造業に携わるすべての現場において、未だに根強い課題です。
とくに調達・購買部門のバイヤーや工場管理職にとって、「消耗品のコスト低減」は毎年の重要目標に掲げられることが少なくありません。
一方、消耗品サプライヤー側の担当者も、いかに「バイヤーが考えるコストダウン要求」を満たせるのかを常に模索しています。
その手段として最も手軽なのが、「見積比較」です。
複数社から見積を集めて、最安値を選ぶ。
このプロセスが、いつしか「正解である」と思い込まれていませんか?
しかし実際の現場では、単なる価格比較では解決できない問題や、思わぬ落とし穴が潜んでいます。
この記事では、20年以上の製造現場・調達業務の経験を基に、消耗品のコストダウンで「見積比較が必ずしも機能しない本当の理由」や、現場目線のより効果的なアプローチについて解説します。
なぜ「見積比較」が一般的なのか?そのメリットと限界
消耗品とは、多くの製造現場で日常的に使われ、必ず消費されていく備品や資材を指します。
たとえば手袋やウエス、ボルト・ナット、切削工具や潤滑油、段ボールやテープまで、多種多様です。
これらは、
・製品コストへの寄与率が低い(でも絶対に必要)
・発注単位が小さい、回数が多い
・定期的に購入実績品が更新される
といった特性があります。
そのため「誰が見ても分かりやすいコスト削減手段=価格比較」に頼りがちなのです。
見積比較のメリット
見積を複数取得して比較することには、以下のメリットがあります。
・簡単で手軽に実施できる
・価格差が数字で明確に可視化できる
・公正性・透明性が担保できる
管理職や経営層へも、「安いところに発注した」ことが説明しやすいのも大きなポイントです。
しかし…その「盲点」は?
見積比較は、あくまで形式的・定量的な指標です。
そこにだけ「最適化」すると、気付かぬ落とし穴が現場に生まれます。
次項から、実際の現場で「価格だけ比較しても意味がない場面」「比較だけではコストダウンにならない理由」について、実例に即してひも解きます。
価格比較が無意味になる3つの典型的なケース
総じて、「コストダウン=価格比較」から一歩踏み込めていない現場では、以下の困難に直面します。
1.消耗品の仕様・品質が安定しない場合
例えば、ポリ手袋や部品パーツなどは、見た目やカタログ値が似通っていても、実際の現場で使うと…
・すぐ破れやすい
・不良や歩留まりに悪影響
・交換サイクルが短くなり、手間が増え結果的にコスト増
このような現象が頻発します。
「安い手袋を買ったせいで、最終的に工数も廃棄も増えて高くついた」
こうした事例は、工場現場あるあるです。
とくに、消耗品は「現場の潜在的な品質ノウハウ」や「現場オペレーターの暗黙知」が積み上げられています。
スペックシートやカタログでは分からない「使い勝手の良し悪し」が存在するのです。
2.納期や供給安定性によるリスク
安い価格を提示したサプライヤーが、安定納入できるとは限りません。
工場の生産は「コンベア式」に進みますから、一つでも部品・資材が欠けると全体が止まってしまうことも。
2020~2023年のコロナ禍、ウクライナ戦争など原材料調達リスクも記憶に新しいはずです。
単純に価格だけで決めて納品遅延が発生すれば、生産ラインは停止し、数百万~数千万単位の機会損失にも発展します。
また、サプライヤーの多くは「他社との相見積もりだから」と最低価格を出す一方で、「安値で継続供給」できない場合も多いのが現状です。
3.発注・管理コストの増加
消耗品の取引先を「価格のみ」で頻繁に切り替えると、発注業務や請求処理が煩雑化します。
電子化が進んでいない昭和体質の現場では、紙伝票やFAXの運用負担が増大します。
また、サプライヤーごとに伝票形式や納品方法が異なることで、管理部門に目に見えない“隠れコスト”が発生していきます。
「単価は安くなったはずなのに、請求トラブルや在庫管理でヒューマンエラーが増えた」
これも典型的な失敗例です。
バイヤー・調達担当者が知るべき「本当のコストダウン」
現場で本当に期待されるコストダウンは、「ただ価格を下げる」ことではありません。
使い勝手や供給の安定性も担保しつつ、トータルコスト(TCO=Total Cost of Ownership)を減らすことが、BtoB製造業のバイヤー像です。
では、どのような視点が必要なのでしょうか?
現場主義×ラテラルシンキングで切り拓く
ラテラルシンキング(水平思考)的に考えることで、以下のようなアイディアが浮かび上がります。
・「現場の声」を積極的にヒアリングし、実際に手にとって試す(マテリアルテストやサンプル評価の徹底)
・消耗品管理もISO9001やIATF16949の仕組みに落とし込む
・リードタイム短縮や在庫回転率向上など、物流面も含めて提案させる
・“安さ”の理由が単なるスペックダウンや低グレード品への置換でないか?を見極める
・KAIZEN(改善)の視点で、定期購入品を抜本的に見直し・削減する
・リサイクル化やまとめ買い等、サプライヤーとWin-Winのスキームを構築する
特に、実際に使うオペレーターや現場作業者の「使用感」、そしてサプライヤー側の「生産実態」に目を配ること。
これがアナログ業界では昔から大切にされてきた、いわゆる「現場力」なのです。
サプライヤーの視点から読み解く:バイヤーの困りごとと付き合い方
サプライヤー目線でも、「とにかく値下げ要求ばかり」の調達担当者には辟易するかもしれません。
しかし、先述した「現場での困りごと」や「総コストでの貢献」を上手く提案できれば、単なる価格競争から抜け出せるチャンスがあります。
たとえば
・納品リードタイム短縮
・保管場所の提案整理
・改善提案や工具・資材のまとめ買いによる値引き
・不良時の迅速な交換・対応
こういった付加価値を積み重ねれば、価格競争に巻き込まれにくくなります。
また、「現場見学」や「試作品立会い」の機会を設けることで、ユーザー(バイヤー)の信頼感を高めるのも重要です。
昭和体質のアナログ業界が今こそ変わるべき理由
昭和から平成、令和と時代は進みましたが、製造業界の多くは、いまだにアナログ的な管理や、前例主義が根強く残っています。
とくに消耗品購買は「コストダウンのために、まず価格比較」と暗黙に刷り込まれてしまっています。
しかし今、デジタル化や「ものづくりDX(デジタルトランスフォーメーション)」が進む中で、このアナログ的発想は大きなビハインドになります。
例えば見積比較も、「どんな情報を、どんな基準で比較評価したのか」「現場が合意した仕様・使い勝手を誰が把握しているのか」というプロセスがデジタルデータで管理できるようになれば、属人的な“なんとなく”の購買から解消され、持続可能なコストダウンが実現できるのです。
まとめ:現場・バイヤー・サプライヤーの「三方良し」へ
消耗品コストダウンにおける見積比較は、「最初の入口」に過ぎません。
本当のコストダウンは、現場の使い勝手、供給の安定性、サプライヤーの信頼性など、「見えない価値」に目を向けることから始まります。
現場に寄り添い、本音を聞き出すバイヤー。
ただ安く提案するだけでなく、一歩先の提案で付加価値を生み出すサプライヤー。
そして三方良しの関係を築くことが、これからの製造業の発展には欠かせません。
変化の時代こそ、ラテラルシンキングと現場主義で「新たなコストダウンの地平線」を切り拓きましょう。
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