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投稿日:2026年1月22日

製造業の広報DXが営業と分断される瞬間

製造業の広報DXが営業と分断される瞬間

製造業の現場では、近年「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードが叫ばれています。
この波は、これまでアナログ色が強かった広報部門にも及び、経営層から「DXで業績を伸ばせ」との号令がかかるケースも増えました。
ところが、多くの現場ではこの“広報DX”が、なぜか営業部門との連携でつまずき、分断が生じています。
なぜ営業と広報の間に溝ができるのでしょうか。
その原因と現場で本当に使えるDX推進のヒントを、長年の工場勤務経験から掘り下げて考察します。

広報DXの現状と製造業特有の事情

そもそも広報DXとは何か

広報DXとは、プレスリリースの電子化やSNS活用、Webサイトのリニューアル、オンライン展示会の開催など、デジタルツールやデータ活用による業務効率化・情報発信力の強化を指します。
BtoC業界ではすでに当たり前の手法も、製造業のBtoB現場では「紙・FAX・対面」がまだまだ主流。
しかしコロナ禍を経て、取引先との接点や新規リード獲得の方法を見直す中で、「広報もデジタルで強化せよ」という声が現場にも押し寄せています。

昭和の風土が根強く残る製造業界

今も多くの現場で横行しているのは、実は“昭和流”の価値観や仕組みです。
些細な決まりごと、押印・紙ベースの稟議、根回し重視の社内調整、そして「電話が基本」という連絡手段。
上司の机には日報やFAXが山積み、PRや展示会も人脈・リアル重視の「顔パス文化」が生きています。
この空気の中で「WebでPRしよう」「データで成果を証明しよう」とDX化を掲げても、違和感や反発が出るのは当然ともいえるでしょう。

なぜ営業と広報がかみ合わないのか

“成果の基準”が違うことが大きな分断要因

営業部門のミッションは、最終的に売上を上げることです。
リード創出⇒商談⇒受注⇒納品まで、目に見える数値結果がKPIとなります。
一方、広報部門は「当社情報の発信」「認知度アップ」「ブランド価値の醸成」など、目に見えにくい成果が多く、数値化や直接効果の可視化が難しいのが現実です。
「Webアクセス数が前年比200%!」と言われても実際の受注増にはつながらないケースもあるため、営業側としてはもどかしさや不信感を抱きやすくなります。

営業は現場主義・広報はオフィス主義

営業担当は「お客様の現場第一主義」です。
現場で相手先の工場見学や技術担当者との対話、突発的な課題への対応など、“泥臭い”現場感覚が財産です。
それに対し、広報DX担当は本社・オフィスのデスクワーク中心、顧客接点もWebやメール・SNSが軸となりやすく、物理的も心理的にも“現場感”が薄れがちです。
結果、広報DXの施策が現場営業の「実感」や「お客様のリアルな声」「業界のしきたり」からズレたものになり、距離感が広がってしまうのです。

“あるある”な分断の具体例

例1:Webで人気とトップ表示された特集記事を、自信満々で営業展開しようとしたのに、「うちのお客様はWebじゃ来ない」「難しい言葉ばっかり」と営業から冷めた反応が返る。

例2:マーケティングオートメーション(MA)ツール導入で「ホットリードを渡す」と広報が意気込むも、営業は「このリスト、本当に金になるの?と疑心暗鬼で追わず成果なし。

例3:広報が新商品や技術ブランドで渾身のSNS投稿をしても、現場の営業は「うちの顧客(調達、工場長)はSNSやっていない」と感じ価値を認識しない。

現場ではこんな“温度差”が日常でもよく見られます。

分断が生まれる理由をラテラルに分析する

①社内“情報のサイロ化”

製造業の組織構造は、部門ごとに縦割り・隣の畑には無関心、という“サイロ化”が色濃く残ります。
広報=広報の世界、営業=営業の世界で成果判断もコミュニケーションも完結しがちです。
両者が本気で目的や成果をすり合わせ、Win-winの設計図を描かない限り、DX推進は「広報やってるつもり、営業動かず」の繰り返しになります。

②「情報共有」と「現場の合意形成」の壁

昭和的な現場では、口伝えの“根回し”や“雑談小屋裏会議”が意思決定のカギになります。
DX広報でも、データやレポート一辺倒で各部門へ一方的に「通達」だけしても、現場肌感の合意は取れません。
本当の意味で“現場の声”を聞き「何がほしいのか、何が使えるのか」を地道にヒアリングし、共感を得るプロセスが極めて重要になってきます。

③“属人化”と“ベテランの勘”

生産現場・購買現場では、40代~60代のベテラン社員が要のポジションを押さえているパターンが大半です。
AIやMAツールの操作より、相手工場長との雑談や個人成績をあげる勘・ネットワークが武器です。
こうした“人に依存”した商習慣に、Web広告やデータ施策だけで食い込むには限界があります。

現場目線での“製造業らしいDX”のヒント

①まずは「現場の営業の困りごと」を聞く

机上の施策でなく、「何に困っているのか」「どんな情報が欲しいのか」を徹底して営業と会話しましょう。
例えば、「訪問少ない会社にはこう伝えると警戒されない」「この工場には技術パンフより失敗事例が効く」など、リアルな知見こそが宝です。
そこから逆算して広報DXの具体施策を設計するとうまくいきます。

②“使う現場”が参加する広報コンテンツ設計

広報だけでなく営業・生産・品質管理の第一線担当も巻き込み、一緒にコンテンツ企画やプロモーション企画に加わってもらう手法が有効です。
現場の実例や“お客様に響いた言い回し”“クレーム回避の極意”など、ナマの知見がデジタルコンテンツにも活きてきます。

③「アナログ&デジタルの融合」という発想

いきなりすべてをデジタルシフトするのではなく、現場営業の“ハイブリッド活用”がベターです。
たとえば「Zoomによる技術者説明+現場見学動画」「展示会・セミナーのダイジェストWeb公開+現物カタログ郵送」といった組み合わせが、昭和風土にもソフトランディングしやすい工夫となります。

④成果指標を“現場実利”と結び付ける

単なるPV数やSNSバズだけでなく、「新規会社との初コンタクトが増えた」「商談獲得日数が短縮」「購買担当から問い合わせが増えた」など、現場に即した実利でKPIを設定します。
営業や調達担当が「本当に助かった」「役に立つ!」と思える指標でDX施策を進化させましょう。

サプライヤー・バイヤーにも伝えたいDX視点

バイヤー(調達担当)を口説く広報DXとは

バイヤーが本当に見ているポイントは、「その会社・製品に安心感があるか」「技術サポートや納期対応に信頼がおけるか」といった現場感です。
Webサイト・データシートも「どれだけ現場具体事例が紹介されているか」「担当者の顔や声が伝わるか」を磨きましょう。
システム紹介も、難解な最新技術だけでなく「現場の困りごと解決」視点でリアリティある事例紹介を意識しましょう。
また、“QCD(品質・価格・納期)”情報は、できる限りわかりやすく、すぐ問い合わせ行動につながる設計を心がけたいところです。

サプライヤー目線でのDX活用ヒント

営業担当・バイヤーの思考や商流を知るには、「お客様の現場で何が問題になっているか」を拾い続けることが重要です。
単なる会社紹介動画やSNS投稿だけでなく、「この工場の冗談トーク」「担当者が実際に困った時のストーリー」など、親近感の湧く情報発信がバイヤーの信頼獲得に直結します。
また、納品・検品報告書や技術QAなど、地道なアナログ情報のDX化も、顧客の工数削減という形で高評価を得られます。

まとめ:分断を乗り越え“令和の現場力”を磨くために

デジタル施策だけを進めても、広報と営業の間に“壁”ができてしまう現状は、製造業界全体の普遍的悩みです。
しかし、現場目線・顧客目線で「本当に必要とされること」を共有し、“現場人財”も巻き込んだDXを進めれば、昭和のアナログからの脱却も夢ではありません。
昭和流の“根回し合意”すら、デジタル施策設計の重要なインプット。
分断を超えた“令和のものづくり力”を、現場の知恵と最先端技術の両輪で伸ばしていきましょう。

製造現場の変革は一朝一夕ではありませんが、一歩ずつ着実に、仲間とともに進むことが成長のカギです。
みなさんの現場でも、「営業と広報の本音対話」「現場主導のDX設計」をぜひ実践してみてください。

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