- お役立ち記事
- 製造業の広報DXが営業と分断される瞬間
製造業の広報DXが営業と分断される瞬間

目次
製造業の広報DXが営業と分断される瞬間
製造業の現場では、近年「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードが叫ばれています。
この波は、これまでアナログ色が強かった広報部門にも及び、経営層から「DXで業績を伸ばせ」との号令がかかるケースも増えました。
ところが、多くの現場ではこの“広報DX”が、なぜか営業部門との連携でつまずき、分断が生じています。
なぜ営業と広報の間に溝ができるのでしょうか。
その原因と現場で本当に使えるDX推進のヒントを、長年の工場勤務経験から掘り下げて考察します。
広報DXの現状と製造業特有の事情
そもそも広報DXとは何か
広報DXとは、プレスリリースの電子化やSNS活用、Webサイトのリニューアル、オンライン展示会の開催など、デジタルツールやデータ活用による業務効率化・情報発信力の強化を指します。
BtoC業界ではすでに当たり前の手法も、製造業のBtoB現場では「紙・FAX・対面」がまだまだ主流。
しかしコロナ禍を経て、取引先との接点や新規リード獲得の方法を見直す中で、「広報もデジタルで強化せよ」という声が現場にも押し寄せています。
昭和の風土が根強く残る製造業界
今も多くの現場で横行しているのは、実は“昭和流”の価値観や仕組みです。
些細な決まりごと、押印・紙ベースの稟議、根回し重視の社内調整、そして「電話が基本」という連絡手段。
上司の机には日報やFAXが山積み、PRや展示会も人脈・リアル重視の「顔パス文化」が生きています。
この空気の中で「WebでPRしよう」「データで成果を証明しよう」とDX化を掲げても、違和感や反発が出るのは当然ともいえるでしょう。
なぜ営業と広報がかみ合わないのか
“成果の基準”が違うことが大きな分断要因
営業部門のミッションは、最終的に売上を上げることです。
リード創出⇒商談⇒受注⇒納品まで、目に見える数値結果がKPIとなります。
一方、広報部門は「当社情報の発信」「認知度アップ」「ブランド価値の醸成」など、目に見えにくい成果が多く、数値化や直接効果の可視化が難しいのが現実です。
「Webアクセス数が前年比200%!」と言われても実際の受注増にはつながらないケースもあるため、営業側としてはもどかしさや不信感を抱きやすくなります。
営業は現場主義・広報はオフィス主義
営業担当は「お客様の現場第一主義」です。
現場で相手先の工場見学や技術担当者との対話、突発的な課題への対応など、“泥臭い”現場感覚が財産です。
それに対し、広報DX担当は本社・オフィスのデスクワーク中心、顧客接点もWebやメール・SNSが軸となりやすく、物理的も心理的にも“現場感”が薄れがちです。
結果、広報DXの施策が現場営業の「実感」や「お客様のリアルな声」「業界のしきたり」からズレたものになり、距離感が広がってしまうのです。
“あるある”な分断の具体例
例1:Webで人気とトップ表示された特集記事を、自信満々で営業展開しようとしたのに、「うちのお客様はWebじゃ来ない」「難しい言葉ばっかり」と営業から冷めた反応が返る。
例2:マーケティングオートメーション(MA)ツール導入で「ホットリードを渡す」と広報が意気込むも、営業は「このリスト、本当に金になるの?と疑心暗鬼で追わず成果なし。
例3:広報が新商品や技術ブランドで渾身のSNS投稿をしても、現場の営業は「うちの顧客(調達、工場長)はSNSやっていない」と感じ価値を認識しない。
現場ではこんな“温度差”が日常でもよく見られます。
分断が生まれる理由をラテラルに分析する
①社内“情報のサイロ化”
製造業の組織構造は、部門ごとに縦割り・隣の畑には無関心、という“サイロ化”が色濃く残ります。
広報=広報の世界、営業=営業の世界で成果判断もコミュニケーションも完結しがちです。
両者が本気で目的や成果をすり合わせ、Win-winの設計図を描かない限り、DX推進は「広報やってるつもり、営業動かず」の繰り返しになります。
②「情報共有」と「現場の合意形成」の壁
昭和的な現場では、口伝えの“根回し”や“雑談小屋裏会議”が意思決定のカギになります。
DX広報でも、データやレポート一辺倒で各部門へ一方的に「通達」だけしても、現場肌感の合意は取れません。
本当の意味で“現場の声”を聞き「何がほしいのか、何が使えるのか」を地道にヒアリングし、共感を得るプロセスが極めて重要になってきます。
③“属人化”と“ベテランの勘”
生産現場・購買現場では、40代~60代のベテラン社員が要のポジションを押さえているパターンが大半です。
AIやMAツールの操作より、相手工場長との雑談や個人成績をあげる勘・ネットワークが武器です。
こうした“人に依存”した商習慣に、Web広告やデータ施策だけで食い込むには限界があります。
現場目線での“製造業らしいDX”のヒント
①まずは「現場の営業の困りごと」を聞く
机上の施策でなく、「何に困っているのか」「どんな情報が欲しいのか」を徹底して営業と会話しましょう。
例えば、「訪問少ない会社にはこう伝えると警戒されない」「この工場には技術パンフより失敗事例が効く」など、リアルな知見こそが宝です。
そこから逆算して広報DXの具体施策を設計するとうまくいきます。
②“使う現場”が参加する広報コンテンツ設計
広報だけでなく営業・生産・品質管理の第一線担当も巻き込み、一緒にコンテンツ企画やプロモーション企画に加わってもらう手法が有効です。
現場の実例や“お客様に響いた言い回し”“クレーム回避の極意”など、ナマの知見がデジタルコンテンツにも活きてきます。
③「アナログ&デジタルの融合」という発想
いきなりすべてをデジタルシフトするのではなく、現場営業の“ハイブリッド活用”がベターです。
たとえば「Zoomによる技術者説明+現場見学動画」「展示会・セミナーのダイジェストWeb公開+現物カタログ郵送」といった組み合わせが、昭和風土にもソフトランディングしやすい工夫となります。
④成果指標を“現場実利”と結び付ける
単なるPV数やSNSバズだけでなく、「新規会社との初コンタクトが増えた」「商談獲得日数が短縮」「購買担当から問い合わせが増えた」など、現場に即した実利でKPIを設定します。
営業や調達担当が「本当に助かった」「役に立つ!」と思える指標でDX施策を進化させましょう。
サプライヤー・バイヤーにも伝えたいDX視点
バイヤー(調達担当)を口説く広報DXとは
バイヤーが本当に見ているポイントは、「その会社・製品に安心感があるか」「技術サポートや納期対応に信頼がおけるか」といった現場感です。
Webサイト・データシートも「どれだけ現場具体事例が紹介されているか」「担当者の顔や声が伝わるか」を磨きましょう。
システム紹介も、難解な最新技術だけでなく「現場の困りごと解決」視点でリアリティある事例紹介を意識しましょう。
また、“QCD(品質・価格・納期)”情報は、できる限りわかりやすく、すぐ問い合わせ行動につながる設計を心がけたいところです。
サプライヤー目線でのDX活用ヒント
営業担当・バイヤーの思考や商流を知るには、「お客様の現場で何が問題になっているか」を拾い続けることが重要です。
単なる会社紹介動画やSNS投稿だけでなく、「この工場の冗談トーク」「担当者が実際に困った時のストーリー」など、親近感の湧く情報発信がバイヤーの信頼獲得に直結します。
また、納品・検品報告書や技術QAなど、地道なアナログ情報のDX化も、顧客の工数削減という形で高評価を得られます。
まとめ:分断を乗り越え“令和の現場力”を磨くために
デジタル施策だけを進めても、広報と営業の間に“壁”ができてしまう現状は、製造業界全体の普遍的悩みです。
しかし、現場目線・顧客目線で「本当に必要とされること」を共有し、“現場人財”も巻き込んだDXを進めれば、昭和のアナログからの脱却も夢ではありません。
昭和流の“根回し合意”すら、デジタル施策設計の重要なインプット。
分断を超えた“令和のものづくり力”を、現場の知恵と最先端技術の両輪で伸ばしていきましょう。
製造現場の変革は一朝一夕ではありませんが、一歩ずつ着実に、仲間とともに進むことが成長のカギです。
みなさんの現場でも、「営業と広報の本音対話」「現場主導のDX設計」をぜひ実践してみてください。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。