- お役立ち記事
- ノベルティの材質変更によるコストダウンで起きがちな誤算
ノベルティの材質変更によるコストダウンで起きがちな誤算

目次
はじめに:ノベルティの材質変更は本当にコストダウンになるのか
製造業の現場において、「ノベルティ」の企画・調達は重要な役割を担っています。
取引先へのご挨拶、展示会での集客、社内表彰など、さまざまな場面でノベルティが活用されています。
その一方で、「ノベルティのコストダウン」が購買・調達担当にとって欠かせない課題です。
なかでも、材質変更によるコスト削減は、最も着手されやすい手法の一つとなっています。
しかし、材質変更はただの「値段合わせ」では済みません。
現場では見逃されがちな落とし穴があり、安易な材質切り替えが、思わぬ追加コストや品質リスクをもたらすことがしばしばあります。
本記事では、製造業現場で20年以上の実務経験を踏まえ、ノベルティの材質変更によるコストダウンにありがちな「誤算」と、その回避策について徹底的に解説します。
また、バイヤーの立場、サプライヤーの目線双方になりきって、業界ならではのリアルな声や事例を交えて、ラテラルシンキングで掘り下げます。
よくある材質変更のパターンと背景
なぜ材質変更が注目されるのか
ノベルティを企画する際、もっとも手っ取り早いコストダウン策の一つが「材質の見直し」です。
特に、昭和から続くアナログな意思決定が色濃く残る現場では、「○○の材質をAからBに変えて、単価をいくら削減」という提案がしばしば見受けられます。
たとえば、紙製からプラスチック製への変更、金属製から樹脂製への転換、安価な合成樹脂へのグレードダウンなどが典型例です。
その背景には、ノベルティ自体が「直接的な収益」に直結しない販促品であるという性格が大きく影響しています。
営業部や経営層からの「まずはコストを削減しろ」という一声で、購買部門もついコストトップダウンの数字達成を優先してしまいがちです。
定番の材質変更事例
1. 金属製キーホルダーを亜鉛合金からアルミ合金に変更
2. 卓上カレンダーの台紙を厚手紙からコート紙に変更
3. 名入れボールペンの本体をABS樹脂から再生PET樹脂に変更
4. トートバッグの素材をコットン100%からポリエステル混に変更
いずれも見た目や仕様上の違いが最小限に見えるため、「変更によるデメリット」は十分にチェックされないまま、コスト削減メリットだけが強調されて進行する例が少なくありません。
材質変更で見落とされがちな”誤算”とは
思わぬ追加コストが発生する構造的なメカニズム
材質変更によるコストダウンが必ずしも「最終的なコスト削減」につながらない理由は、いくつかの構造的な要因に起因しています。
代表的な誤算を挙げて解説します。
1. 品質不良・仕様変更による再製造コスト
安価な材質へ変更した結果、表面印刷のインクが乗りにくかったり、印字が薄くなったり、予定していた名入れがうまく再現できなかったりと、「表面処理・外観品質」に大きな影響を及ぼす場合があります。
この場合、納品後のクレームや再作業対応で追加コストが発生するだけでなく、納期遅延や顧客評価低下につながります。
2. 強度・耐久性の低下によるユーザークレーム
樹脂材質のグレードを下げたことで割れやすくなった、コットンからポリエステルへ変更したら洗濯で破れやすくなった――こうしたトラブルは現場で頻繁に発生します。
特にノベルティの場合、多くが「ワンシーズン使用」を想定しているものの、予想以上に早期破損した場合は顧客(取引先)の印象が大きく損なわれます。
修理、不良交換、再生産など、本来なら不要な出費が追加発生する恐れがあります。
3. 梱包や物流コストの増加
意外と見落としがちなのが、材質変更によって製品の重量や寸法が変化し、梱包サイズや輸送費が地味に増加するケースです。
たとえば、「軽量化のために材質変更したら、破損防止のために緩衝材を追加しなければならなくなった」など、物流面での不意の出費が積み重なり、当初見込んだコストダウン効果が台無しになることもあります。
4. ブランドイメージの低下
製造業に携わる方ならきっと経験があるはずです。
カタログだけでは伝わらない「質感」や「重厚感」の違い。
廉価材へと変更したことでブランドイメージを損ね、最終的に取引先や消費者からの信用低下につながるケースが後を絶ちません。
とくにBtoBで高級機械や精密製品を扱う企業の場合、「こんなチープなノベルティしか出さないのか」という無言のダメージも考慮しなければなりません。
昭和的アプローチから脱却するために
チェックリストでぬかりなくリスクヘッジ
材質変更を検討する際は、表面上の金額だけでなく「全体最適」を意識したリスクアセスメントが不可欠です。
筆者おすすめのチェックリストは以下の通りです。
・現行製品と新材質サンプルとの物理特性、耐久性、製造上の差異の比較
・サプライヤーにおける同材質製品での過去トラブル・実績の確認
・名入れ・印刷など付加価値工程の適合テスト
・輸送・保管・物流コストの再積算
・最終ユーザーからのヒアリング・アンケートによる「価値低下感」の有無
・ブランディングへの悪影響が発生しないか各部門横断での意見共有
安易な「コストダウンの成果」を先に掲げてしまうと、昭和的なトップダウンのプレッシャーで、現場の声やリスク情報が握りつぶされてしまいがちです。
現場主導で「だれがどう評価するのか」を明確にし、クロスファンクショナルなリスクチェック体制を整えていく必要があります。
サプライヤーとのパートナーシップが成否を分ける
単なるコストプッシュ交渉で終わらせない
ノベルティの材質変更は、多くの場合「サプライヤー任せ」になりがちです。
ここで製造業バイヤーとして重要なのは、「パートナーシップ型の提案」を引き出す目線でサプライヤーと対話することです。
ただ「もっと安くならないの?」とコストプッシュ交渉を繰り返すのではなく、
「この用途・ロット数で、今の品質感は維持したままコストダウンするには、どの材質・プロセスがベストだろうか?」
とサプライヤー側の技術や現場力も巻き込んで、共創型で取り組める関係性を築くことが、長期的なリスクヘッジとコスト最適化につながります。
“サプライヤーの声”を積極的に聞く
とくに昭和から続くアナログな取引慣行では、サプライヤー側が「無理だな」と感じていても、バイヤー優位の力関係から異論を申し立てづらい雰囲気が根強く残っています。
ここを打破できるバイヤー像こそが、次世代の調達購買人材に求められています。
例えば、
・サプライヤー独自の調達ネットワークを活かした新材質の提案
・量産時と少量生産時で異なるコスト構造を可視化したうえでのメリット・デメリット説明
・最新の環境配慮型素材などトレンド情報の共有
こうした”現場発”の情報を能動的に吸い上げることで、より現実的で持続可能な材質変更策が実現します。
実際にあった「ノベルティ材質変更の失敗事例」
ケース1:コスト半減案件が大量クレーム案件に
ある大手メーカーで、金属製ノベルティをアルミから樹脂に切り替えたところ、納品直後から「持っただけで割れた」「見た目が安っぽい」と苦情が急増。
急遽、全数回収→新規リピート発注→物流コスト二重取り、という“二重コスト化”に直面。
安易な材質変更がむしろ逆効果となった典型例です。
ケース2:環境対応のつもりがコスト高に
国からの要請で「エコノベルティ」として再生樹脂への切り替えを実施。
しかし成形条件が難しく、歩留まりが極端に悪化したため、現場では不良分の追加生産、納期遅延、結果的にコストアップとなりました。
環境対応とコストダウンを一律に両立できる訳ではないことを示す教訓です。
まとめ:真のコストダウンは“全体最適”の視点で見極める
ノベルティの材質変更によるコストダウンは、数字だけを見れば成果が現れやすい施策です。
しかし、現場レベルでの品質・耐久性・ブランドイメージ・物流・追加対応コストなど“隠れた費用”に目を向けなければ、本当のコスト削減にはなりません。
購買=コストカットではなく、「いかにして全体最適のバランスを保つか」がプロバイヤーに求められる時代です。
昭和的なトップダウン数値目標ではなく、サプライヤーと対話による共創・現場の声を拾い上げる組織風土、そして全社的なリスクアセスメント体制――これらを整えてはじめて、「狙ったとおりのコストダウン」に成功できるといえるでしょう。
ノベルティ材質変更の検討において、ぜひ「業界の常識」や「目先のコストダウン」に縛られず、深く、広く、“今こそ新たな地平線”を切り拓いてください。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。