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セキュリティソリューションの優先順位が決まらない理由

目次
はじめに:製造業とセキュリティの現実
製造業は、日本経済を支える根幹となる産業の一つです。
しかし、いま現場で真剣な課題となっているのが「セキュリティ対策の優先順位が決まらない」という問題です。
IoTやDXが叫ばれる一方、未だ昭和時代のアナログな管理手法や文化が色濃く残る現場も少なくありません。
なぜこうした状況に陥るのでしょうか。
調達購買のバイヤー、生産管理、品質管理の視点、サプライヤー側からの目線、すべてを統合し、現場から見えるリアルな理由と、ラテラルシンキングによる新たな打開策を探ります。
セキュリティ対策の現場課題
アナログ文化が根強く残る理由
日本の製造業は長年にわたり「現場主義」を重視してきました。
現場の匠(たくみ)の声や経験則、阿吽の呼吸で動かす現場は、高度経済成長を支える原動力でした。
しかし、こうした文化はデータやシステムによる管理を遠ざけてしまう要因でもあります。
現場には、「セキュリティはシステムに詳しい誰かに任せておけばいい」といった意識が残っています。
権限管理やアクセス制御、データバックアップ体制の整備について議論すら起こらないケースもあります。
現場の多様性とレガシー設備の壁
製造業の現場は驚くほど多様です。
最新鋭のロボットが稼働する一方で、昭和・平成初期の機械や、今では生産が終了したPLC(プログラマブルロジックコントローラ)も、ラインの中核を担っていたりします。
こうしたレガシー設備はネットワークにつなぐ設計にはなっていません。
それをIoT化しただけで新たなサイバーリスクにさらされるため、対策そのものが難しくなっています。
なぜ優先順位をつけられないのか
リスクの“見える化”が不十分
セキュリティ投資には、コスト意識が強く働きます。
「うちは標的にならない」「何も問題は起きていない」と考えがちです。
これは、実際にどんな情報や設備が“リスク”にさらされているのかが、具体的に見えていないことが大きな原因です。
現場の機器リスト・サプライチェーンのデータフロー・不正アクセスの発生事例--こうした情報が“見える化”され、リスクと損失額が数字で示されることはほとんどありません。
社内組織の“縦割り”による弊害
生産管理や調達購買、品質部門、IT部門など、役割ごとの専門性が高いのは製造業の強みでもありますが、ときに弊害も生みます。
セキュリティ対策は本来、全社横断的な“共通投資”で扱うべきですが、「これは情報システム部の担当」「現場のことは現場が決める」といった縦割り組織では、全体最適が図られません。
それぞれの部門がバラバラに“独自最適”を追求することで、どこが急所なのか、優先すべき課題なのかが不明確になるのです。
アップデートの遅れと“心理的コスト”
新しい機器やシステムの導入には学習コストがつきものです。
多忙な現場では、「今まで通りで不便を感じていない」「ややこしいものは避けたい」といった心理が働きます。
また、サプライヤーとの調整も障壁となります。
一社が導入しても、周辺の協力会社が未対応であれば効果が薄くなります。
業界動向とセキュリティ意識
DX推進の陰で深まる“セキュリティ格差”
近年、大手メーカーを中心にDX推進が本格化しています。
同期化された設備データ、リアルタイムの在庫管理、受発注システムのオンライン化など、IoTやクラウドが当たり前のように現場に入り込んできています。
一方で、設備投資に消極的な中小企業や、委託先サプライヤーは、従来通りのアナログ運用を続けています。
この「デジタル格差」が新たなセキュリティ脅威を生む温床となっています。
サプライチェーン全体でセキュリティレベルを“底上げ”しなければ意味がないことが、ようやく意識されるようになってきました。
増えるサイバー攻撃と情報漏えい事例
製造業でもっとも多いのは、ランサムウェアや取引先を装ったメールなど、業務担当者を直接狙う手法です。
工場の停止や生産指示システムの乗っ取り、設計図面の流出などのインシデントも年々増加傾向にあります。
実被害や事例が表面化するにつれ、現場にも少しずつ危機感が芽ばえてきました。
ただしこの危機感が部門ごと・階層ごとに“温度差”となり、全体として足並みがそろわないことも課題です。
バイヤー・サプライヤー視点のセキュリティ課題
バイヤーはなぜ“リスクヘッジ”を重視するのか
大手ファブレスメーカーやOEMから求められるのは、サプライチェーン全体の安定供給です。
少しでもセキュリティの「穴」を見つければ、取引停止や受注の減少といった経営リスクが現実となります。
そのためバイヤーは、「どこに、どんな情報・設備があり、どれが守るべき資産か」を洗い出し、リスクの高い部分に重点的に対策を打つべきだと考えます。
サプライヤーが見落としやすいポイント
サプライヤー側から見ると、セキュリティコストは負担増と映りがちです。
それでも発注側が求めるセキュリティ要件、プライバシーマークやISO27001といった第三者認証、取引契約書内のセキュリティ条項は年々厳格化しています。
要点は、「どこまで自社負担で対応すべきか」「どこから先は共同投資なのか」を明確にすることです。
また、調達の現場で“丸投げ”されるケースも多く、バイヤー側の真意や優先順位を読みとろうとする視点が強く求められています。
ラテラルシンキングで考える新たな優先順位の指標
“価値連鎖”として捉えるセキュリティ投資
従来は、守るべき情報資産(コア技術や設計図、顧客名簿など)や業務プロセスの中で「どこが要となるか」を棚卸しし、資産ごとのリスク度合いに応じて投資判断をくだしてきました。
これに加え、ラテラルシンキング(水平思考)で“価値連鎖”の発想を導入してみましょう。
例えば、生産ラインや調達先を“つなぐ”ポイント--データインターフェイスや受発注プロセス、外部ベンダーとの接点などにフォーカスします。
漏洩時や改ざん時に「最も大きな損害を受けるのはどこか」「最速で復旧するための復元ポイントはどこか」をシナリオごとに設計し、複数の“軸”で被害イメージを可視化します。
“現場巻き込み型”の改善サイクル
大切なのは、“上からの命令”ではなく、現場担当者・サプライヤー・発注部門が垣根なく議論できる「横断チーム」を作ることです。
現場の些細な作業や手書き伝票、個人のPCへのデータ持ち出しといったアナログ行動も含めて、セキュリティリスクに紐付けて評価していきます。
「新しいシステムを導入するから守れる」のではなく、「普段の現場行動や業務フローのどこに落とし穴があるか」を現場自身が気づけるアプローチが重要です。
結論:今こそ“現場基準”のセキュリティ戦略を
セキュリティソリューションの優先順位は、現場視点・業界動向・サプライチェーンの全体最適それぞれが噛み合わなければ決まりません。
現場で遅延や混乱が起きない仕組みづくり、サプライヤーも含めた“共創”によるボトムアップのリスク洗い出し、経営と現場・ITと購買、それぞれの距離を縮める対話。
昭和アナログの良さを活かしつつ、デジタルで“見える化”と意思決定の透明性を高める。
そんな新たな思考と現場巻き込み型の改善サイクルによって、製造業にふさわしいセキュリティ戦略の実現が可能になります。
今求められているのは、「守るため」だけでなく「ビジネスを止めないため」のセキュリティです。
現場に優しい、でも効果ある“現場基準”のセキュリティ優先順位付けこそ、これからの製造業の大きな武器となるのです。
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