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ペット用品OEMにおける品質保証体制とクレーム対応の実務

目次
ペット用品OEMにおける品質保証体制とクレーム対応の実務
はじめに:ペット用品分野におけるOEMの現状と課題
ペット市場は近年急速に拡大し、多様な商品開発が求められています。
その中で、多くのメーカーが自社ブランドだけでなくOEM(相手先ブランド名製造)としてペット用品の生産を担うケースが増加しています。
OEMビジネスにとって、「品質保証体制」と「クレーム対応」は信頼を獲得するうえで最重要の基盤と言えます。
残念ながら、いまだ昭和的な文化が根強く残る製造現場も多く、アナログな品質管理やクレーム処理から抜け出せていない実情があります。
本記事では、製造業現場で20年以上培った実践的なノウハウを基に、ペット用品OEMに特有の品質保証の重要ポイントや、クレーム対応の現実と改善策を詳しく解説します。
バイヤー・サプライヤーとしての立場、現場リーダー目線を大切にしながら、これからのものづくりに役立つ情報をお届けします。
OEM事業における品質保証体制の必要性
なぜペット用品OEMでは徹底した品質保証が必要なのか
ペット用品は生活用品や食品以上に「安全性」と「信頼性」が求められる商材です。
なぜなら、製品に不備や欠陥があればペットの健康被害や命に直結するリスクがあるためです。
特にOEMでは、自社ブランドではなく顧客ブランドの商品を受注・生産するため、不良品流出はサプライヤー自身だけでなく取引先ブランドにも多大なダメージを与えます。
OEMメーカーにとって品質保証体制を構築することは、自社の信用を守ると同時に顧客ブランドのブランド価値を守る、大きな使命といえます。
品質保証体制の構築ポイント
OEMの品質保証体制は、以下の5つのポイントを軸に設計する必要があります。
- 受注時点での品質基準の明確化
- 工程別のチェック体制
- トレーサビリティの確立
- 工場内の品質教育と意識改革
- 協力工場・外注管理の徹底
例えば、受注段階で製品仕様書や図面だけでなく、耐久試験・安全基準・各種自主規格まで、顧客と認識合わせを徹底することが求められます。
また、多工程・多人数が関わる製造現場では「ヒューマンエラー」や「伝言ミス」も発生しやすいです。
現場の実務者レベルまで腹落ちする仕組み作り(例えば標準作業書の整備、見える化、チェックリスト化など)はアナログな現場こそ必須です。
現場目線で見る品質保証体制の実践的ポイント
昭和的な「見て覚えろ」に潜むリスクと、その打開策
古い体質の製造現場では、「職人気質」や「見て覚えろ」「阿吽の呼吸」といった指導がまかり通ります。
ですが、ペット用品OEMのグローバル競争時代、このやり方だけでは属人的エラーや品質ばらつきがなくなりません。
デジタル化が進みきらない現場でも、「作業の標準化」「工程ごとのポイントシート」「定期的な品質勉強会」「現場リーダーによる日次ミーティング」など、小さな積み重ねが大きな品質改善につながります。
例えば私の現場では毎朝早朝に「昨日の不良事例」や「顧客からの指摘内容」などを5分間全員で共有するよう徹底しました。
これによってベテランと新人の間で情報格差が解消し、結果的にクレーム件数も減少しました。
QC工程図・FMEAの活用例
品質保証体制を現場に根付かせるためには「QC工程図」や「FMEA(故障モード影響解析)」の導入も有効です。
工程のどこにリスクがあるか、誰が/いつ/どのようにチェックするかを文書・図式化します。
FMEAを導入した現場では単なる「チェック漏れ」を未然防止できただけでなく、重大な品質事故を「事前予見→事前対策」に変える意識が定着しました。
単なる「マニュアル主義」ではなく、現場で本当に実行しやすい「小さな改善の連鎖」が重要です。
最新動向:デジタル化・自動化による品質保証の進化
IoT・センサー技術で実現するトレーサビリティ
近年ではIoT技術の進展により、工場内の生産ラインにセンサーやカメラを設置し、「いつ・どこで・誰が」作業した製品かをデータとして蓄積できるようになっています。
万が一クレームが発生した場合にも、「工程ごとの記録」をシステムで追えるようになるため、原因分析と再発防止が格段に進めやすくなりました。
たとえ全工程のデジタル化が難しくても、ハンディターミナルやExcelを使った簡易トレーサビリティ導入から始めてみることが、現場力強化の第一歩となります。
自動検査・AI検査の現場応用
樹脂成形品や縫製品など、ペット用品の外観検査では「微細なキズ」「色むら」「形状誤差」など、人の目では見逃しがちな不良もあります。
AIカメラや画像センサーによる自動検査は、こうした属人的なばらつきを大幅に抑制します。
現場ではまだ試験導入の段階の工場も多いですが、「人と機械の並列チェック体制」を敷くことで、不良率低減・再発防止率向上など着実な成果が上がっています。
こうした最新技術の情報に敏感なバイヤーは、サプライヤー選定時に「現場レベルでの取り組み状況」を注視するケースも増えています。
クレーム対応の実務:顧客との信頼を築くために
なぜクレーム対応こそが“最大の営業活動”なのか
ものづくりにミスやトラブルはつきものです。
重要なのは、クレームが発生した場合にどう適切に対応するかです。
私の経験上、クレームを真摯に対応し、原因調査と再発防止を徹底したケースは、かえって顧客との信頼関係が深まります。
逆に「言い訳」「現場まかせ」「返答の遅れ」は、信用失墜と二度と取引してもらえない事態を招きます。
クレーム対応実務フローとポイント
クレーム対応の基本フローは以下の通りです。
- 初期対応(受領、真摯な謝罪と聞き取り)
- 事実調査(現場ヒアリング、ロット確認、サンプル回収)
- 原因究明(現品・工程・材料・人的要因分析)
- 対策立案(再発防止策の設計、顧客への提案、現場教育)
- 顧客への報告・説明(時系列や調査資料を添えて誠実に説明)
- フィードバックの仕組み構築(社内共有・標準化)
特に重要なのは「一次対応のスピード」と「情報の透明性」です。
初報は調査中でも早く、調査結果は包み隠さず丁寧に説明することで、バイヤー側もサプライヤーに対する信頼を維持できるのです。
昭和的“押し付け合い”からの脱却と、これからの取引パートナー像
アナログ文化の名残で、「取引先の責任」「現場のせい」など責任転嫁の応酬が起きやすいのもこの業界の実情です。
しかし、これでは誰も幸せになりません。
クレームこそオープンに原因・対策を共有しあい、「共存共栄」のスタンスで協業することが現代的な取引パートナーの必須条件です。
ペット用品OEMも、単なる「調達先‐受注元」の関係から、「品質情報をタイムリーに共有し合う共創パートナー」へ進化しなければなりません。
この意識改革が現場レベルで進めば、クレーム削減のみならず顧客満足度向上、競争力強化へとつながります。
ペット用品OEMにおける品質保証とクレーム対応の未来展望
バイヤー・サプライヤー双方に求められる姿勢の変革
品質保証やクレーム対応の現場を成熟させるためには、バイヤー側の「発注・監査力」、サプライヤー側の「説明・改善力」のどちらも欠かせません。
今後は、デジタル化や自動化技術の導入、現場主導の改善文化、現場全体での問題共有など、付加価値のある品質保証体制の実現が求められます。
繰り返しになりますが、ペット用品は「人命以上に大切」と感じる消費者も多く、そのためメーカーもOEMパートナーも極めて高い倫理観と責任感が求められます。
まとめ:昭和的アナログ現場から、共創型デジタル現場へ
ペット用品OEMの品質保証とクレーム対応で最も大切なのは、現場力と改善への意欲です。
スペックや契約条項だけでなく、実務現場で「本当に顧客の信頼を積み重ねる力」をいかに養うか。
アナログ現場でも、必ず小さな改善や意識改革から始められます。
新しいテクノロジーや取り組みも積極的に活用しながら、OEMメーカー・サプライヤーとして一歩先を進むことで、未来のものづくり業界を切り開いていきましょう。
どんな現場にも打開策はあります。
本記事がペット用品OEMに関わるすべてのものづくり人材の一助になれば幸いです。
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