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濾過機用締結ボルト部材の表面処理と腐食問題

目次
はじめに:濾過機用締結ボルト部材が抱える表面処理と腐食課題
製造現場や設備の維持管理において、濾過機は極めて重要な役割を担っています。
その中でも、濾過機を構成する「締結ボルト」は、稼働の安全性や信頼性を左右する重要部品です。
近年、設備の老朽化や長寿命化のニーズの高まりにより、締結ボルトの表面処理や、腐食対策への注目がますます高まっています。
私自身、長年工場の現場で調達購買や品質保証、生産工程に携わってきた経験から、表面処理の選択一つで設備の寿命が数年単位で変わること、そして現場の保守負担や経済性に大きな差が生じることを痛感しています。
この記事では、業界動向や現場目線での失敗事例、表面処理の最新情報も交えつつ、濾過機用締結ボルト部材の表面処理と腐食問題について思考を深めていきます。
なぜ濾過機でボルトの腐食が問題になるのか
濾過機の「稼働環境」特有の苛酷さ
濾過機は液体や気体、粉体の不純物を分離するために、様々な産業で導入されています。
その多くは、水分・薬品・高温・高湿といった「腐食を促進する要素」が揃った環境下で稼働しています。
特に、締結ボルトは濾過機の主要部品を固定するため、常に外気や処理液にさらされながら力を受け続けます。
ボルトが腐食すると、以下のようなリスクが現実のものとなります。
– 締結力低下による濾過機本体の脱落や漏洩事故
– 腐食生成物(サビ)によるフィルター目詰まりや製品汚染
– メンテナンス作業性の低下(ボルト固着や折損)
– 最悪の場合、設備停止や生産損失
これらの問題は、製品クレームやライン停止、工場トラブルへと直結するため、長年工場の現場で働く管理職や技術者であれば一度は頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。
「見えない場所」ほど劣化は進行しやすい
現場でよくありがちなのは、「濾過機の躯体や主要設備はしっかりメンテナンスされているが、締結ボルトなどの“小物部品”には注意が向けられていない」というケースです。
実際、パッと見ただけでは錆や劣化が分かりにくいことも多く、定期的な点検や、腐食リスクを予防する表面処理の重要性を軽視しがちです。
昭和の時代には「壊れたら交換すればいい」という風潮が根強く残っていましたが、現代では「設備の長寿命化」や「ダウンタイムの最小化」が業界全体の命題となっています。
そのため、締結ボルトの腐食対策が、現代製造現場の課題そのものと言っても過言ではありません。
締結ボルト部材の「表面処理」にはどんな種類があるのか
従来型めっき(電気亜鉛、溶融亜鉛めっき)
「とりあえず亜鉛めっきしておけば錆びないだろう」
現場でよく耳にする言葉ですが、実際にはめっきの種類や、めっき厚、処理方法によって寿命や性能には大きな差があります。
カットコスト優先やリードタイム短縮を理由に「電気亜鉛めっき」を選定する例も多いですが、高湿度や薬品暴露といった濾過機固有の環境下では、驚くほど短期間で錆が広がるリスクがあります。
一方で「溶融亜鉛めっき(ドブめっき)」は、膜厚が厚く耐食性に優れるものの、ボルトねじ部が太ることで締結不良や組立作業性低下の問題も起きがちです。
クロメート処理・三価クロム処理
近年は「六価クロム」の環境規制強化を受け、三価クロムベースの表面処理や、海外のRoHS・REACH対応プロセスが主流になっています。
クロメート処理は、光沢性や耐食性が比較的高い一方、薬品や高温蒸気への耐性は用途によって異なるため、運用環境のヒアリングや、事前評価が重要です。
ジオメットやディクロメートなどの無電解処理
無電解亜鉛−アルミ被膜「ジオメット」「ディクロメート」なども近年の主流処理です。
これらはメッキ層に亀裂が生じにくく、薄膜でありながら高い耐食性が得られるため、組立作業性も維持しやすいのが特徴です。
しかし、コスト面や納期面で導入のハードルがあるため、調達購買部門としては「経済性と品質」の両立をどう実現するかが技術ポイントとなります。
ステンレスボルトの採用:本当に「万全」なのか?
「サビ対策なら迷わずSUS(ステンレス)」という声も根強いですが、実際には”もらいサビ”や「酸性雰囲気の応力腐食割れ」、材料価格の高騰など現場での課題が付きまといます。
また、ねじのかじりや締結力の不足、熱膨張によるズレなど素材特有のトレードオフも無視できません。
現場の失敗事例:「表面処理」の甘さが招いた事故
ケース1: 再塗装が「根本解決」にならなかった
ある食品工場では、濾過機のボルトに進行したサビを発見し、外観上の手直しとして「タッチアップ塗装」を実施。
しかし、半年も経たずに機械動作時の振動や湿気で塗膜が剥がれ、内部までサビが進行し最終的にはボルトが破断しました。
現場の学びとして「塗装だけでは防錆対策にはならない」「表面処理の選定こそ重要」という教訓が生まれました。
ケース2: 部品変更に伴うトラブル
調達コストを削減するため、既存設計のボルトから「電気亜鉛めっき+クロメート処理」品に切り替えたケース。
しかし、従来より湿度の高い場所で使われていたこともあり、数ヶ月で赤サビが発生、大規模な作業停止を招きました。
調達担当としても「コストだけで表面処理を決める危険性」を痛感する出来事でした。
現場目線で考える、「最適解」の見出し方
①設置環境のヒアリングを徹底する
失敗を繰り返さない最大のポイントは、「どんな雰囲気環境で」「どれだけの期間」「どんな負荷をかけて」ボルトを使用するのかを徹底的にヒアリングすることです。
腐食の主因となる因子(水分、温度、薬品、塩素、振動)が何かを突き止めることで、最適な表面処理・材料選定へと繋がります。
②表面処理メーカーやサプライヤーとの協働
現場だけで全てを判断するのではなく、表面処理メーカーやサプライヤーと情報交換し、最新の防錆ソリューションや、実際の使用環境での性能評価を依頼することもリスク低減に有効です。
「他社事例」や「新素材の活用事例」をメーカーから積極的に吸い上げ、現場に落とし込む姿勢が求められます。
③コスト・リードタイムとのバランス設計
良いものを使えばコストは上がりますし、独自仕様を依頼すればリードタイムも伸びます。
全体のコストバランスや、「メンテナンス交換にかかるダウンタイム」をトータルで比較し、場合によっては「ライフサイクルコスト(LCC)」での判断も必要となります。
現場の状況、品質目標、コスト要件を三つ巴で設計する視点が大切です。
昭和型から令和型へ:業界動向とデジタル技術の活用
腐食モニタリングやIOTの活用
最近ではIOTセンサーを活用した、ボルトや設備の腐食進行度の可視化技術が進化しています。
これにより、従来の「定期点検」だけでなく、「異常兆候の早期発見」や「リスクベースのメンテナンス計画」が実現しつつあります。
アナログからの脱却:データに基づく最適化
昭和からの慣習で「前例踏襲」になりがちな日本の現場ですが、これからは「データ」に基づく判断力が生産現場に強く求められます。
部材の選定、表面処理の性能評価、寿命予測管理、全てにおいて「根拠」と「現場知見」を融合した運用が、今後の競争力の鍵となります。
まとめ:バイヤー・サプライヤー双方の「共創」が未来を作る
濾過機用締結ボルトの表面処理・腐食対策は、単なるコストダウンや材料選定の話ではありません。
現場の安全、設備の信頼性、そして企業価値そのものに直結するテーマです。
調達担当(バイヤー)は、現場視点を持ちつつ全体コストの最適化を主導し、サプライヤーは技術力と改善提案力でバリューチェーンに貢献する。
両者の「共創」がなければ、真の意味での生産現場イノベーションは実現できません。
これまでのアナログ発想を打破し、現代的な情報共有やデータ活用を進めることで、日本の製造業はさらに発展していくでしょう。
本記事が、製造業に携わる全ての方の現場力向上の一助となれば幸いです。
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