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二つの立場を知っているのに活かせないもどかしさ

目次
はじめに:製造業に潜むもどかしさへの視点
製造業の現場に長年身を置いていると、調達購買とサプライヤー、それぞれの立場や思惑が手に取るように分かります。
バイヤー(調達購買担当者)は「良質なものを、いかに安く、安定して調達できるか」に心を砕きます。
一方でサプライヤー側は「自社の価値を理解してもらい、安定的に受注したい」と願っています。
この二つの立場に共感し、双方の視点を持てるからこそ、「もっとこうすれば」と思う場面もしばしばです。
しかし昭和の時代のやり方や、旧態依然の慣習が業界全体を縛っている現実もあります。
この『知っているのに活かせないもどかしさ』は、業界に変革の可能性があるからこそ強く感じるものです。
本記事では、調達購買とサプライヤー、双方の立場から見える悩みや現場目線での課題、そして時代の流れをふまえた今後の方向性について、実践的に深掘りします。
調達購買の現場:なぜ変革が進められないのか
根深い“前例踏襲”の壁
製造業の調達購買現場では「前例を大切にする」「新しいことはリスク」という空気が根付いています。
上司や先輩のやり方に従うことで失敗を避けようとする心理が働きます。
これにより、新しいサプライヤーへの切り替えや、デジタル技術の導入、コスト構造の見直しを提案しても、「今まで通りでいいじゃないか」と却下される例が跡を絶ちません。
業界特有の“年功序列”や“和を重んじる”文化も、現代的な効率化や自動化への切り替えを難しくしています。
現場担当者の苦悩
実際に購買現場で働く人は、日々「良い製品を、納期どおり、安定した価格で調達する」というプレッシャーにさらされています。
納期遅れやコストアップのリスクを避けるため、つい「昔から付き合いのある会社に頼る」「多少高くても確実に納まるところを選ぶ」という判断が蔓延します。
本当は競争入札やサプライヤーの幅出しをしたいのに、社内で協力を得られず四苦八苦している人も多いはずです。
昭和から抜け出すには何が必要か
昭和から続くやり方では、グローバル競争や技術革新のスピードについていけません。
上層部の理解を得て業務プロセスを見直し、標準化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、サプライヤーの適正評価制度の導入など、見直すべき点は山積です。
ところが組織としての腰が重い現実が、変革を難しくしています。
サプライヤーの現場:バイヤーが何を考えているか知りたい本音
サプライヤーの持つ“恐れ”と“希望”
サプライヤーは、取引先のバイヤーがどんな基準で会社を選び、どんな悩みや課題を抱えているのかを本当に知りたいと願っています。
しかし現実には「なぜ契約が切られたのか」「入札で何が評価されたのか」といった詳細は、なかなか教えてもらえません。
表層的なフィードバックしか知らされず、本当の意味で自社を改善するチャンスを与えられません。
好みや相性、社内政治的な力学で決まってしまうことも多く、サプライヤー側から見ると“納得感がないまま従うしかない”ことも多々あります。
選ばれるサプライヤーになるには
サプライヤーとして「価格競争力」「納期遵守」だけでは差別化できません。
バイヤーに信頼され、「困ったとき頼りにされる」存在になるためには、相手の課題を先取りして提案するコンサル型営業力が求められます。
具体的には、納品までのプロセス管理を徹底したり、品質トラブル時にスピード感ある対応を行うこと、さらには「手間なくやり取りできる」「新しい加工技術や材料について一緒に勉強する」といった姿勢が求められます。
バイヤーの本音を知るには
最も大切なのは“現場での直接対話”です。
決算期やプロジェクトの繁忙タイミングなどバイヤー側の都合を読み取り、「今どんな課題がありますか?」と具体的に尋ねることが本音を引き出す鍵になります。
定期的な工場見学や情報交換会も有効です。
バイヤーとサプライヤー、両方の目線を持つ強み
双方の立場が分かるからこそできる改善提案
実際に両方の現場を経験して分かるのは、お互い見えている“現実”が微妙に食い違っているという事実です。
「うちがもう少しこうすれば取引先の負担が減る」
「バイヤーが事前にこう説明してくれれば、こっちもちゃんと備えたのに」
といった経験は、製造業の誰しも記憶にあるはずです。
自分ひとりが双方の事情を理解していても、それを業務や交渉の場で活かすことができない――この“もどかしさ”は、まさに現場のジレンマです。
現場目線でできる「小さな改善」から始める
業界全体の大改革はハードルが高くても、現場担当者レベルで実践できる小さな改善はあります。
たとえば、
– 発注書や仕様書の曖昧さを事前に解消する
– サプライヤー側の問い合わせや相談窓口を明確化する
– バイヤーの評価ポイントを開示し、フィードバックを強化する
こうした“小さな対話”から信頼関係が生まれ、徐々に協力体制が強まります。
「知っているのに活かせない」状態から、「知っているから先回りして動く」現場へと変わる第一歩です。
カイゼン文化の継承と進化
多くの日本の製造業が強みとしてきた“カイゼン活動”は、現場目線での問題解決力に根ざしています。
調達購買やサプライチェーン領域でも同じ精神で、「小さな改善」の積み重ねが大きな変革につながります。
時にトップダウンで推進するデジタル化や標準化よりも、ボトムアップで現場から始めたカイゼン活動が、現実的な解決策となることも多いのです。
令和の業界動向と展望:昭和型サプライチェーンの限界
脱・昭和アナログとデジタル活用
一昔前までは、電話・FAXでのやり取りや、紙の見積書・請求書が当たり前でした。
その名残は今も多くの現場で根付いています。
しかしサプライチェーン全体の可視化、トレーサビリティ、業務効率化において、デジタル技術は不可欠です。
例えばEDI(電子データ交換)やクラウド型のSaaS購買システム、AIを活用した需要予測など、令和時代の製造業ではますますデジタル化が主流になります。
共創型サプライチェーンへのシフト
今後はバイヤーとサプライヤーが「ギブ&テイク」の関係から「共創型パートナー」へシフトする時代です。
一方的にコストダウンを求めたり、履行責任だけを押し付けるのではなく、「ともに成長する」スタンスが新たな標準となります。
例えば、工程改善や新材料開発を共同で行う、共通プラットフォームで課題を共有する、といった取り組みが増えています。
人間関係とロジックのバランス
「顔が見える関係」「お互い様の精神」が今も重要である一方、決して“なあなあ”ではいけません。
信頼関係に甘えることなく、データに基づく合理的判断を重視するバイヤーが増えています。
このバランスを意識した対応力が、今後のバイヤー・サプライヤー双方に求められるでしょう。
まとめ:「二つの立場を知る」ことの意義と行動
調達購買・生産管理・品質管理の現場を経験し、サプライヤー側の立場も知っているからこそ、
「本当はこうしたらお互いがもっと良くなる」
「知っているのに動けない……」
というもどかしさは強く残ります。
ですが、まずは現場で“小さな改善”を重ねることが、確実な第一歩になります。
両方の立場を経験したあなたにしかできない“翻訳者”としての役割を、自信を持って発揮してください。
新たな地平を切り開くのは、現場発の実践だけです。
“知っているのに活かせない”というジレンマから、“知っているから先回りして行動できる”へ。
業界の未来を形作る担い手として、一緒に挑戦を続けていきましょう。
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