投稿日:2026年1月14日

設計職志望が知るべき製造業の会社に就職する学生たちに事前に知っておいてほしい業界の本音

はじめに:設計職志望者が製造業で働くということ

製造業の設計職を志望する学生が年々増加しています。

日本のものづくりは依然として世界のトップクラスの技術力を誇り、設計職はその中核を担う重要な役割を果たしています。

しかし、実際に現場で20年以上ものキャリアを持つ私の視点から言えば、製造業の設計職が現場でどのような課題や現実に直面するか、学生時代にその全貌を知る機会は決して多くありません。

この記事では、就職前に必ず押さえておくべき製造業の設計職の本音と、業界ならではの風土、日本特有のアナログさ、そして今後求められるスキルセットについて、現場目線かつ未来志向で深く掘り下げていきます。

根強い“昭和型”アナログ体質とその影響

現役設計者も感じる「最先端」と「前時代」が混在する現場

製造技術は日進月歩で進化しています。

しかし、一歩現場に足を踏み入れると、意外なまでにアナログな風景に出会うことも少なくありません。

デジタル設計ツールが普及している今も、紙の図面を持って現場で打ち合わせが行われたり、FAXで図面をやりとりする、といった風景が当たり前に残っています。

設備投資やIT化が遅れている中小企業も多く、“匠の勘”や“長年のやり方”が幅を利かせていることも事実です。

設計者として新しい技術や方法を導入しようとしても、「それはウチのやり方じゃない」「今までの方がうまくいってる」と年配の現場スタッフから一蹴されるのは今でも日常茶飯事です。

なぜアナログが根強く生き残るのか?

このようなアナログな工程が抜けきれない背景には、日本のものづくりが「品質最優先」「ミスの許されない現場」「長年の職人技術への信頼」に立脚しているという実情があります。

一度のミスが多額の損失や事故につながるため、“現場で直接目で見て確認”というプロセスが今でも非常に重視されています。

また、お客様(外部・内部問わず)が変更や特注対応を強く求めることも多く、柔軟に対応できるアナログ性が重んじられる傾向も続いています。

設計職の実務と求められる視座

設計は「図面を描く仕事」だけではない

設計というと「CADで図面を描く」「3Dモデリングを行う」といった作業をイメージしやすいですが、実際には製品のコンセプト立案~コスト試算、材料・部品の選定、試作、評価、量産立ち上げ、さらには顧客やサプライヤーとの調整まで、広範囲な業務が含まれています。

時には営業部門と同行し、実際のお客様先でヒアリングを行い、設計へのフィードバックに繋げることも。

さらに、生産現場の生産工程や品質の仕組みを理解していなければ、設計した通りに「作れない」「コストが合わない」といった壁にも直面します。

つまり、設計職は単なる“図面屋”ではなく、“ものづくり全体のプロデューサー”であることが求められる時代なのです。

社内外の調整能力こそ命綱

ヒト・モノ・カネ・情報が複雑に絡み合う製造業。

設計職も例外ではなく、営業部門・生産技術・購買部門・品質管理・さらに協力会社(サプライヤー)など、多数の立場の異なるメンバーと合意形成しながら設計を進めます。

たとえば、コストダウンを狙う購買部門の意見、量産性を担保したい生産技術、品質要求を貫きたい品質管理部門、納期短縮を急ぐ営業、それぞれの利害や考えがぶつかります。

設計者は時に“板挟み”になり、調整役として立ち回る場面が日常茶飯事です。

この現場折衝や調整力、粘り強く合意形成を進めるコミュニケーション能力こそ、実は設計職に必須なのです。

調達購買と設計──“表裏一体”の関係

バイヤーが設計に期待すること

製造コストの8割は設計段階で決まると言われています。

調達購買部門、いわゆるバイヤーは、設計部門としっかりタッグを組むことで価格競争力のある製品が生み出せると考えています。

サプライヤー選定はもちろん、部材の共通化やVE(Value Engineering:価値工学)提案、グローバル調達先開拓など、バイヤーは設計段階からコスト・納期・品質の視点で積極的に意見交換したいと望んでいます。

このため、設計職希望の方には「もっと購買を巻き込む」「調達目線でものづくりを見る」姿勢が今後ますます重要となります。

逆に設計職からみるバイヤーへの期待

設計者目線では、「価格だけでなく、納期や品質リスクも含めて最適なサプライヤー選びをして欲しい」「技術動向や新素材の情報を積極的に提供して欲しい」といった声が根強くあります。

サプライヤーとの間に信頼関係を築き、無理なコストダウンや品質面での妥協を避けつつ、現場からの技術的な相談や課題も拾い上げる“バイヤーの質”が設計職の成果も左右します。

こうした双方のリアルな目線を持つことも、設計職志望者には欠かせない素養です。

現場を知る設計者が未来を切り拓く

現場体験は、設計の“血肉”になる

設計部門で机上の作業だけに留まっていると、どうしても「現場がどう動いているか」が見えなくなります。

だからこそ、製造ラインで現物確認、現場スタッフとの雑談、サプライヤー現地訪問など、“自ら現場に飛び込む姿勢”が設計の質を高めます。

加えて、単なるスペック設計でなく、「どうすれば作りやすく・不良が起きにくく・納期やコストにも対応しやすい設計にできるか」を常に考えることが、あなたを一流の設計職に成長させます。

現場起点のイノベーション思考

既存のやり方を守るだけでなく、ラテラルシンキング(横断的思考)で「なぜ今までこうしてきたのか?」「他業界の技術を応用できないか?」「もっと合理的で抜本的な設計にできないか?」と考える姿勢が、今後ますます必要です。

たとえば、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の中で、従来の紙図面文化を一掃する、IoTやAIを設計段階から取り込む、海外のベストプラクティスに学ぶ、といった“現場ドリブンの新しいアプローチ”もどんどん生まれています。

製造業設計職志望者に贈る最後のアドバイス

“分断”を越え、ものづくり全体を設計せよ

設計、現場、生産、バイヤー、営業――仕事が細かく分担されている現代の製造業ですが、分断のままだと本当の価値創造はできません。

類型的な仕事を超え、「ものづくり全体を俯瞰し、現場起点で最適解を探す」姿勢を持てば、あなたの設計は確実に現場で生きるものとなります。

また、失敗やトラブルも貴重な学びです。

現場の声と向き合い、粘り強く合意形成を進めていく素直さと柔軟性もあなたの強みとなるはずです。

アナログ文化を理解し、変化を恐れない

日本の製造業には“昭和型”アナログ文化が色濃く残っています。

その歴史をリスペクトしつつも、次の時代を切り開く設計思考を自ら羽ばたかせてください。

デジタル、グローバル、サステナブル――新しいキーワードの中で、あなたならではの価値を生み出してください。

まとめ:設計職志望者にエールを込めて

設計職は図面を描くだけの仕事ではなく、現場やバイヤー、サプライヤー、営業と密接に連携しながら、“ものづくり全体をデザインしていく”ダイナミックな仕事です。

アナログとデジタル、伝統と変革――その狭間に立つ今こそ、新しい価値を生み出すチャンスです。

自分自身の足で現場に立ち、調達や生産、品質管理としっかり議論し合いながら、本物の“現場発・設計者”を目指してください。

製造業の一員として、そして日本の未来を支える若き設計者として、あなたの挑戦を心から応援しています。

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