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OEMトレーナーのフードなしデザインで差別化するパターン設計術

目次
はじめに:OEMトレーナーで「ありきたり」から抜け出すには?
OEMトレーナーは、アパレルOEM市場において定番アイテムの一つです。
しかし、多くの企業が取り扱うこのジャンルでは、競合他社との差別化が難しく、価格競争に陥りがちです。
その中で、近年注目されているのがフードなしデザインのトレーナーです。
これまでの「パーカー=トレーナー」から脱却し、あえてフードを排除することで、ミニマルかつ新しい価値観を示すことが可能です。
本記事では、現場に根ざしたOEM調達・生産管理の視点から、フードなしトレーナーで差別化するパターン設計術の実践的ノウハウをお伝えします。
フードなしトレーナーの市場動向と差別化の可能性
派手なトレンドから、シンプル志向への移行
近年のアパレル業界では、トレンドの移り変わりが激しさを増しています。
一方、社会全体のDXやカジュアル志向の高まりにより、シンプルなデザインや普遍的なアイテムも人気です。
派手な装飾や過度なロゴに頼らず、本質的な着心地やシルエット、素材で勝負する動きが強まっています。
フード付きトレーナーはファッション性が高く、若年層を中心に支持されてきましたが、オフィスカジュアルの浸透やミニマリズムの影響で、フードなしスウェットのニーズが拡大しています。
OEM製造における「差別化」はなぜ必要か?
OEM(Original Equipment Manufacturer)事業は本質的に、他社ブランド製品の生産を請け負うビジネスモデルです。
そのため、同一スペックの製品であれば物量勝負と価格競争になりがちです。
しかし、近年はバイヤーが「自社でしかリリースできない独自性」「売り場で一歩抜きん出るデザイン・仕様」を求めています。
OEMの立場でも、指示待ちモードではなく、「このパターン(型紙)は他社にはない」とアピールできる競争力が不可欠です。
現場目線で考えるフードなしトレーナー設計のポイント
1. シルエット設計でユーザー体験を高める
シンプルなトレーナーほど、基本設計の「わずかな差」が最終的な商品価値を大きく左右します。
袖幅・肩幅・身幅・丈感…。
現場でよくあるのは、「とりあえずベーシックな型紙」でサンプルを作り、後から微調整という進め方ですが、実はこれが最大の落とし穴です。
20-30代向けであれば、トレンドのオーバーサイズ寄りシルエット。
40代以上やユニセックスであれば、程よいゆとり+体型カバーができる絶妙なフィット感。
このターゲット設定から逆算し、パターン設計することが他社との差別化に直結します。
2. 素材選びで「見た目」と「機能」を両立させる
OEM現場では、価格重視で最も安価な裏毛生地を指定されるケースが多いです。
しかしフードなしトレーナーの場合、生地表面の毛羽立ちや光沢感、裏面の肌触り、厚み感が「着た時の雰囲気」に直結します。
たとえば、
・度詰めでガッシリした裏毛で、型崩れしない重厚感を
・裏起毛タイプで、秋冬の季節感と着心地UP
・混紡糸や機能糸で、吸汗速乾や防臭性をプラス
といった「素地選びからの企画提案」こそがOEMパートナーとしての信頼感につながります。
3. リブ幅・付属パーツでディティールに差をつける
フードなしトレーナーは、一見すると「パターンもデザインも差がつきにくい」と思われがちです。
しかし、着心地や見た目に大きな変化をもたらすのが、袖口リブ・裾リブ・首リブの幅や付属仕様です。
最近では、
・やや太めのリブにしてレトロ感を出す
・フラットシーマなどの目立たない縫製で高級感を演出
・ステッチ色を切り替えてアクセントを加える
など、同じ「無地トレーナー」でも小さなアイデア一つで印象が大きく変わります。
アナログ業界でも“しぶとく”生き残る提案力とは
「売り場の現実」から逆算したモノづくり
昭和世代が多い現場では「前年踏襲」「とりあえずベース型」から抜け出せていない工場やサプライヤーも未だ多数存在します。
しかし、店頭で売れ残るリスクやプロパー価格死守の必要性から、バイヤーたちは「説明できる差別化要素」を求めています。
現場管理職として重要なのは、
・なぜこのシルエット、この仕様、この付属なのか?
・売り場で見比べられた時、どう“語れる”のか?
という視点でモノづくりストーリーを組み立てることです。
小さな差分の積み重ねが「ブランド」になる
OEMという立場でも、バイヤーや販売現場担当者と「このトレーナーなら売れるストーリー」を繰り返し打合せし、微細なパターンや付属パーツの決定理由までドキュメンテーションする強さが問われます。
・首元の伸びづらい仕様
・縫製工場との段取り力
・在庫管理・納期提案
これら地道な“手間”の積み重ねこそ、最終的に「この工場なら安心」というリピート注文件数増加へ直結します。
OEMパートナーが今すぐ実践できるパターン設計術
1. ヒアリング力を鍛え、市場の声を型紙に反映
どの売り場・どのエンドユーザーに刺さるデザインなのか。
徹底的なヒアリングと競合分析を行い、その情報を社内で「パターン寸法」や「付属仕様」として具体化します。
たとえば、
・アームホール+2cmのゆとり
・ネックリブ幅+5mmで存在感UP
・肩傾斜角度を3度変更して立体感を出す
このような数値化された改善案を持ち込むことで、バイヤーとの信頼関係が一気に深まります。
2. サンプル作成→PDCAを素早く回す
サンプル提出の段階で「何パターンか用意しバイヤーに直接フィッティング評価してもらう」ことを徹底しましょう。
そして、「この変更点がなぜ必要か?」「どの身体特性のためか?」を可視化し、現場で小回り良く対応できる体制を整えます。
昭和的な“勘どころ”だけでなく、最新のデジタルパターン設計システム(CAD)も活用し、精度を上げていくことが大切です。
3. 生産現場とデザイン部門の連携を密にする
現場で本当に形になるパターンか/コストや納期面で実現可能か。
これをサプライヤー側で詰めきれてこそ、OEMビジネスの強さが発揮されます。
・縫製難易度が高すぎないか
・仕様書の書き方に現場目線があるか
・管理工程でミスが出にくい工夫が盛り込まれているか
アナログ的な“段取り八分”と、現代的な“データ化・標準化”のいいとこどりで、抜本的な差別化を目指しましょう。
まとめ:OEMサプライヤーが市場で勝つために今できること
OEMトレーナーは、「安定した定番商品」ではあるものの、仕様やデザインに明確な差別化の余地があります。
特にフードなしのシンプルデザインであれば、逆に「着心地」「シルエット」「微細なパターン設計」が最重要ポイントとなります。
・ユーザー視点で売れるストーリーを描く
・ヒアリングとサンプル検証をコミュニケーションの要に
・現場や他部署と連携し、段取りと品質を守る
こうした不断の工夫と積み重ねが、「またお願いしたい」という指名買いにつながります。
製造業の古い慣習から一歩抜け出し、現場目線の実践的な設計力で新しいOEMビジネスの道を切り開いていきましょう。
フードなしOEMトレーナーという“小さな挑戦”から、製造業の未来を切り拓く一助となれば幸いです。