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投稿日:2025年12月5日

完成度の高い改善がなぜ継続しないのかという永遠の課題

はじめに:終わりなき課題「改善の継続」

現場の改善活動、いわゆるカイゼンが、なぜか継続しない──これは多くの製造業において、昭和から令和に至るまで変わらぬ宿命的な問題です。

QCサークルや5S、小集団活動など様々な取り組みが過去幾度となく盛り上がりました。

一時的には劇的な効果を出す現場もあれば、仕組み化や制度化が進む企業も存在します。

しかし、半年、1年、あるいは3年と時が経つと、なぜか最初の熱量が失われ、形骸化が進み、いつしか「元通り」になってしまうのです。

なぜ、高い完成度で進められたはずの改善活動が継続しないのか。

本記事では、製造現場20年の経験を持つ私が、その理由と、現代アナログ業界が抱える根深い事情、そして持続的成長を実現するために不可欠な視点を、ラテラルシンキングで多角的に掘り下げます。

目次

1. 改善活動の落とし穴:完成度だけでは続かない理由
2. 昭和的体質が生む“やらされ改善”の負のスパイラル
3. デジタル化・自動化時代でも変わらぬ根本問題
4. バイヤー・サプライヤー関係と改善継続の意外な接点
5. 持続可能な改善文化構築の要素
6. 管理職がやるべき“本当のファシリテーション”
7. 現場目線で考える「やってよかった」を生む仕掛け
8. まとめとこれからの製造業バイヤー/サプライヤーへの提言

1. 改善活動の落とし穴:完成度だけでは続かない理由

多くの現場では、「完成度が高ければ業務改善は持続する」という誤った思想が根深く残っています。

例えば、新しい工程の自動化や、無駄取りレイアウトの抜本的刷新、目を見張る成果を生んだ改善プロジェクトが成功例として喧伝されます。

ですが、現場のリアルは「完成度」だけでは前に進みません。

業務の定着には、当事者の納得感や、改善後の運用ルール遵守、トラブル時の意見吸い上げなど、場作りが不可欠です。

加えて、改善を推進したリーダー自身が異動・退職する、気付けば新メンバーにノウハウが伝わっていない、新設備導入で運用が変わった──といった変化への適応力も求められます。

つまり、「完成=ゴール」ではなく、「スタートラインの引き直しこそ重要」なのです。

2. 昭和的体質が生む“やらされ改善”の負のスパイラル

残念ながら、日本の多くの製造業、とくに中堅・中小では「今年はQCサークルをがんばろう」や「5Sキャンペーンを社命でやる」など、トップダウン型・命令型の運用が根強く残っています。

これは一時的なムードや、賞与評価の材料としての改善活動に留まりやすく、現場では「やらされている感」が蔓延します。

結果、「どうせ今回も一時のブームで終わる」「また紙面のコンテスト用に資料を仕上げるだけか」といった、疲弊と冷ややかさが広がっていきます。

こうした“やらされ改善”が続くと、「改善は自分ごとではない」「管理職から言われたことしかやらない」のマインドセットが根付いてしまうのです。

これこそが、「なぜ継続しないのか」の本質的な要因のひとつです。

3. デジタル化・自動化時代でも変わらぬ根本問題

昨今はデジタルトランスフォーメーション(DX)や、設備IoT化、AIによる工程最適化など、これまでのアナログ一辺倒からの大転換が急速に進んでいます。

「これで業務改善や現場改革のスピードが劇的に上がり、継続的改善も楽になるのでは?」との期待も高まります。

しかし、デジタルツールや新システムを導入しただけでは、やはり“使われなくなる”“データだけ溜まって現場のアクションに結びつかない”といった問題が多発します。

これは最先端企業であっても、変わりません。

なぜでしょうか。

答えは「人が動かなければ改善は動かない」「現場のリアリティと結びつかなければ続かない」からです。

道具やITはあくまでサポートであり、現場で“意味を感じ”“体験として納得”できなければ、どんな時代でも形骸化を免れません。

4. バイヤー・サプライヤー関係と改善継続の意外な接点

意外かもしれませんが、調達バイヤーやサプライヤーの立場から見ても、「継続性のある改善」、すなわち“再現性ある変革力”は非常に重要です。

なぜなら、供給網の安定力や、品質・コストの持続的コントロールこそ、プロのバイヤーが最も重視する要素だからです。

一時的な原価低減や納期短縮の実績ではなく、「なぜできたのか」「同様の取り組みをどう日常化/仕組み化できているのか」が購買先選定や長期パートナー契約の判断基準となります。

供給側から見れば「改善の継続」は、“信頼の証”“差別化の武器”でもあります。

つまり「また元に戻る」体質に甘んじていると、取引機会も事業の将来も逃すことになるのです。

5. 持続可能な改善文化構築の要素

では、どうしたら継続できるのか。

形だけ、指示だけ、仕組みだけ、あるいは人のやる気だけでは、いずれも限界があります。

そこで持続的な改善文化を築くための、現場発のカギを紹介します。

①現場を主語にした“納得感”の創出

事務局や管理職主体の“与えられた課題”ではなく、現場自身が「なんとかしたい」「良くしたら楽になる」と思えるテーマ設定が不可欠です。

納得感ある課題だからこそ、小さな一歩も継続のエネルギーとなります。

②成果の見える化➔“共感のストーリー化”

改善のプロセスや苦労、周囲の協力など、ドキュメントや朝礼だけでなく、写真や動画、現場体験のストーリーとして社内外に発信していくことで、「自分もやってみたい」と共感を呼び起こします。

この横のつながりが、次世代リーダーの育成や多拠点展開の礎となります。

③日常業務への組み込み(ルーチン化)

月1回の発表や、表彰式だけでなく、日常の朝礼、日報、進捗確認ツールなどに小さな改善活動を折り込むことで、無理なく継続できます。

「飲み会ノミニケーション」よりも、仕事の一部で認め合う仕組みが効果的です。

6. 管理職がやるべき“本当のファシリテーション”

管理職・工場長・課長といったリーダー層が、本当にやるべきことは“内容の丸投げ”や“結果の催促”ではありません。

現場メンバーの悩み、不安、上司への遠慮、本音と建前——こうした「人間力の課題」に、現場体感を持って寄り添い、言語化をサポートする“ファシリテーション力”が求められています。

ただ会議を進行するのではなく、対話の中で「なぜやるのか」「なぜうまくいかないのか」を一緒に考え続ける——これこそが、改善文化を根付かせるリーダーの姿勢です。

7. 現場目線で考える「やってよかった」を生む仕掛け

改善活動が継続する現場には、共通して2つの仕掛けがあります。

1つは、「やってよかった」と実感できる“現場インセンティブ”。

例えば、「残業が劇的に減り、家族との夕食が増えた」「危険作業がなくなり、新人が入社しやすくなった」といったリアルな実利です。

もう1つは、マネジメント層が「成果を素直に認め、称賛する」こと。

どんな小さなことでも、社長や工場長が現場に降りてきて「本当にありがとう」と声をかける。

こうした対話の積み重ねが、リーダー不在でも自走する風土を育んでいきます。

8. まとめとこれからの製造業バイヤー/サプライヤーへの提言

完成度の高い改善がなぜ継続しないのか——それは「完成」だけをゴール扱いし、現場の当事者意識や納得感、日常のルーチン化、そして職層の本質的な対話が不足しているからです。

これからの製造業は、昭和型の“やらされ型改善”を捨て、「現場目線の自律的改善」「バイヤー・サプライヤー間の信頼構築」を徹底する時代に入っています。

プロのバイヤーを目指す方は、取引先の「改善文化の成熟度」を確かな目で見極めてください。

サプライヤーの皆さんは、自社の改善を「見せる化」し、“選ばれる工場”を目指してください。

変化の激しい時代こそ、現場発の地道な改善が企業の底力となります。

継続なき改善は、やがて過去の思い出となります。

今こそ、真の持続的成長に向けて、一歩を踏み出しましょう。

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