- お役立ち記事
- コモディティ品の値上げ交渉が通らない企業が見落とす点
コモディティ品の値上げ交渉が通らない企業が見落とす点

目次
はじめに:コモディティ品の価格交渉の厳しさ
コモディティ品――すなわち、同種他社商品と容易に代替可能な部品や原材料――の価格交渉は、製造業の調達・購買担当者、さらにはサプライヤーにとって永遠の課題です。
近年は原材料費、物流費、人件費等のコストが上昇し続けています。
しかしバイヤー側は「コモディティは安さこそ正義」という固定観念が根強く、値上げ交渉が容易に通らなくなっています。
本記事では、昭和から続く“安さ至上主義”の慣習から抜け出せずにいる企業が、値上げ交渉の際に見落としがちな本質的なポイントを、現場目線で探ります。
バイヤーを目指す方、またサプライヤーとしてバイヤーの思考や動向を知りたい方に実践的なヒントをお届けします。
なぜコモディティ品の値上げ交渉は難しいのか
1. 価格決定権が需給バランスに依存
コモディティ品は“どこで買っても同じ”、すなわち差別化が困難な商材です。
そのため、供給過多になると値下げ圧力が強まり、逆に需要過多の局面では値上げが通りやすくなります。
多くのサプライヤーが存在する場合、バイヤーは「他の業者から買う」と言えば簡単に取引を切り替えられるため、値上げ交渉は簡単には通りません。
2. 昭和型購買スタンスが根強い
多くの製造業では、過去何十年も「仕入れは少しでも安く」を是としてきました。
購買部門は、コストダウンによる直接的な利益貢献で評価される傾向があります。
そのため、値上げがやむを得ない理由であっても、バイヤーが「上には通せない」と固辞する光景がよく見られます。
これがコモディティ品の値上げ交渉を一層困難にしています。
値上げが通らない企業が見落としている3つの本質
値上げに失敗しがちな企業には、共通して見落としがちなポイントがあります。
現場目線でその本質を解き明かします。
1. 商品を「モノ」ではなく「サービスパッケージ」と捉えられていない
コモディティは“誰でも作れるもの”と捉えられがちですが、実態はどうでしょうか。
他社と同じ価格・品質・納期が維持できていたとしても、「納品のしやすさ」「急な変更依頼への対応力」「突発時のリカバリー力」といった付加価値サービスは意外と見過ごされています。
昭和型バイヤーは“五十歩百歩”だと切り捨てますが、実際の現場で混乱やトラブルを減らしてくれる“目に見えない価値”があるはずです。
実際、現場リーダーや工程管理者にヒアリングすると、「あの業者は無茶ぶりにも応じてくれるからありがたい」といった声が多く聞かれます。
値上げ交渉時には、この“周辺サービス力”にもしっかり光を当て、エビデンスとセットで訴求することが必要です。
たとえば、「緊急納品への対応は、過去1年間で平均○時間短縮しました」といった、定量的な情報が効果的です。
2. コスト増の説明が「材料高騰」だけで終わっていないか
典型的な値上げ要請書には「原材料価格の高騰」が一行で書かれている場合が多いです。
しかし、バイヤーの多くは「他社はそこまで値上げしてないよね?」と半信半疑になります。
伝えるべきは「なぜウチの製品(サービス)が他社より安値据え置き困難なのか」という一点に尽きます。
例えば、付加加工の工程、特殊な梱包、ロット変動対応、JIT納品…など“他社よりもコストがかかる独自理由”と、“それによる現場の安定稼働への貢献”をセットで示しましょう。
紙一枚で通用しなくなった今、資料には現場写真や実際に発生した改善事例・変更対応履歴などの“動的な証拠”を盛り込むとより強い説得力になります。
3. バイヤーのKPIや評価制度を無視している
バイヤー個人にとって重要なのは「仕入れコストをいかに抑えるか」です。
この点を理解しないまま交渉に臨むと、買い手側は「自分の立場が悪くなる」と受け取り、話が一向に進みません。
値上げ要請は「バイヤー個人のKPI(コスト削減など)」に基づく反論を受けることを前提に準備しましょう。
「どうすればバイヤーが社内で説明しやすい理由になるか」「合意した値上げ分を他品種で吸収できる実例や見積もり分解の余地はないか」といった視点で、一緒に“落としどころ”を模索する姿勢が必要となります。
ラテラルシンキングで突破する「値上げ交渉成功術」
ここからは、既存の考え方から一歩踏み出し、現場目線を持ったラテラルシンキングで新たな値上げ交渉ストラテジーをご紹介します。
1. コストの見える化と第三者評価で信頼度アップ
製造現場の工程別工数、外注コスト、物流経路、在庫圧縮努力など、サプライヤーが水面下で取り組んできた“見えないコスト削減活動”を分かりやすく「見える化」しましょう。
その際、できるだけ第三者機関のデータや同業界のベンチマーク指標も活用すると客観性が増します。
「グラフで視覚化」「時系列推移」「新技術への社内投資」など、誠実さ・将来性・供給安定性を総合的にアピールすることが重要です。
2. 提案型値上げ:「単なる負担増」ではなく「共存共栄」の視点
値上げはバイヤーにとって“負担”ですが、逆転の発想で「共存共栄」「安定供給のための未来投資」と位置付けましょう。
たとえば「〇〇のコストは一時的に増えるが、生産プロセス改善・DX導入・予備在庫拡充など御社現場負荷の削減に直結する」ことを現場データで裏付けつつ説明します。
一歩進んで、「値上げ原資の一部を新たなサプライチェーン強化や従業員教育投資に充てる」といった“プラスの循環”を提案すると、交渉のステージが変わります。
3. バイヤーと“現場対話”の場を持つ
値上げ交渉はバイヤーの机上のみで進行しがちです。
しかし、現場にこそ“真の付加価値”が隠れています。
バイヤーと一緒に実際に現場を歩き、日々の改善やトラブル対応事例を共有しましょう。
また、現場へのヒアリングを交えながら「なぜウチのサプライヤーが必要なのか」「どんな場面で助かっているのか」を具体的に見せることで、値上げの必然性が伝わりやすくなります。
この現場対話を通じて、机上の条件交渉から「共に価値をつくるパートナー」へと関係性を昇華させることができます。
昭和的価値観からの脱却:業界全体のゲームチェンジを狙う
ここまで、個社の具体的な交渉テクニックを述べてきましたが、真に製造業が発展するためには業界全体の脱“モノ安”思考=“サービス化&関係性強化”という枠組み変革が不可欠です。
欧米ではサプライヤーが「開発・品質・生産技術面でもパートナー」として対等に扱われる例が多く、単なる価格勝負だけに終始しない関係が構築されています。
今やAI、IoT、自動化技術の発展で「複雑な工程への対応力」「突発リカバリー体制」「ローコストオペレーション」の高度化が進んでいます。
これらを“現物+サービス+データ”のパッケージ価値として、バイヤーと共に「新しい取引の枠組み」を創造する動きが求められます。
終わりに:現場目線とラテラル思考で未来を拓く
コモディティ品の値上げ交渉が通らないという現状は、単なる供給過多や古い価値観のせいだけではありません。
本質は、現場に眠るリアルな価値や共創の余地を、サプライヤーとバイヤーが“本気で見つけ出し、ストーリー化できるか”にかかっています。
昭和の慣習を打ち崩し、隣接分野や新技術の動向に目を向けてラテラルシンキングを巡らせば、値上げ交渉にも新たな“突破口”が見えてくるでしょう。
製造業に関わる読者の皆さまが、本記事を通じて一歩先の実践と業界の価値再創造を目指すきっかけを得ていただければ幸いです。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。