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投稿日:2026年1月19日

JIS G 3141のSPCCとは|板金加工で失敗しない材料知識

JIS G 3141のSPCCとは何か

JIS G 3141は、日本工業規格(JIS)によって定められた冷間圧延鋼板および鋼帯に関する規格です。
その中でも「SPCC」という呼び名は、Sheet, Plate, Cold Commercial(冷間圧延鋼板、商用級)を意味する略称です。

業界内では、SPCCは板金加工の現場で非常によく使われる材料です。
特に自動車部品、家電筐体、OA機器のシャーシ、建材、さらには日用雑貨など幅広い分野で活躍しています。
この材料はコストパフォーマンスに優れ、加工性も高いため、多くの工場現場や購買部門が注目する存在です。

この記事では、昭和時代からのアナログ体質が根強く残る製造現場でも今なお主力となっているSPCCについて、現場ならではの視点で詳しく解説します。
また、失敗しないためのサプライヤー選定や現場で起こりやすい問題、それに対する具体策も紹介します。

SPCCの基本性能と分類

SPCCの主な特徴

SPCCは、軟鋼(いわゆる炭素含有量が0.1%未満の鋼)を冷間圧延して造られた鋼板です。
圧延とは、鋼をローラーで押しつぶしながら薄く延ばす加工法で、冷間圧延は常温で行うため表面が美麗かつ寸法精度が高く仕上がります。

この工法によって、「成形性が高い」「溶接性が良好」「表面処理がしやすい」などの特性が得られます。
また、比較的ロットが大きくても安定供給されており、材料調達のリスクも低めです。

SPCCとSPHCの違い

板金加工を新たに学ぶ方がまず混乱しがちなのが、「SPCCとSPHCの違い」です。
SPCCは冷間圧延鋼板ですが、SPHCは熱間圧延鋼板です。

冷間圧延は寸法精度や表面仕上げに優れていますが、成形途中で割れやすかったり、ひずみが生じやすい一面もあります。
一方でSPHCは荒い表面ですが、成形が容易という特徴があります。

使用用途や仕上げ精度の要求に応じて、SPCCとSPHCを適切に使い分けることが強い工場作りの第一歩となります。

SPCCの種類と公差

JIS G 3141では、SPCCにも下記のような等級が設けられています。

– SPCC:一般用
– SPCC-SD:表面処理用
– SPCE:深絞り用
– SPCF:特深絞り用

バイヤーやエンジニアは「何に使うのか」「どんな加工が入るのか」を明確にしたうえで、適切なグレードと寸法公差を選択する必要があります。
もっぱら一般的な曲げ・切断で使う場合はSPCCで十分ですが、プレスや絞り加工が必要な場合はSPCEやSPCFを指定するのが“現場の常識”です。

SPCC板の調達現場あるあると調達購買のコツ

よくある板金加工現場のSPCCトラブル

実際の現場で頻発するのが、板金加工時に「割れやすい」「反り返る」「傷が出やすい」といった問題です。
特に、過度な曲げ加工や深絞りをSPCCで行う場合、材料選びを間違えると歩留まりが悪化し、コスト損失につながります。

また、同じSPCCでも供給メーカーによるロット差や、海外材と国内材の混在などの“現場の現実”も無視できません。
思い込みで発注せず、過去のトラブル履歴やベテランオペレーターの声もしっかり耳を傾けましょう。

バイヤー視点で抑えたいサプライヤー評価法

板金用SPCCの仕入先選定は「単価が安いから」だけで決めてしまうと、後々痛い目に遭うケースが多いです。
重要なのは、安定供給・品質の一貫性・トレーサビリティ・納期対応力など、複数の視点から評価することです。

特に、製造現場が大きくなるほど材料トレーサビリティ(追跡性)が重要になります。
万一不良品があった場合、どこのロット、どのサプライヤーなのか即座に特定し、迅速な対応が求められます。
また、最近はESG(環境・社会・ガバナンス)評価や、紛争鉱物非使用の証明を求められる場面も増えているため、これら書類の対応力もサプライヤー選定のポイントとなります。

発注ロットとコスト構造~見落としやすい板厚選び

SPCCの調達で見落としがちなのが、使用板厚や寸法によるコストインパクトです。
現場目線で言えば、共通サイズで大量に流通している規格品は安価に仕入れやすいですが、わずかな厚みや幅違いで特注とした途端に、単価が跳ね上がります。

また、「材料歩留まり」もコスト管理の鍵です。
製品取り数が多く歩留まりが高いサイズを意識して設計することで、材料ロスとコスト双方を最小限に抑えられます。
図面設計の段階でバイヤーやサプライヤーと密な連携を取ることで、現場の知恵が製品全体のコスト競争力に直結します。

品質管理の現場で見逃されがちなSPCCのチェックポイント

板金加工で重要なSPCCの品質確認項目

現場で実際に問題になりやすいのは、表面傷、反り・歪み、寸法公差逸脱などです。
とくに最近は、外観不良への要求が格段に高まっているため、エンドユーザーからの“現場クレーム”を防ぐための事前チェックが必須となっています。

また、SPCCは時間が経つと表面に錆びが浮きやすい性質があります。
材料入庫後、素早く加工に回す、または短期間でも適切な保管(湿気除去や防錆紙の使用など)を徹底しましょう。
とくに、海沿いの工場や湿度の高い時期は、思った以上に腐食ダメージが発生します。

現場と品質保証部門との情報連携が鍵

生産現場と品質保証部門はしばしば対立しがちですが、現代の製造現場では両者の“情報連携”こそが大切です。
例えば、「このSPCCロットの表面にだけ傷が多い」「今までのサプライヤーでは起こらなかった絞り割れが出る」といった現場の異変報告を即座に品質保証と共有しましょう。

これにより、リスクの早期発見・拡大防止につながり、クレーム費用や信用損失を抑えることができます。
現場での“気付き”を丁寧に拾い上げ、記録・分析に活用する文化を醸成することが今後の板金工場の生産性・競争力強化にとても重要です。

SPCC材料知識で失敗しない工場経営と自動化のチャンス

工場自動化にも活きるSPCCの材料知識

IoTや自動化が進展する現代、SPCC材料の知識も新しい活用の仕方が求められています。
自動化ラインでは、材料特性による“加工しやすさ”や“歩留まり率の安定”が生産性に直結します。

ロボットによるプレス加工や、多軸レーザーカット工程では、材料の寸法精度や表面状態が工程トラブルの有無を左右します。
材料は“現場任せ”にせず、設計・調達段階から現場オペレーターと協働し、用途や機械特性に最も適したSPCCグレード・板厚・表面処理を見極めましょう。

サプライヤーとの共創で差がつく現場力

昔ながらの単価重視の購買から脱し、交渉力・協業力を重視する“共創調達”が求められる時代です。
例えば「歩留まりの良いサイズで提供できないか」「より絞り割れの起きない成分調整が可能か」など、サプライヤーと開発部門がワンチームとなって新製品づくりに挑む流れが主流となりつつあります。

こうした取組みは、既存ロットの品質安定やコスト競争力だけでなく“技術的なブランド価値”にも直結します。
工場現場・バイヤー・サプライヤーの三位一体の協力体制が、日本のものづくりの未来を切り拓くのです。

まとめ|SPCCを知ることで見えてくる「現場進化」の道

SPCCはただの「安い鉄板」ではありません。
長年の現場経験を持つ立場から言えば、調達購買担当者、工場エンジニア、サプライヤーの誰もがSPCCの“本当の価値”を理解し、各業務に活かせることこそが、失敗しない工場経営やものづくりの鍵となります。

現場目線で材料を選び、図面段階からサプライヤーと共創し、情報連携による品質確保体制を整える。
その一歩一歩の積み重ねが、やがて大きな競争力や業界進化へとつながっていきます。

SPCCの基礎知識だけでなく“昭和から続く現場の知恵”と“令和の自動化・DX推進”を融和させた新しい製造現場こそ、これからの日本のものづくりに強い光を灯すと信じてやみません。

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