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投稿日:2026年1月25日

イベント消耗品のコストダウン相談で必ず出る品質基準の曖昧さ

はじめに:イベント消耗品コストダウンの悩みの根底

製造業において、コストダウンの取り組みは避けて通れない大きな命題です。
特に、展示会や各種催事などのイベントで使用される消耗品は、1回ごとの予算や納期に追われ、価格競争も激化しています。
それにも関わらず、実際に「コストダウン相談」が現場で持ち上がると、品質基準がそもそも曖昧だという問題に必ず直面します。

この曖昧さ――口での説明と現物との差、部門や担当者ごとに異なる「こだわり」、そして現場の「今まで通り」思考。
これは単なるコミュニケーション不足にとどまりません。
昭和から続く業界構造自体が抱えてきた根深い慣習なのです。

今回は、現場目線から見たイベント消耗品のコストダウン相談における「品質基準の曖昧さ」に焦点を当て、その背景、リスク、解決のヒントまでを深く掘り下げていきます。

イベント消耗品とは?製造現場でよくあるコストダウン案件の実態

イベント消耗品の具体的な例

イベント消耗品とは、業務展示会の配布物、デモ用の小物、ノベルティグッズ、短期使用の装飾部材や什器、試供品などが代表的です。
いずれも、その場限り・期間限定で使うため、使い切った後の価値ゼロ――まさに「消耗品」です。

コストダウンの背景と現場の本音

調達部門は経費削減の使命感から、安価な新規サプライヤー探しや仕様見直しを常に推進しています。
一方、現場(イベント担当や企画部門)は、
「決まったクオリティは譲れない」
「本番で失敗したくない」
「これまで問題なかった現行品で十分」
と考えがちです。

サプライヤー側から見ると、「この設備でこの仕様なら、この価格が限界」として、あとは“見積もり勝負”になりがち。
そして話し合いの中で必ず出てくるのが
「同じものでも安くできる?」
「なぜ安くならない?」
「品質ってどこまで落としてOK?」
といった、品質基準に関する不明確な議論です。

品質基準の曖昧さ――なぜ現場で起きるのか?

明文化されていない“暗黙知”が当たり前

製造業では、長年の業務経験や現場感覚に基づく“なんとなくの基準”がまかり通ってきました。
これは「阿吽の呼吸」と呼ばれたり、役職者の「これはOK/NG」の一言で決められたりします。

例えば「これくらいの厚さ」「この程度の発色」「手触りは前回と同じ」と言った指示。
資料はあるものの詳細な測定値や許容差はなし、サンプル提出後のフィードバックも担当者ごとにバラバラ。
こうした“暗黙の了解”が品質基準の曖昧さを生み出しています。

サプライヤーが困るポイント

サプライヤーに見積もりを依頼すると
「どこまで仕様を下げて良いのかが分からない」
「なにをもって“最低限の品質”なのかが分からない」
という声が必ず上がります。
これはリスクヘッジとして価格の“安全マージン”を上乗せしたり、現状維持を優先したりしがちです。

楽観主義の落とし穴:失敗事例に学ぶ

「価格を下げても大きな問題は起きないはず」「他社見積もりと条件は同じ」と安易に決めてしまい、いざ納品されたら
「印刷の色が違う」
「素材がペラペラで壊れやすい」
「組み立てたら歪みが目立つ」
など、トラブルが発生。
このとき「なぜこうなった?」とサプライヤーに詰め寄るものの、実は自社が基準を示していなかった――というケースが後を絶ちません。

昭和的アナログ文化が悪さをする根本的要因

現物主義と「現場の声優先」主義の功罪

製造業では「現場が一番分かっている」「現物見て判断する」が美徳とされてきました。
もちろんリアルな感覚は重要ですが、現代の多様化したサプライチェーンでは、部署や担当者が変わるだけで判断基準がぶれます。
さらにサプライヤーも世代交代が進み、「見て覚えろ」の時代ではもう通用しません。

責任回避志向の伝統

「トラブルが起きなければそれで良い」「前回大丈夫だったら今回も同じでOK」といった責任回避志向も根強く、結果として品質基準の明確化を後回しにしがちです。
そこにIT化・デジタル対応が遅れている業界体質が拍車をかけています。

品質基準はなぜ明確化されないのか?本質に迫る

重要性の認知不足

コストダウン相談の場では、あくまで「安くすること」ばかりに注目して、品質の話は後回しにされがちです。
現品が納品された時点で初めて気付きますが、すでに手遅れというパターンが多々あります。

誰が決めるのか不明瞭

品質基準を決める責任者が曖昧なまま「みんなで検討しましょう」となると、誰も本音でリスクを言い出せず、結果として場当たり的な品質管理になります。

文書化、デジタル化の遅れ

ISOや社内監査では「記録を残す」「基準を明文化する」が重要視されていますが、消耗品はいまだに“おまけ業務”扱いで、文書管理や数値規格化が進んでいない企業が多いのです。

現場目線で考える「曖昧さ」から抜け出す処方箋

受け手の期待値と許容範囲の明確化

安さを追求するコストダウン案件でも、「どこまで品質を許容できるか」を具体的に洗い出す必要があります。
例えば色の場合、「PANTONE××番号に±△までの色差」「印刷のカスレ・にじみは全体の○%以下」など、数値・サンプルレベルで基準を作りましょう。

“使い方”“現場での重要度”をサプライヤーに共有

単なる図面や仕様書だけでなく、「こういう状況で、こんな風に使う」「使うのは数時間限定で、外観重視」など、“なぜこのスペックなのか”を伝えることでサプライヤーの最適化提案を引き出しやすくなります。

現状サンプル+改善プランのダブル提示

サプライヤーに現行品サンプルを提供し、「ここは落とせない・ここは相談したい」というPriority(優先度)を整理します。
同時に「もしコストを削るなら、どこまで装飾を簡略化できるか」などの改善提案ももらい、現場と二人三脚で合意形成するのがコツです。

第三者視点で「ユーザー本位」の判断軸を設定

「現場が気にするから…」という自社都合だけでなく、最終的な受け手(来場者・エンドユーザー)の満足度はどこか、どの部分が本当に重要なのかを再定義しましょう。
その上で、「この条件であれば、問題なく本来機能を果たせる」という合意を関係者とすり合わせます。

アナログ→デジタル移行の“はじめの一歩”

小さな文書化から始める

すべての消耗品に完璧な仕様書を付けるのは大変です。
まず「色」「材料」「印刷方式」「検品基準」「納期」など、要点をExcelやクラウドで一覧化するだけでも大きな一歩となります。

QRコードやクラウドストレージを活用

納入ロットごとにQRコードで簡易基準書や使用事例を共有するなど、ITの力を“現場向け”にアナログで実装していくだけでも大きな差別化につながります。

まとめ:製造現場発想で品質基準の曖昧さを突破せよ

イベント消耗品のコストダウン相談において避けて通れない「品質基準の曖昧さ」。
これは日本の製造業、とりわけ昭和型のアナログ文化に根付いた“見て覚えろ”“現場なりゆき”体質が生み出した課題です。

現場の価値観とサプライヤーの知見を融合しつつ、
・明確な期待値の設定
・現場の使い方の見える化
・基準の小さな文書化
など、地道な改善を積み重ねるしかありません。

「品質はコストダウンの敵」ではなく「明確な基準こそが合理的なコストダウンの味方」という発想に転換しましょう。

これを実現できるバイヤー、そしてサプライヤーとの共創関係こそが、今後の製造業の発展と現場力強化の鍵となります。
現場で培った経験を武器に、次代の製造業をともに創り上げていきましょう。

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