Power Appsで作る！簡易的な工場巡回アプリ

はじめに

製造業の現場では、生産状況や設備の異常の早期発見が求められる場面が多々あります。
そんな中で、工場巡回アプリが活用されていますが、既製品の導入にはコストや時間がかかることも少なくありません。
そこで注目されているのが、Microsoftの低コード開発プラットフォーム「Power Apps」です。
本記事では、Power Appsを使って簡易的な工場巡回アプリを作成する方法について具体的に解説していきます。

Power Appsとは？

Power Appsは、Microsoftが提供するアプリ開発プラットフォームです。
コードを書かずにお手軽にアプリを作成できる点が魅力で、ITの専門知識がなくても簡単に扱えることから、エンドユーザーが自らアプリを作る「シチズンデベロッパー」という概念とも親和性が高いです。

Power Appsの主な特徴

Power Appsには以下のような特徴があります：

– 直感的なドラッグアンドドロップ操作でUIを作成
– 多数のテンプレートやサンプルアプリを利用可能
– Office 365やDynamics 365などのMicrosoftの他のサービスとの連携が容易
– 簡単にデータソースを接続

これらの特徴により、製造業の現場でも即戦力として活用できる可能性があります。

工場巡回アプリの設計

まず、作成するアプリの機能や要件を確認します。
今回は以下のような基本機能を備えた工場巡回アプリを設計します：

1. 重要設備の状況を記録・表示
2. 異常を報告する機能
3. 定期巡回チェックリスト

これらの機能は、製造現場での巡回を効率化し、設備の異常を早期に発見するために重要です。

データの準備

Power Appsでは、Microsoft Excel、SharePointリスト、SQL Serverなどをデータソースとして利用することができます。
本記事では、SharePointリストをデータソースとして使用する例を紹介します。

1. 設備リスト：設備ID、設備名、設備状態
2. 巡回記録：巡回ID、巡回者、巡回日、設備ID、報告内容
3. チェックリスト：チェック項目、状態

これらのリストを予めSharePointに作成しておきます。

Power Appsでアプリの作成

Power Apps Studioにアクセスし、アプリの作成を始めます。
ここでは、アプリの基本的な設定と主要な画面構成について解説します。

アプリの作成手順

1. Power Apps Studioにアクセスし、「空のキャンバスアプリ」を選択します。
2. 各画面をドラッグアンドドロップで追加し、必要なコントロールを配置します。
3. データソースとして先に準備したSharePointリストを接続します。

主な画面の構成

次に、主要な3つの画面を構成します。

1. メイン画面

メイン画面では、重要な設備の状況を一覧表示します。
ギャラリーコントロールを使用し、SharePointリストのデータをバインドします。
また、詳細画面へのナビゲーションボタンや新しい巡回記録画面へのリンクを設置します。

2. 異常報告画面

異常報告画面では、異常を報告するためのフォームを配置します。
テキスト入力、ドロップダウンリスト、およびサブミットボタンを配置し、データの登録処理をスクリプトで設定します。

3. 巡回チェックリスト画面

巡回チェックリスト画面には、定期的に確認が必要な項目のリストを表示します。
チェックボックスを使用し、その結果をSharePointリストに記録する機能を設定します。

Power Appsでの具体的な設定

ここでは、各画面と機能の具体的な設定方法について詳しく解説します。

メイン画面の設定

1. [Insert]タブから「ギャラリー」を選び、「縦方向」を選択します。
2. ギャラリーをプロパティウィンドウで、データソースとして「設備リスト」を選択します。
3. ギャラリーの各項目に対して、設備名や状態を表示するように設定します。

異常報告画面の設定

1. [Insert]タブから「フォーム」を選び、編集フォームを追加します。
2. データソースとして「巡回記録リスト」を選択し、フォーム内のフィールドを配置します。
3. サブミットボタンを追加し、そのボタンに対してデータ登録のスクリプトを設定します。

“`
SubmitForm(EditForm1);
Notify(“異常報告が完了しました”, NotificationType.Success);
ResetForm(EditForm1);
“`

巡回チェックリスト画面の設定

1. [Insert]タブから「ギャラリー」を選び、「縦方向」を選択します。
2. ギャラリーのデータソースとして「チェックリスト」を選択します。
3. 各項目に対してチェックボックスを配置し、その状態をSharePointリストに更新する設定をします。

“`
UpdateIf(
CheckList,
ID = ThisItem.ID,
{
状態: Checkbox1.Value
}
);
“`

まとめ

Power Appsを活用することで、製造業の現場でも即時に対応可能な工場巡回アプリを簡単に作成することができます。
コードを書く手間を省きながら、必要な機能を持ったアプリを開発できるため、生産性向上や品質管理の向上に寄与することができます。
データの連携先としては、Microsoftの他のサービスを利用することができ、さらなる拡張性も見込めます。
ぜひ、Power Appsを活用して、自分の現場に最適な工場巡回アプリを作成してみてください。