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アウターOEMの型紙づくりで押さえるべきパターン設計の基礎

目次
はじめに:アウターOEMにおけるパターン設計の重要性
アウター(コートやジャケットなど)のOEM事業は、ファッション業界だけでなく、ワークウェアや防寒着など幅広い分野で需要が高まっています。
特に、日本の製造業が誇る高品質な縫製技術や工程管理力は、国内外のブランドから高い信頼を得ています。
しかし、その根幹となるのが型紙(パターン)の設計です。
パターン設計の良し悪しが製品の快適性・機能性・見た目に直結する一方、昭和世代から続くアナログな工程管理が根強い分野でもあるため、デジタル化や効率化の波とどう向き合うかが新たな課題となっています。
本記事では、アウターOEMのパターン設計に携わる調達・品質管理の現場目線から、現代的かつ実践的な「型紙づくりの基礎」を掘り下げて解説します。
さらに、業界全体の動向やOEMバイヤーが重視しているポイント、そしてサプライヤーが押さえておくべき視点についても併せて紹介します。
パターン設計の基礎知識:なぜ“型紙”がアウターOEMのカギなのか
アウターにおけるパターン設計の役割
アウターはTシャツやカットソーと違い、構造が複雑で使用素材も多様です。
型紙(パターン)は、製品の立体的なシルエットや動きやすさ、着心地、グレーディングといった「快適性」と、見た目・デザインという「商品性」を兼ね備えるための設計図です。
OEMで製造されるアウターでは、ブランドコンセプト・用途・ターゲットユーザーの体型傾向など、様々な要求を一枚の型紙に落とし込むことが求められます。
不十分なパターン設計は、縫製段階での調整や手戻りを大量に発生させ、工場の生産性や利益率を直撃します。
型紙づくりの基本プロセス
1. ヒアリング(要件定義)
2. デザインイメージの確認・描き起こし
3. 参考サンプル・ボディ(トルソー)作成
4. 平面パターンの設計(紙・CAD)
5. トワル組み(立体試作)
6. 修正/グレーディング
7. 本生産用パターンの確定
8. 縫製仕様書への落とし込み
このプロセスのひとつひとつが品質に直結します。
現場では「設計・現物サンプル・量産品」でズレが生じやすいため、PDCAを高速に回す現場力こそが信頼のOEMにつながります。
アナログ派が根強い型紙工程-昭和から抜け出せない理由とは
“カンコツ”への過度な依存
型紙職人による手作業・経験値偏重の世界は根強く残っています。
特に地方工場では、「~さんじゃないとこの袖は引けない」「口伝えで作るパーツ」がいまだ当たり前です。
こうした伝統は“品質の担保・柔軟な現場対応”という点でメリットもあります。
しかし、属人化・再現性の低さ・人材不足・技術継承の困難といったデメリットが顕在化し始めています。
CAD・3Dパターン設計の普及事情
近年は東レ「クレアコンポ」、島精機「SDS-ONE」など先進的なCADや3Dパターン設計システムの普及が進んでいます。
しかし、“先代のやり方が正しい”という心理的障壁や、「パターンをデジタル化すると個人技術が流出する」という懸念が現場には根強くあります。
新規導入に尻込みする工場が多い一方で、デジタルで型紙設計→データで協力工場と連携する「サプライチェーンのスマート化」に乗り遅れるリスクも高まっています。
この部分はバイヤー・サプライヤー双方でのリテラシー醸成が急務です。
OEMで押さえるべきパターン設計の勘所
1. ブランド・用途ごとに異なる設計思想を尊重する
たとえばアウトドアブランドなら「可動域/撥水性や防風性/耐久性」が最優先です。
これに対しラグジュアリーブランドやユニフォームOEMでは「端正なシルエット」「見栄え・ライン」「パーツ数の適正化」が強く求められます。
バイヤーは自社ブランドのユーザー特性や、市場のトレンド、過去の返品クレーム、そして新規技術などをもとに型紙へ“ディテール要求”を出します。
サプライヤー側が「なぜその設計思想が必要なのか」を現場で理解することで、不要な手戻りや押し付け合いを削減できます。
2. 縫いやすさ・工程自動化とのバランス
工場の自動化が進む中、型紙設計でも「縫製容易性」「ミスしにくいパーツ設計」「工程ばらつきの回避」がJSOX(内部統制)や工程監査の観点でも強調されます。
例えば、極端に曲線的なパターンや、手作業でしか合わせにくい縫い代設定、難解な芯地重ね等は避けられる傾向です。
反面、現場職人の熟練テク・調整余力が必要なデザインにも一定の余裕設計が求められます。
3. 海外量産・グレーディングとの整合性確保
アウターのOEMでは中国・ASEAN等海外での量産も一般化しています。
現地パタンナー・縫製担当が一目で理解できる「シンプルなパターン指示」「ミスが発生しにくい仕様書化」「サイズ展開に耐えられる強固な原型設計」が強く求められます。
また、国ごとの体型傾向や計測基準の違いも事前に考慮することが重要です。
現場で“パターン設計ミス”が招くリスクとその対策
現場でよくある典型的な失敗例
・素材変更(布地の厚み・伸縮性違い)による縫いズレ、シルエット崩れ
・設計図パーツ数不足による、フィット感不良・工程追加
・グレーディング失敗でサイズ展開後の着用感ズレ
・トワルチェック不足による、量産品不良
・バイヤー仕様変更(着丈・袖ぐり等)による現場混乱
こうしたトラブルは「納期遅延」「追加コスト」「顧客信用失墜」につながります。
リスク回避策とトレンド
・設計初期段階での多部署(設計・生産・品質・調達)協業・ダブルチェック体制
・3Dシミュレーションソフトによる立体チェック
・トワル段階での十分な“治具”利用(物理型+デジタル型の併用)
・試作・承認プロセスの明確化と記録化
・サンプルパターンのデジタル化データベース蓄積
バイヤー側でも、パターン設計→サンプル承認までを一貫したQA(品質保証)プロセスで管理する企業が増えています。
今後の業界動向:型紙設計の未来と課題
“AI×型紙設計”の胎動
近年ではAIが蓄積データから最適なパターン設計案を自動生成する技術研究も進行中です。
すでに欧州などでは3D人体スキャンデータを使い個人ごとにパターンを自動リサイズ、AIで工程最適化する試みも始まっています。
日本でもデジタル人材と現場の知見を融合させ、「パターンの見える化」「品質と効率性の両立」「技能伝承の仕組化」が最重要課題となるでしょう。
昭和的カンコツ”+DX”のハイブリッド化が勝ち筋
完全デジタルへの移行ではなく、「職人目線でしか分からない“微妙な調整”」「工程トラブル即時対応力」といった日本の強みを最新技術と融合させるハイブリッドな発展が理想です。
これは単純なシステム導入ではなく、現場力・勘と科学(デジタル)を融合させる新たな現場リーダー・サプライヤーが今後求められます。
まとめ:OEMバイヤー・サプライヤーが“型紙設計”で理念を一致させるために
アウターOEMのパターン設計は、単なる設計業務ではなく「製品の根幹」をつくる最重要工程です。
バイヤーとサプライヤー双方が、「なぜこれが必要か」「現場でどんな工夫ができるか」「将来どこが変化しうるか」を現場・数字・エビデンスで語り合うことが、競争力と信頼性の源泉です。
今後も職人の技術・現場の知恵を守りつつDX化・AI化の波を巧みに活用し、次世代の“ものづくり”へと進化していきましょう。
サプライヤーの目線でも、今一度「型紙設計」の奥深さに着目し、自社技術の見直しや市場ニーズとの接合に挑戦することをおすすめします。
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本記事を参考に、次世代のアウターOEMを担う現場力と設計力の手がかりを掴んでいただければ幸いです。
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