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抽出装置用圧力センサー部材の取付加工と誤検知問題

目次
はじめに
抽出装置用圧力センサーは、多くの製造現場で心臓部とも言える重要な役割を果たしています。
特に近年では自動化・スマートファクトリーの流れの中で、その「正確な検知」と「安定した動作」は、生産性や品質の根幹を支えています。
しかし、現場での取付加工のわずかな違いや不適切な作業、アナログ的な慣習を引きずっているがゆえの誤検知トラブルが後を絶ちません。
本記事では、圧力センサー部材の取付加工時に発生しやすい問題や誤検知の原因、現場目線の実践的な対策について、長年現場を経験してきた立場から詳しく解説します。
1. 圧力センサー部材とは何か
1-1. 圧力センサーの仕組みと用途
圧力センサーは、機械内部や配管内の気体、液体の圧力を電気信号として出力する部品です。
これがなければ、抽出装置や各種工程装置の自動化は成立しません。
最近は微小な圧力変化も検知できる高精度タイプ、省スペース化されたチップ型、耐薬品性を持つものなど、現場の多様なニーズに合わせて進化しています。
1-2. 抽出装置における使われ方の最新動向
例えば、化学工場や食品工場における液体抽出工程では、圧力制御が最適化のカギを握っています。
一定の圧力で安定稼働させるだけでなく、異常信号を瞬時にキャッチすることで、不良品流出や装置トラブルを未然に防いでいます。
2. 取付加工の実態と“昭和的現場感覚”のギャップ
2-1. 図面通りなのになぜミスが起きるのか
「図面通りに加工したはずなのに、なぜかトラブルになる」
こうした声を現場ではしばしば耳にします。
現実には、圧力センサー取付部の寸法や取付トルク、部材表面の平滑度など、ちょっとしたズレが誤検知の原点になります。
昭和時代からの“ベテランの勘”だけに頼ったままでは、今の複雑で高度化したセンサーには十分対応しきれません。
2-2. アナログとデジタルの併存が生み出す“ヒューマンエラー”
デジタル図面化や自動検査ツールが導入されても、実際の取付作業は「手動+目視」作業が多く残っています。
その結果、例えば配管接続部の締め付け不足、Oリングずれ、ケーブルの取り回しミスなど、工数最適化・効率化が災いし原因不明の誤検知が続出してしまうのです。
3. 誤検知問題の主な原因
3-1. 取り付け位置・姿勢の誤差
圧力センサーは、わずかな傾きや上下位置のズレでも誤信号を拾ってしまうことがあります。
特に細径配管や限られた設置スペースでは、ほんの数ミリの誤差や反りが致命的です。
3-2. 締結トルクの管理不備
指定トルク外で締めたり、インパクトレンチを乱用するとセンサー内部がダメージを受け、感度不良や接触不良が生じます。
このあたりは「手加減で締める」「このぐらいで大丈夫」という悪しき職人感覚が残る現場で特に多いです。
3-3. シール部材・ガスケットの選定ミス
液体や薬品が僅かでも漏れれば、センサーが直ちに誤信号を出す原因になります。
過去の経験だけを頼りに汎用品を流用した結果、材質ミスマッチや過度な締め付けでガスケットがつぶれ、経時変化で不具合となるパターンも頻発しています。
3-4. 配線・端子部のトラブル
油や水、化学薬品の飛沫により端子部が腐食して微弱なリーク電流が発生すると、ノイズとして誤検知が出てしまいます。
特に古い設備では防水キャップの劣化まで見落とされがちです。
4. ブランドイメージと現場の攻防 ― なぜ誤検知を放置しないのか
圧力センサーの誤作動は、最悪の場合、装置停止や製品不良を引き起こします。
これはバイヤー(購入側のエンジニア)はもちろん、サプライヤー(納入業者)にとってもブランドの信用を損なうリスクとなります。
実際、ある現場では「圧力センサーが良いから」と言われ続けていた装置で、誤検知が立て続けに発生し、サプライヤー変更に発展した事例もありました。
従来の「安定した圧力検知ができて当然」という時代から「微差まで拾い、かつ誤動作ゼロ」を求められる時代へ、現場もバイヤーも変化し続けています。
5. サプライヤー候補に問われる“現場解像度”
バイヤーや設計エンジニアは、今や「同じスペック」「同じ価格」なら、知見・ナレッジ・現場での”使いやすさ”を決め手にします。
たとえば
・想定される誤検知リスクの洗い出し
・現場の取付手順や作業標準化の支援
・アフターサポートの負担を減らす工夫
など、「納入して終わり」ではなく「設置・運用・保守まで」の現場プロセスを見通せるかどうかが差別化点です。
6. 具体的な取付加工・誤検知対策
6-1. 取付治具や作業標準書の徹底
取付治具を活用して、常に同じ位置・角度でセットできるしくみを導入しましょう。
また、作業者が迷わず確実にできるよう、ビジュアル化した作業標準書や教育ツール(例:動画、エラー事例集など)の充実も効果的です。
6-2. 締結トルクの「見える化」
トルクレンチ+管理シートで全品の締め付け履歴を残す、トルクシールやカラーチェックで現場ごとの「勘」「抜け漏れ」を排除します。
これにより工程監査や再現性担保も容易になります。
6-3. シール材の仕様確認と標準化
事前に流体種・温度・圧力レベルごとに適正なシール材質を決め、サプライヤーと情報共有します。
また、ガスケットの装着時にはトルクと一括チェックできる工具を併用し、不適切な使用をなくします。
6-4. 配線の防湿・耐薬品保護
端子部に防水カバーを徹底する、ケーブル自体を耐薬品シースでカバーするなど、設置状況に応じて保護策を強化しましょう。
手作業を減らすためのワンタッチコネクタ採用もおすすめです。
7. デジタル移行と現場文化のアップデート
高精度・高機能化する圧力センサーには、工場側も変化していく必要があります。
たとえばIoTセンサーを活用した圧力データの自動収集、AIによる異常検知予測、現場の手順自体をモジュール化、映像教育など多様な進化が進んでいます。
昭和的な「勘と経験」を活かしつつ、デジタル変革も地道に進める。
この両輪がないと、誤検知ゼロ・トラブルフリーという新たな現場水準は実現できません。
8. まとめ ― 現場が主役、バイヤー・サプライヤーも共創で進化を
圧力センサー部材の取付加工・誤検知問題は、もはや「誰か一人の責任」ではありません。
バイヤーもサプライヤーも、現場担当も、それぞれの知見やニーズを持ち寄ることで、初めてトラブルゼロの生産現場が実現します。
現場のリアルな声を吸い上げ、昭和から令和へ、新しい仕組みと文化が融合する工場にしていく。
今日から明日へ、私たちが進めるべき現場改革のヒントが、圧力センサー部材の取付加工・誤検知問題には詰まっています。
製造業で悩みを抱える方、これから工場の購買・調達分野を極めたい方、そしてサプライヤーとして現場への貢献価値を高めたい方に、少しでもご参考になれば幸いです。