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ポロシャツの襟と袖口に使われるリブニットの製造工程を理解する

目次
ポロシャツを支える“名脇役”―リブニットの重要性
ポロシャツを手に取ると、最初に目につく部分が襟や袖口です。
この部分には「リブニット」と呼ばれる特殊な編み地が使われています。
一見地味な存在ですが、ポロシャツの着心地やシルエットの美しさ、さらには耐久性までも左右する重要なパーツです。
本記事では、リブニットの製造工程を現場の視点から詳しく解説し、昭和から抜け出せないアナログな現場の工夫や最新動向までをわかりやすくご紹介します。
リブニットとは何か? 基礎知識と役割
リブニットの特徴
リブニットは、表目と裏目を交互に編んでいく編み方(リブ編み)で作られた生地を指します。
一般的な平編みと比べて伸縮性に優れ、しっかりとした弾力があり、ゴムのようなフィット感が特徴です。
そのため、動きの多い部分や形崩れを防ぎたいパーツに多用されます。
なぜ襟と袖口に使用されるのか
ポロシャツの襟や袖口では、「型崩れ」や「よれ」、「伸び」などが発生しやすいです。
リブニットはこれらを高い伸縮性と保持力で抑え、長期間にわたり美しい状態を保つ役目を果たします。
加えて、脱ぎ着の際のストレスも軽減し、肌触りも滑らかです。
リブニットの製造工程:現場のリアル
原材料の選定
リブニットに使われる主な原料はコットン、ポリエステル、ポリウレタンなどの合成繊維です。
高級ブランドではシルクやメリノウールを使う場合もあります。
重要なのは「糸の品質」と「太さの揃い」。
ここで妥協すると、完成品の肌ざわりや伸縮バランスに大きな影響が出ます。
糸の準備と染色
リブニットの場合、糸の段階や生地段階で染色を行うかは現場ごとに異なります。
「先染め」か「後染め」かで色持ちや色合い、コストが変わるため用途やブランド戦略に合わせて選択されます。
編立工程
現場では丸編み機やフラット編み機(横編み機)が使われます。
襟のリブには「2×2リブ」や「1×1リブ」など、表目と裏目の組み合わせで模様が決まり、それによって手触りや伸縮の度合いも変化します。
編み機への糸のセットやテンション(糸張り)調整は経験豊富なオペレーターが手作業で確認します。
昭和の時代から根強く残る“職人技”がここに息づいており、自動化ラインでも最後はベテランの手が頼りです。
編み上がったリブは柔らかく波打っていますが、これこそが高品質な証です。
後加工(仕上げ)
編みあがった生地はそのままでは不均一なので、「セット」と呼ばれる形状安定加工を施します。
蒸気やテンションをかけながら生地を平らにし、長さや幅を均一にしていきます。
水洗いや柔軟処理もここで行い、風合いを整えたり不純物を落としたりします。
また、襟や袖リブは“パーツ”として切り出されるため、裁断精度や端の始末(オーバーロックやメロー処理)が品質の分かれ道です。
アナログ工程とデジタル革新のせめぎ合い
職人の“勘と経験”は消えない
現代でも、編み機の設定や糸の張り具合、染色具合といった“微調整”は現場ベテランの「勘」に頼る場面が多く残っています。
温湿度や機械の微妙なクセなど、データ化しきれないノウハウが積み重なっています。
特に小ロット生産や高級ブランドの特殊色、特殊形状などは自動化が難しいため、人の介在が欠かせません。
昭和から続く技術の“伝承”の重要性が今も否定されていません。
自動化とデジタル制御の進化
一方、近年の量産向け現場では「編み機のデジタル制御」や「AIによる自動検品」が導入されつつあります。
不良検出やサイズの均一化、ライン毎の生産性モニタリングなどが進展し、従来よりも歩止まりが改善しています。
もちろん、これらを活用しきるには「現場視点の設計」や「現場の声を反映した改善」が不可欠です。
自動化機器も“買えば終わり”ではなく、現場との擦り合わせを丁寧に行う必要があります。
リブニット調達のポイント:バイヤー・サプライヤー双方の視点
バイヤーは「用途」「納期」「品質」三位一体の最適バランスが命
バイヤーは、単に「安いもの」だけではなく、用途にマッチしたリブニットかどうかを見極める目が大切です。
伸縮性や風合い、色落ちや耐久性など現場目線での“潜在的な要件”を見落とさないことが失敗を減らします。
また、商社経由かメーカー直かの仕入れルートや、MOQ(最低注文数)、リードタイムも慎重に検討することがポイントです。
ポロシャツの襟リブはデザイン上のキモになるため、ブランドカラーや風合いの再現度、高い品質管理のサプライヤーを選ぶのが成否を分けます。
サプライヤーは「QCD」+「柔軟対応力」を磨け
サプライヤー側は、QCD(品質・コスト・納期)を基盤としながら、細かなカスタム対応やスピーディなサンプル提出が求められます。
加えて、バイヤーが気付いていない潜在ニーズ(例えば、季節や海外展開に合わせた新素材の提案等)を示すことで信頼獲得に繋がります。
特に昭和的な“御用聞き”を抜け出し、新たな付加価値を提案する姿勢が時代の変化に対応できる力となります。
今後のリブニット~進化の方向性と業界動向~
グリーン化と高機能化の狭間で
近年、糸づくりの段階から環境対応(オーガニックコットン、再生ポリエステルなど)、省エネな製造法へのシフトが進んでいます。
さらに、抗菌防臭・UVカット等の高機能糸も市場を賑わせています。
バイヤーも「SDGs」や「トレーサビリティ」を意識した調達が増加中です。
デザインの多様化とロット細分化
カラーバリエーションや幅のアレンジ、リブの柄を活かした高級路線の需要も拡大しています。
一方で「小ロット多品種生産」への対応力が求められ、既存のライン運用・調達管理フローの見直しも急務となっています。
業界に根強く残るアナログ体質
一方、地方のニット工場の多くではいまだに“FAX受注”“職人手作業主体”が常態化しています。
こうしたアナログ体質とIT化のせめぎ合いこそ、今後の製造業の競争軸です。
まとめ:リブニット製造を深く知る意義
ポロシャツの襟や袖口を彩るリブニットは、見た目以上に多くのノウハウと工夫の結晶です。
原材料の選定から職人技・自動化ラインの両立、さらには調達・品質管理の最前線まで、一貫した“現場力”が問われます。
バイヤーやサプライヤーにとっては、「使い勝手のいいパーツ」としてではなく、生産工程全体を俯瞰した最適化の目線が今後ますます重要になるでしょう。
そして、アナログとデジタルの調和、新たな価値創出に挑戦することこそ、日本の製造業の新たな地平線を切り拓くカギとなるのです。
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