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缶詰が膨張しない真空封止と殺菌冷却工程の連携

目次
はじめに:缶詰の安全性を守るための工程に注目する
缶詰は私たちの日常生活に欠かせない保存食品の一つです。
消費者は、開封するまで中身の安全を信じて使いますが、その信頼を支えているのが「真空封止」と「殺菌冷却工程」の確かな連携です。
現代の自動化された工場でも、低コストを重視した中小規模工場でも、缶詰生産には共通してアナログな知見や設備が不可欠な部分が残っています。
昭和時代から連綿と受け継がれるノウハウの上に、最新技術が積み重ねられている現場という舞台で、缶詰がなぜ膨張せずに長期保存できるのか、そのための具体的な工程連携、そして現場感覚で活かせるポイントを深堀りしていきます。
真空封止と殺菌冷却の基本的な流れ
真空封止工程の役割
缶詰製造で最初に重要となるのが、真空封止です。
内容物(食品)を缶に充填した後、できる限り中の空気(酸素)を抜き、即座に蓋を封じます。
これによって、内圧を下げ、微生物の繁殖リスクを大幅に減らせるため、食品の保存性が格段に高まります。
真空封止の一般的な方法は、「加熱充填」と「蒸気噴射」の2つです。
加熱充填では、高温に加熱した内容物を缶に詰め、蒸発した水分が空気を押し出すことで真空状態を作ります。
蒸気噴射法では、缶の口から高温の蒸気を噴射し、空気を追い出す手法が使われます。
どちらも即時に密封が必要不可欠です。
殺菌冷却工程の順序と効果
真空封止後、密封された缶はすぐに殺菌工程に移されます。
オートクレーブ(レトルト殺菌機)など高圧・高温環境で十分な時間加熱することで、細菌・カビ・酵母など、食品を腐敗させる微生物を死滅させます。
ここで「121℃で4分」「100℃で30分」など、食品や中身によって適切な加熱条件が決められています。
殺菌後は急速冷却します。
この冷却工程が、缶の膨張防止のカギとなるのです。
きちんと冷却しないと、缶内部の蒸気圧で膨らみや変形が発生し、商品の廃棄や苦情につながりかねません。
昭和的手法から最新FA技術まで:工程連携の現場ノウハウ
人の勘と経験がいまだ活きる現場事情
大手の自動化工場では工程間をシームレスにつなぐ制御システムが稼働し、一見するとヒューマンエラーの余地がないように見えます。
しかし、現場では「あ、今日は蒸気圧がいつもより強い」「原料の糖度が高いから、泡立ちやすい」といった、微妙な変動が日常茶飯事です。
アナログ管理が根強い中小工場では、ベテラン従業員の指先感覚や音・匂いの判断力が、今なお工程品質の維持に大きく寄与しています。
たとえば蓋巻き機の異音、殺菌釜の圧力上昇のクセ、缶の表面結露の変化など、小さな兆候から大きな問題を未然に察知します。
IT・センサー技術で工程最適化が進む背景
とはいえ、デジタル変革(DX)が急速に進む近年では、異常検知センサー、IoT温度記録計、AI画像判別などを活用する工場も増えています。
これらは「人間の気づき」を補完・強化し、均一品質の大量生産を後押ししています。
たとえば、殺菌釜内の温度分布の「ムラ」をサーモグラフィで見える化し、真空封止直後の缶内圧を自動測定してデータベース蓄積し、蓄積データから不良傾向をAIが予知可能にする。
アナログとデジタル、それぞれの強みを組み合わせることが、現代製造業の大きな潮流です。
缶詰膨張・変形が起きる主な要因と現場対策
なぜ缶詰が膨張してしまうのか
缶詰が膨張・変形を起こす背景には、主に2つの要因があります。
一つは、真空封止不良による缶内残留空気の過多。
もう一つは、殺菌冷却不足による缶内圧力上昇です。
密封時に十分な真空が得られないと、加熱殺菌中に缶内の空気が膨張し、缶が変形しやすくなります。
また、殺菌後に冷却が甘いと、内容物の温度が高いまま、缶内部の水蒸気圧も高止まりし、やはり膨張の原因となります。
現場でできる具体的な改善策
1. 真空ゲージ・缶内圧力データの管理
作業ごとに抜き取り検査し、シーリング後直ちに真空度を記録することで、傾向管理と早期異常発見が可能です。
2. 殺菌温度のリアルタイム見える化
レトルト釜に多点温度計やIoTセンサーを設置し、各缶の殺菌温度履歴を取得することで、冷却不足や加熱不足の原因特定に役立ちます。
3. 製品切換時の「原料差」注意
糖度や粘度、脂肪分、個体含有率の違いによって、加熱や冷却のムラが出やすくなります。
こうした場合は、工程設定値を「標準値」から個別対応に切り替えて対応します。
4. 設備メンテナンスの徹底
シール機のパッキン摩耗や、加熱釜の圧力バルブの劣化など、些細なトラブルが大事故を招くので、定期点検と記録を人手で管理するアナログ手順も依然として重要です。
これからのバイヤー・サプライヤーが知っておくべき缶詰工程の本質
品質保証の視点で考える工程連携
優れたバイヤーは、カタログデータや試供品だけでなく、工場現場の実工程と管理体制の「仕組み」を重視します。
単に「真空封止ができているか」「殺菌条件が守られているか」だけで満足せず、「基準逸脱時のフィードバック体制」「トレーサビリティ履歴」「ヒューマンエラーに対する多重チェック体制」まで深く踏み込みます。
サプライヤー側は、こうしたバイヤー目線を意識して、工程内で取得できる定量データや、万一不良が出た場合のリカバリー体制を常に説明できるようにしておくことが、信頼獲得への第一歩となります。
アナログ文化とデジタル技術のハイブリッドが生きる現場
製造業には「昔からのやり方」にこだわる企業文化が強く残る一方、IT・センサー・自動化という新しい波も確実に押し寄せています。
缶詰ラインもその例外ではありません。
パート作業者の直観・気配り・経験覚を大切にしつつ、経営層は設備への投資・データ活用への転換も同時に追求する。
このハイブリッドの現場こそが、「膨張しない安全な缶詰」を安定供給する力の源泉になります。
まとめ:缶詰品質の未来に向けて現場ができること
缶詰の真空封止と殺菌冷却の工程連携を追求することは、製造現場だけでなく、購買やサプライヤー選定にも大きな意味を持ちます。
アナログ世代の職人技、昭和から続くノウハウ、最新センサーやデータ活用、すべてをつなげることで「膨張しない」高品質な缶詰が生まれます。
現場で働く皆さん、バイヤーを志す方、サプライヤー側に立つ皆さん。
それぞれの目線を持ち寄って、工程の本質を理解し、次代の製造現場をともに進化させていきましょう。
缶詰製造の地味な工程にも、未来を変える大きなヒントがあります。
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