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LTSpice活用で学ぶメカトロ技術者向け回路設計シミュレーション

目次
はじめに:メカトロ現場でのLTSpice導入の重要性
デジタル化・自動化の波が押し寄せる製造業では、回路設計の現場も例外なく進化を求められています。
昭和のアナログ技術が根強く残る一方で、グローバル競争の激化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を背景に、設計スピード・品質・コスト管理の厳格化が求められる時代になっています。
そんな中、“回路シミュレーション”は、失敗のリスクを減らし、合理的な製品開発・生産プロセスを実現するカギとなっています。
この記事では、私自身の20年超の製造業現場での知見をもとに、メカトロ分野(メカトロニクス:機械+電子技術融合分野)での回路シミュレーションツール「LTSpice」活用術を、実務視点で徹底解説します。
バイヤー志望の方や、サプライヤー側からバイヤーのロジックを把握したい方にも、有用な実践知をお届けします。
LTSpiceとは?〜無料で強力な回路設計シミュレーション環境〜
LTSpiceとは、アナログ・デバイセズ社が提供するフリーの回路シミュレーションソフトです。
国内外のエンジニアやメカトロ技術者にとって、もはや必携とも言える存在になっています。
なぜLTSpiceが選ばれるのか?
多くの同様ソフトが存在する中で、LTSpiceを推す最大の理由は“コストパフォーマンス”と“実用性の高さ”にあります。
もともとパワーエレクトロニクス分野の設計支援用として開発された経緯から、高精度なアナログ回路も、デジタル・ミックスドシグナル回路も高速でシミュレーションできます。
無償で使えることから、中小企業や現場部門の“お試し導入”にも最適です。
また、部品メーカー純正ならではの、実在部品モデルが数多く実装されている点も強みです。
これらの機能は、現場で「検証→トライ→改良」を短期間・低コストでダイナミックに回せる推進力となります。
回路シミュレーションの本質〜昭和のアナログ現場から抜け出す視点〜
アナログ現場の“勘と経験”の弱点
多くの製造業現場では、今なお「達人の経験」や「現場の勘」という、属人依存の設計手法が根強く残っています。
たしかに現場力は強みですが、それだけに頼っていては
・重大な初期不良の見落とし
・技能継承の断絶
・標準化・効率化の失敗
といったリスクを招く可能性もあります。
そこに、LTSpiceのようなシミュレーション技術の導入が、科学的な設計標準・品質向上への第一歩となります。
シミュレーションが生み出す「見える化」と「自動化」
理論値・計算値だけでは見えない過渡応答やノイズ特性も、LTSpiceならグラフ化・比較が一目瞭然です。
しかも、一度作った回路図データは、そのまま仕様変更・流用にも使い回しが利くため、DXやSCM(サプライチェーン・マネジメント)とも好相性です。
結果として
・現物試作の前に問題点を潰せる
・人手・コストを減らしながら改善スピードを最大化できる
という、“攻めのモノづくり”に必須の基盤を築けます。
LTSpice活用の基本ステップ〜現場で役立つ実践ノウハウ
1.基本操作と習得方法
まずは以下のプロセスで習熟を進めることをおすすめします。
1. LTSpiceのインストールと日本語化(公式&コミュニティリソースの活用)
2. 操作マニュアルの流し読み(回路図エディタ、シミュレーター、波形表示ツールなど)
3. “自分の現場で実際に使いたい回路”をひとつ設計し、シミュレーションを実施
ポイントは、いきなり大規模回路から始めず、
・電源(DC/DCコンバータ)
・オペアンプ増幅回路
・リレー駆動回路
・センサーインターフェース
など、小さなサブ回路を使って「まず動かす」ことに集中することです。
2.代表的なシミュレーション事例
LTSpiceの威力を実感しやすい代表的な応用例をいくつか紹介します。
・DC-DCコンバータの効率検証
・モーター駆動回路の突入電流抑制検討
・リレー・ソレノイドのサージ吸収設計
・直流/交流センサー信号のフィルタ特性確認
・回路混載時のクロストーク・ノイズ対策比較 など
現場で日常的に直面する「不具合の予防」「コストダウン」「部品選択の最適化」こそ、LTSpice定着の近道と言えます。
3.現場的工夫:LTSpiceを活かす設計/実装ノウハウ
私の実体験から、現場で即効性が高かったノウハウをいくつか挙げます。
・型番レベルで部品データ(スパイスモデル)管理リストを作る
・現象ごとに代表的な“テンプレート回路”のデータベースを持つ
・設計/検証結果をチームでレビュー(知見の水平展開)
・トラブル時は“原因仮説→シミュレーション→再現性検証”のPDCAをルーチン化する
こうした積み重ねが、属人的な設計から“科学的なものづくり力”への脱皮につながります。
LTSpice活用の落とし穴と現場でのトラブル対策
多くの現場では「シミュレーション=魔法の杖」という誤解が広がりがちです。
以下、注意点と“現場で起こるあるあるトラブル”を紹介します。
1.モデルの信頼性限界
全ての部品が、実際の物理特性と完全一致して動作するわけではありません。
サージ吸収素子や高周波回路、温度ドリフト特性などは、モデルと実物で数値が異なるケースも多いです。
こうした場合は、シミュレーション結果を“あくまで比較検証の材料”と割り切り、必ず最終的な実物検証を並行してください。
2.過信NG!現場の暗黙知と両立させる視点
昭和的なアナログ現場の知見も、決して無価値ではありません。
例えば、部品の熱設計やトレースの引き回し技術は、職人技が活きる分野です。
LTSpiceを“現場力を補強する道具”と位置づけ、「シミュレーション+現場検証=最適解」と捉えるスタンスが重要です。
バイヤー・サプライヤー目線でのLTSpice活用のポイント
調達現場では「見積もり精度・QCD管理」をレベルアップできる
バイヤー志望の方には、LTSpiceを“サプライヤーとの技術要件交渉に使える”ことを知ってもらいたいです。
例えば
・回路変更が必要な場合、そのシミュレーションデータを根拠としながらQ(品質)・C(コスト)・D(納期)での折衝を行う
・技術的な妥当性/工程リスクを数値で“見える化”することで、不必要な安全マージンコストカット
が可能になります。
サプライヤー視点では「技術提案力」で強みをつくる
サプライヤーがLTSpiceを駆使できれば、「御社要件でこの回路をこう改良しました」「ノイズ対策を検証済みです」など、具体的なデータと説得力を持った提案ができます。
“バイヤーから一目置かれる”ための営業技術としても大きな強みとなります。
まとめ:LTSpiceは「現場力×デジタル設計」の黄金律を創出する
ものづくり現場が直面する課題は、刻々と高度化・複雑化しています。
LTSpiceをはじめとするシミュレーション技術は、昭和の「勘と経験」にデジタルの「根拠」と「スピード」を持ち込み、現場力の底上げに直結します。
重要なのは
・シミュレーションを導入して終わりではない
・現場検証・フィードバックとセットで「継続的改善」の文化を根付かせる
ことです。
設計・生産・品質・購買……現場のあらゆる立場で、“LTSpice活用”が新たな業界標準となる日も遠くはありません。
変化をチャンスに変え、現場から明日を動かしましょう。
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