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伝わる技術英語ライティングスキル強化実践セミナー

目次
はじめに:グローバル時代の製造業に欠かせない「技術英語ライティング」
ものづくりの現場は、もはや日本国内だけで完結する時代ではありません。
海外サプライヤーとの調整、国際標準への対応、グローバルBOM(部品表)や設計書・工程表など、現場レベルでも英語によるコミュニケーションは年々増えています。
そのなかで特に求められているのが、「伝わる技術英語でライティングできる力」です。
単なる翻訳機任せの直訳や、高度なビジネス英語ではなく、現場目線で的確に「意図」が通じる技術英語文書を作成できるスキルが、業績や品質、不良削減、サプライチェーン全体の強靭化に直結します。
本記事は、調達・購買、生産管理、品質管理、設計、生産技術、サプライヤー管理といった製造業の現場に長年携わった経験を踏まえ、「昭和のアナログ体質から一歩踏み出し、グローバル化にも負けない技術英語ライティング力の強化法」について、実践面から解説します。
なぜ「技術英語ライティング」が製造業で重要なのか
グローバルSCMの要—言語の壁がリスクとなる時代に
国際取引が必然のいま、納期やコスト面などのリードタイム短縮、サプライチェーン全体のロバスト化(強靭化)が製造業の至上命題です。
その土台になるのがクロスボーダーな情報のやりとり。
ちょっとした英語表現のズレや、曖昧な指示、技術用語の誤用が、巨大な品質トラブルや納期遅延の火種となります。
昭和の伝統的な「阿吽の呼吸」に頼る時代は終わりました。
「通じる」から「伝わる」へ―実務に強い英語力とは
学校で習う英作文や和訳・英訳とは異なり、現場で求められるのは「伝わる技術的英語」でのライティングです。
たとえば…
– 仕様変更依頼
– 設計図面の修正ポイント
– 不良発生時の暫定・恒久対策レポート
– 材料・工程管理データと品質試験書
こういった文書・メールを「正しく、的確に、過不足なく」相手国のメーカ―やバイヤーと共有するためには、実務に根ざした表現力が必要です。
製造業特有の現場課題と技術英語文書の実態
アナログ文化の壁—「察し」と「前例主義」からの脱却
日本の製造業、それも中核を担う現場世代には、未だ「以心伝心」「現場主義」「先輩から盗め」の風土が根強く残っています。
こんな現場慣習が国際化の障壁となり、マニュアルも図面も「日本語で独自作成」→「必要時だけ翻訳」というコスト高・非効率を生んでいます。
良かれと思って原文を省略したり、他社との微妙なニュアンスを調整しないまま和訳したり、確認のないまま過去資産を流用することで「伝わらない技術文書」が大量に発生してしまうのです。
「言い切り」と「曖昧さ」—文化の違いに要注意
日本語では自然な「〜の場合はご相談ください」「〜してもよい」「参考までに」などの曖昧表現や行間の“空気”。
これが、英語ではまったく反対の受け止め方となり、“指示が何もない=その通りしろ”と誤解されがちです。
「To be discussed/To be determined」「for your reference only」のような一言が抜けていることで、予期せぬコストや納期アウトリスクにつながります。
伝わる技術英語ライティングの実践ポイント
1.結論→理由→補足の「三段論法」を徹底する
日本現場の技術報告書は、経緯や検討の経過から入りがちです。
しかし技術英語文書では、
1. 結論・方針
2. 理由・根拠
3. 詳細データ・補足(attached data など)
の順で書くことが圧倒的に伝わりやすくなります。
2.主語・動詞・時制を明確に
英語圏では主語と動詞(Action=誰が何をする)が曖昧だと、業務が止まります。
「Review drawing.」のような省略は避け、
「We will review the drawing and reply by XX date.」
「The supplier should implement corrective action by XX.」
のように、「誰が、何を、いつまでに」を必ず明記しましょう。
3.現場用語・ローカル略語の多用を避ける
現場では通じる業界略語(QC、YYK、PJ、JIS…)が、グローバル展開では逆効果です。
ISOやIATF順守が必要な文書ではできる限り正式名称を明記し、略称には最初に(ex. Initial Sample Inspection Report (ISIR))と書く配慮が不可欠です。
4.簡素で直球、論理的な構文に徹する
「お世話になっております」「ご多忙のなか」のような定型ビジネス挨拶や、“です・ます調”の丁寧語は英語では不要です。
むしろ用件を端的に、論理的な構文(IF–THEN、BECAUSE、DUE TOなど条件付け)で明記するのが国際現場流です。
5.数字・単位・規格・目標値は「共通表記」で
「ミリ」「cm」「キロ」「万」「億」「日付順(年/月/日 or 月/日/年)」など、意外なほど解釈にズレが起こります。
ISO・IEC・ASTMなど国際規格への統一や、SI単位(mm, kg, ℃)、日付は「2024-07-10」のような標準表記を必ず使いましょう。
バイヤー視点・サプライヤー視点でみる技術英語文書のコツ
【バイヤー側の意識】~期待されている「正確な情報」~
品質異常や納期遅延の初動対応、QCD交渉の現場では、バイヤー(購買担当)は以下の点を期待しています。
– 原因(ルートコーズ)の特定、その根拠データ
– 再発防止策の具体性・工程管理の変更点
– 合否や判定基準となる「マスト事項」の明確化
– 「納期」「コスト」「影響範囲」など定量データの明示
これらを書面やメールで明快に提示できるサプライヤーは、信頼され、取引継続や拡大につながります。
【サプライヤー側の意識】~「赤点回避」のための伝え方~
海外バイヤーは、一度のミスや誤解が長期的な信頼失墜につながるシビアな現場です。
サプライヤーとしては、
– 問題報告時に「事実・数値情報→仮説→対応」までを明示
– 修正依頼やイレギュラー変更は「background」や「impact」も添える
– クレーム対応時は「一過性」か「根本原因」かを分けて報告
こうした基本を技術英語で押さえておけば、現場の混乱やコスト余計な摩擦を防げます。
グローバル現場で生きる「ラテラルシンキング」のすすめ
異文化コミュニケーションを逆手に取る発想転換
英語が苦手→翻訳機頼り→伝わらない→現場の微調整で応急手当…。
こうした従来型プロセスから脱却し、「なぜそう書くのか」「相手は何を知りたいのか」の本質を深掘りするラテラルシンキング(水平思考)が、技術英語ライティング力を劇的に高めます。
たとえば、不具合報告も「現象」→「対応」ではなく、「なぜその現象が起きたのか」「どうすれば再発しないか」「現地でも再現できる因子は何か」など、原因や再現性まで落とし込みます。
こうした思考法こそ、グローバル現場で求められる“伝える力”です。
まとめ:技術英語ライティング改革が現場の未来を変える
いま、現場に必要なのはアプリ・ツール任せの直訳力でも、TOEICハイスコアでもありません。
一人ひとりが、製造業現場の実態に合った「伝わる技術英語」で自工程や自分の責任範囲を正確・丁寧にライティングできること。
マニュアルやメール、QCサークル報告、顧客監査資料まで、その場しのぎの和訳から抜け出し、グローバルに通じる「現場の共通言語」を自ら作る主体性が、日本の製造現場に求められています。
これからの製造業“新時代”を生き抜くために、ぜひ今日から「現場で本当に使える技術英語ライティング」の強化を、現場の仲間と実践していきましょう。
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