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アウトドアテーブルOEMで収納性と耐熱性を両立させるアルミ加工術

目次
はじめに:アウトドアと製造業のクロスオーバー
アウトドアブームが続く昨今、キャンプギア市場は著しい成長を続けています。
特にアウトドアテーブルは、収納性や耐久性、デザイン性が求められるアイテムです。
消費者は「小さくたためて軽い」、かつ「直火の上でも安心」という高機能製品を求めています。
こうしたニーズを満たすため、多くのメーカーがOEM(相手先ブランド製造)でアウトドアテーブルの開発・生産に乗り出しています。
その裏側では、昭和の香りが残るアナログな現場と、最新の製造技術がせめぎ合いながら進化を続けています。
本記事では、長年の製造現場で培った知識と、今まさに現場で戦う技術者の目線から、収納性と耐熱性を両立させるためのアルミ加工術を徹底解説します。
なぜアルミが選ばれるのか?アウトドアテーブルと素材の関係
アウトドアテーブルに使われる素材選定は、ただ強度やコストだけを考えれば良いというものではありません。
ユーザーがアウトドアフィールドで使うことを考慮すると、”軽量”かつ”高耐食性”が条件になります。
さらに、焚き火やバーナーでの使用も想定するため、”耐熱性”も重要なファクターとなります。
その中でアルミニウム合金は、比重が鉄の約1/3という圧倒的な軽量性、さびにくい耐食性、適度に加工しやすい性質によって他の金属素材より優れた選択肢となっています。
また、高級感あるシルバー系の光沢や、アルマイト処理によるカラバリも付加できるため、マーケティング面でも優位性があります。
OEMアウトドアテーブル市場の現状と課題
急成長する市場と多様化する要望
2010年代後半から全国で続くキャンプブーム、それに伴うアウトドアギアの需要拡大。
2024年現在も波は止まず、OEMビジネスの問い合わせ件数も右肩上がりです。
現在の市場でOEMに求められるテーブルの特徴は、下記のように整理できます。
・収納時に最小限の体積にできること(折りたたみ・組立式)
・車載可能な軽さと強度
・火や熱に強い
・美しい外観、ブランドイメージに合うカラー展開
・100台〜数万台/ロットの量産対応力
しかし、多様化に伴い、従来の汎用パーツや板金加工だけでは限界を迎えつつあります。
バイヤーと現場のミスマッチ
バイヤー(購買担当者)は、コスト・納期・品質という3つのKPIに常に迫られています。
一方、サプライヤー(OEM工場)は、技術的な制約と現場作業者の限界、設備の老朽化など物理的な課題に直面しています。
特に問題となるのが「耐熱性も収納性も落としたくない」に対するトレードオフの意識です。
要求水準が上がるほど、現場には工程の手間やコストダウンの圧力が高まります。
アルミ加工でこの要望両立を実現するには、従来の発想や手法の転換=ラテラルシンキングが不可欠です。
アルミ加工術の真髄:収納性&耐熱性を両立するポイント
1. 型材・押出材の活用で強度と軽さを最適化
アルミニウムは、厚みや断面形状を比較的容易に設計・変更できるという特色を活用できます。
特に「押出成形」された型材(丸パイプ、四角パイプ、特殊断面)は、手軽に高強度・軽量構造体が設計できます。
脚部にパイプを、天板フレームに角断面材を使い、ジョイント部は樹脂またはスチールパーツを組み合わせる手法が一般的です。
ファブレスメーカーの場合でも、サプライヤーと型材サンプルを確認しながら設計を詰めることが重要です。
2. 加工方法の最適化——精度vsコストのせめぎ合い
耐熱構造とコンパクト収納を両立させるなら、以下のような加工技術が有効です。
・アルミ板のレーザーカット(細かい柄やヒートスリット加工)
・曲げ・エンボス加工による強度増強
・異種素材パーツのカシメやリベット留め
・NCフライスによる高精度ジョイント加工
これらを組み合わせながら「熱変形しにくい骨組み」と「収納時にパーツが分離もしくは折りたためる機構」を両立させます。
特にヒートスリット(通気や熱拡散のためのカット)を適切に配置することで、天板の歪みや劣化を大きく抑制できます。
3. 表面処理で“銀の美しさ”と耐熱性を保つ
アルミの最大の弱点は「高温での強度劣化」です。
また、表面には酸化皮膜が自動的に形成されますが、厚みは極薄。
OEM製品として高級感とメンテナンス性を持たせるためには「アルマイト処理(陽極酸化)」が必須です。
ハードアルマイトを使えば、耐摩耗・耐熱・耐食性が飛躍的に高まります。
色展開も可能なので、エンドユーザーやブランド担当からのカラーニーズにも柔軟に応えられます。
現場での実践:組立て・検査・品質保証の勘どころ
「昭和の現場力」と「デジタル管理」の融合
アルミ加工と言っても現場作業は属人性が高い領域が残ります。
例えば押出材のカット時、温度管理や工具の切れ味ひとつで精度は大きく変動します。
また、バリ取りや仕上げの作業も手作業の割合が大きい現実があります。
品質管理では、昭和の“経験則”に頼り切るのではなく、デジタルテンプレートや画像解析、トルクレンチ記録といった工場IoTの力も取り入れましょう。
規格外品の早期発見や、不具合再発の抑止につながります。
組立・検査の落とし穴とその対策
収納力重視の分割構造や可動部は、どうしても不具合リスクが高まります。
現場では「仮組み検査」「分解再現性テスト」「塩水噴霧試験」などの工程で、設計段階のイメージと現物との差分を明らかにすることが大切です。
OEM工場でのチェックリスト例:
・可動部品の「遊び」許容値
・ジョイントのねじれ/がたつきチェック
・カラーパーツの色再現性テスト(ロット差分)
・耐荷重・耐熱簡易テスト(不意の熱源落下も想定)
これらのフィードバックを迅速に金型や加工条件に反映させる、小さなPDCAを高速で繰り返すことが、高品質な量産体制につながります。
OEMバイヤーが知るべき現場の制約・交渉のコツ
理想と現実のギャップを埋める“技術翻訳”
バイヤーは「いいものを安く早く作って」と簡単に言いがちですが、それを成り立たせる現場の苦労は計り知れません。
現場が抱えるアルミ材調達リードタイムや、加工可能な肉厚・最小ロット、投資コストの問題など、設計/購買/生産管理が手を取り合わなければ、最終的な“ものづくり競争力”には直結しません。
例えば
・型材は既製品かオーダーか?
・表面処理は外注か社内加工か?
・小ロット時の機械セットアップコスト、単価の跳ね上がり分をどう消化するか?
こういった要件をサプライヤーと「同じ土俵」でディスカッションできるバイヤーが、最終的に高品質OEMを手にすることができます。
長期パートナーシップ構築のコツ
アルミ加工のような設備型産業では、四半期ごとの案件獲得よりも、5年10年と息の長い関係を築く方が安定した品質とコストメリットにつながります。
・現場視察を定期的に行う(現物・現場主義)
・製造者の“やりにくさ”や“改善提案”を直接ヒアリングする
・トラブル時も責任のなすりつけではなく、次回仕様改善提案=WIN-WINを模索する
これができるバイヤーこそ“選ばれる顧客”となり、その結果として先進的なアルミ加工技術も情報として集まってくるのです。
まとめ:OEMビジネスの未来とラテラルシンキングの必要性
アウトドアテーブルという一見単純にも見えるアイテムの裏側には、多層的な技術と人の知恵が詰まっています。
アルミ加工という昭和時代からある材料技術も、設計力、工程管理力、表面処理、新しいIoT連携など現代的な解釈でラテラルシンキングを積み重ねることで、「収納性」と「耐熱性」は確実に両立できます。
現場目線を持つこと、サプライヤーとバイヤーが垣根を越えて会話を重ねること、技術を絶えず進化させること。
これらを一歩踏み込みながら、「従来の常識を疑い、新たなものづくりの地平線を切り拓く」ことが、製造業に携わる我々全員の使命です。
OEMアウトドアテーブルは、きっと次の世代に名品として受け継がれる。
この記事が、皆さんの現場や企画・開発に少しでも役立てば幸いです。
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