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レジリエンス分野における新たなソリューション開発に向けたパートナーシップの構築方法

レジリエンス分野における新たなソリューション開発に向けたパートナーシップの構築方法
はじめに ― なぜレジリエンスが今、製造業で注目されているか
製造業の現場で「レジリエンス(回復力)」というキーワードが急速に重要性を増しています。
サプライチェーンの寸断や、急な需要の変動、自然災害、さらにはパンデミックなど、予測のできないリスクが次々と現れる現代。
「止めない」「止まってもすぐ立ち直る」体制が、もはや世界標準になりつつあります。
多くの工場長やバイヤー、サプライヤー担当者は、日々の操業を守る中で、旧来のやり方だけでは限界があることを痛感しているはずです。
昭和の高度成長期から連なるアナログな現場文化の中で、いかに現代のレジリエンスを自分たちのものにできるのか。
そのカギを握っているのが、ソリューション開発における「パートナーシップ」の構築です。
パートナーシップが価値となる時代背景
一昔前、購買や調達の世界では「コストダウン」「発注数量の確保」といった事項が最優先に評価されてきました。
しかし今、バイヤーもサプライヤーも「いかにリスクを分散し、早期復旧力を付けるか」が命題となっています。
逆に言うと、一社では担いきれない複雑化、高度化する課題を、協力体制(パートナーシップ)で乗り越えなければなりません。
これは単なる「契約先」「発注元」という関係以上に、情報やリソースを開示し合い、課題解決のために「共創」する新しいステージに突入したことを示しています。
昭和型バイヤー・サプライヤー関係からの脱却
まだ多くの現場では、発注者(バイヤー)が強く、サプライヤーはそれに従う構図が根強く残っています。
例えば見積りの都度「値切り」交渉が常態化し、肝心の品質改善やリスクマネジメントに協力してもらいにくいのです。
ですが、こういった関係性では本質的なレジリエンス向上は実現できません。
発注先と下請けの「上下関係」ではなく、持続的に共存共栄できる「協働関係」へシフトすることが必須です。
現場発!レジリエンス向上のためのパートナーシップ実践例
私が経験した事例で、参考になりそうなものをいくつかご紹介します。
まず生産管理部門と調達部門が密接に連携し、BCP(事業継続計画)として複数サプライヤー化(マルチソーシング)に取り組みました。
ここでは、サプライヤー側にも「どんなリスクがあるか」「どう代替ラインに切り替えるか」などの情報を率直に出してもらいました。
結果、従来は想定外だった部材供給の途絶に対して、24時間でライン再稼働を実現したことがあります。
また、単なる部品納入でなく、開発段階からサプライヤーを巻き込み、製品の仕様決定に知恵を借りるという「オープンイノベーション型アプローチ」も有効でした。
アナログな町工場の技術者ほど、培ってきた職人技や現場発想が現代のレジリエンス型開発に生きることを、私自身多く体験しました。
パートナーシップ構築のための具体的行動指針
「口だけ、掛け声だけ」のパートナーシップではなく、現場で機能する真の協力体制を築くために、下記のステップを提案します。
1. 共通言語・価値観の醸成
まずは「なぜレジリエンスが必要なのか」という危機感と目標を、お互いに共有する場を設けましょう。
たとえば、定期的な勉強会やワークショップを開きます。
ここで、「サプライヤー ≒コストの源泉」ではなく、「サプライヤー=パートナー」だとするマインドセットへの転換が不可欠です。
2. 情報の“見える化”と“開示”
調達部門から吹き出る“囲い込み意識”や“案件情報の秘匿”を少しずつ開放します。
発注量の予測、リードタイム要求、将来の製品計画など、伝えることで相手が先回りした準備を進めやすくなります。
逆にサプライヤーからも設備稼働状況や工程見直し提案などの情報を出してもらいましょう。
3. モチベーション共有と「信賞必罰」の明文化
共通の目標達成の度合いに応じ、適切な報酬を与える仕組み(インセンティブ制)、もしくは失敗時のルールをお互い合意しましょう。
部材供給が危機時でも復旧協力したサプライヤーに、追加発注や次世代案件の優先権を与えた例もあります。
4. DX(デジタルトランスフォーメーション)活用による連携強化
受発注処理や納期管理、品質情報の共有など、可能な部分からどんどんデジタル化を進めます。
現場レベルも、進捗会議をWeb化したり、チャットツールでタイムリーに課題を共有するだけでも、距離感は大きく縮まります。
アナログな現場にも、スマホやタブレットで“今すぐ伝える”仕組みの導入はとても有効です。
未来志向のバイヤー像と、サプライヤーに求められる変革
バイヤーにとっては「価格交渉力」だけでなく、いかに”協力して価値を創り出せるか”が問われる時代となりました。
となると、必要なのは「課題発掘と解決を共に進められるチームビルディング」「テクノロジー活用に柔軟な知見」「現場との距離感維持」といえるでしょう。
一方サプライヤー側にも、ただ受け身で「納期厳守します」だけでは差別化できません。
「この部品ならこう作ればもっと安定供給できる」「工場止めてもこのルートなら48時間以内にリカバリーできる」など、現場知恵を積極的に提案し、攻めの姿勢を見せてください。
業界動向 ― 「共創時代」への過渡期
大手メーカーを筆頭に、「共創(Co-Creation)」を謳う企業が急増しています。
たとえばDX領域では協業型IoT導入の共同プロジェクト、公的なものでは中小企業連携による地域クラスター型製造拠点など、多層的なパートナーシップの実践例が増え続けています。
ですが実際の現場アンケートを見ると、まだ「本音・建前」「契約期間だけの協力関係」に留まるケースも根強いのが現状です。
この「壁」を破るには、やはり現場に根付いたアナログの知恵と、新たなデジタル技術・考え方のハイブリッドが必要なのです。
まとめ:昭和型の枠をこえて、新たな地平を切り開くために
レジリエンスの時代、製造業の未来には、現場の声に基づく「パートナーシップの再設計」が不可欠です。
単なるコスト、調達、納期といった「点」ではなく、サプライチェーン全体の「線」と「面」を意識し、共にリスクを乗り越える「共創」の意識こそが、競争力と生き残りの決定打になります。
バイヤーはもう一歩先を見据え、「現場起点での連携強化」「デジタル活用の推進」「サプライヤーとの双方向コミュニケーション」を積極的に進める時代です。
サプライヤーもまた、自社技術や現場力を堂々と発信し、真の意味で頼られるパートナーとして進化していく必要があります。
時代は、昭和型延命から、「新しい工場」「強いモノづくり」「柔軟な連携」の幕開けへ。
今こそ、あなた自身の現場経験を活かし、業界の新たな地平線を切り拓いてみてください。
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