- お役立ち記事
- ポータブル放射線測定器OEMがCsI(Tl)シンチレータでμSv/h高精度測定
ポータブル放射線測定器OEMがCsI(Tl)シンチレータでμSv/h高精度測定

目次
はじめに:現場視点で捉える放射線測定の重要性
日本の製造業、特に電機・化学・自動車といった生産拠点の現場では、原材料や部品の受入工程や出荷前工程で放射線測定を行うケースが増えています。
2011年の東日本大震災以降、部品や資材の放射能管理に対する要求が厳しくなり、取引先、顧客、エンドユーザーの信頼確保に“放射線測定の見える化”が欠かせなくなりました。
しかし、今なお多くの現場では「どの放射線測定機器を、どう選定し、どう管理すればよいか」というノウハウが十分に共有されていません。
また、“昭和のやり方”が根強い調達・品質管理の領域では、OEM(相手先ブランド供給)や新素材対応にも難しさがあります。
この記事では、ポータブル放射線測定器の実践的な選定ポイントとして、特に「CsI(Tl)シンチレータ」搭載モデルを例に取り上げます。
μSv/h単位での高精度測定がいかに現代製造業のサプライチェーン全体で価値を持つか、バイヤー・サプライヤー双方の目線で解説します。
CsI(Tl)シンチレータとは ── 放射線測定器の「目利き」ポイント
センサー構造が左右する「測定精度」と「運用のしやすさ」
放射線測定器の基本機能は、「いま、どれだけの放射線が存在しているのか」を見える化することです。
ここで大きな差となるのが、「センサー」の設計思想です。
日本国内でもっとも普及しているのはGM(ガイガー・ミュラー)管方式ですが、近年OEMメーカーを中心に広がっているのが「CsI(Tl)シンチレータ」タイプです。
この“CsI(Tl)”は、ヨウ化セシウム(Caesium Iodide)に微量のタリウム(Tl)を添加した結晶体センサーです。
CsI(Tl)搭載がもたらす3つの現場メリット
1. μSv/hレベルの微細な放射線量まで高感度で可視化できる
2. センサー安定性が高く、長期運用でもキャリブレーション(再調整)頻度が少ない
3. 小型・軽量なモジュール設計が可能で“持ち運び測定”が容易
昭和から受け継がれる「とりあえずGM管」「とりあえず据え置き型」という選定理由とは全く次元が異なり、文字通り現場の多様な測定要望に応じられる新地平を切り開いています。
バイヤーがCsI(Tl)シンチレータ搭載OEMを選定する理由
調達・購買の実態:「目先の価格」ではなく「運用コスト」重視へ
部品や製品のバイヤーになった経験のある方なら分かるはずですが、現場で使う検査・測定器具の選定では、単純に“初期購入価格の安さ”だけが購買判断基準にならないケースが増えています。
放射線測定器もその例に漏れません。
例えば、GM管ベースの廉価なモデルを導入すると「機器トラブルが多い」「測定値が環境温度でブレる」「再校正が頻繁」など、結局メンテナンス費や現場作業の手間が膨らみます。
CsI(Tl)シンチレータ搭載測定器は初期費用はやや高めですが、「測定精度」「安定稼働」「迅速な持ち出し」が実現すると、結果的に長期的なコスト低減・現場の負担軽減につながります。
OEMベンダー選び:カスタマイズ性と納期・品質対応力が鍵
新製品立上げや既存部品のサプライヤーとの評価時には、バイヤー視点では「メーカー完成品」よりも「OEM対応力の高いパートナー」を重視する潮流があります。
なぜなら、実際の現場では「製品ケースの形状」「測定アラートの仕様」「記録データのフォーマット」など、細かいカスタマイズ要望が頻発するからです。
CsI(Tl)シンチレータはモジュール化しやすい利点もあり、「自社ブランド用途でのカスタム納入」「大量ロット時の安定調達」などOEMベンダーとの協業メリットが大きくなっています。
昭和時代的な“言い値主義”から脱却し、バイヤーが技術バックボーンのあるメーカー/OEMパートナーを積極的に採用する流れも加速しています。
サプライヤーから見たμSv/h高精度測定の価値:品質保証と信頼構築
取引先要求の変化:「測定値根拠付き」の品質保証体制
サプライヤー側の担当者からすると、「品質の見える化」「測定記録のトレーサビリティ」は顧客(バイヤー)からの指示や監査でますます厳しくなっています。
たとえば、自動車向けの電子部品や医療機器部品を納入する場合、「毎ロットの放射線測定」「μSv/hレベルでの安全証明書(CoC)」が必須となる場面も増えています。
GM管式では“目盛読み”のバラツキや室温変動の影響が無視できませんが、CsI(Tl)シンチレータ搭載モデルなら、「誰がいつ測定しても、正確なデジタル値が自動記録」されます。
これにより、バイヤーへの説明責任や外部監査にも自信をもって対応できます。
さらに「社内標準測定方法」として展開しやすくなります。
差別化ポイント:OEMカスタムで“サプライヤーのブランド力”強化
従来のように“完成品メーカーの後追い”“言われた通りの対応”だけでは競争に勝てません。
カスタマイズ性を持つCsI(Tl)シンチレータ測定器を自社ブランド品や独自仕様で調達し、独自の運用マニュアルや測定レポート体系を用意すれば、他社サプライヤーとの差別化に直結します。
OEM提供の強みは「自社顧客や現場作業員目線でのきめ細かい調整が可能」「納期やサポート体制を直接交渉できる」など、柔軟な対応力です。
バイヤー=顧客も「部品や材料の安全性への取り組み姿勢」を重視する時代です。
サプライヤーが高精度測定+データ管理体制を率先して導入・開示すれば、サプライチェーン全体で“信頼できるビジネスパートナー”として評価されるでしょう。
現場導入・運用例—アナログからの脱却と新時代の運用フロー
課題事例:昭和的アナログ運用の限界
地域に根差した老舗工場や中小製造業ではいまだに、「放射線測定の記録は手書き」「GM管のアナログ針を目視」「トラブル時は都度メーカー修理」といったアナログ運用が根付いています。
この結果、「担当者によって測定値が違う」「記録ミス」「測定機器の紛失や貸出トラブル」など、ヒューマンエラーや管理負担が積み重なりがちです。
新しい運用フロー:ポータブル&デジタルで現場改革
CsI(Tl)シンチレータ搭載のポータブル測定器なら、こうした課題を一気に解消できます。
・測定ボタンを押すだけで誰でも同じ値を取得
・測定データは内部保存もしくはUSB/BluetoothでPC一括管理
・測定ログは自動で日付・担当者・ロット番号で紐付け
・カスタム仕様で“異常値検知アラート”や“点検漏れ防止アラーム”も搭載可能
現場から声が多かった「管理担当のストレス」「新人でも測定できる安心感」「監査に強い記録保管」のすべてが、デジタル機器なら一元的に実現可能です。
これが、アナログからデジタルへの地殻変動をもたらします。
まとめ:製造業の競争力は「見える化+高精度データ管理」から
世界的にグローバルサプライチェーンの透明性が求められる現代、日本の製造業が今後生き残り・成長するためには「現場の見える化」「高精度のデータ管理」が欠かせません。
ポータブル放射線測定器、特にCsI(Tl)シンチレータ搭載モデルは、旧態依然としたアナログ管理から飛躍した現場ソリューションです。
バイヤーは運用コストやカスタマイズ性を、サプライヤーは信頼構築やブランド力強化を、それぞれの立場で最大化できます。
OEMによる柔軟な仕様対応は「独自価値を持つプロダクト・現場運用」を生み出します。
アナログ業界ならではの根強い慣習を超え、“デジタル×現場力”で次世代製造業の新しい競争力を磨いていきましょう。
引き続き現場の視点と、バイヤー・サプライヤー双方の課題共有を続けながら、製造業の発展に役立つ知見を発信してまいります。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)