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ドライバーシャフトOEMが振り遅れを解消するマルチアクシス80tカーボン積層

目次
ドライバーシャフトOEMが変える!振り遅れ解消の最新技術「マルチアクシス80tカーボン積層」
はじめに-製造業におけるシャフト技術革新の重要性
現在、国内外のゴルフ用品市場は、機能性・カスタマイズ性を重視する動きが加速しています。
その中でも、ドライバーシャフトのOEM(Original Equipment Manufacturer)は、ブランド各社の“顔”となる部分。
その出来栄えによって、クラブの性能やプレーヤーのスコアだけでなく、企業全体の信頼度にも直結します。
近年のゴルフクラブの進化の裏には「マルチアクシス80tカーボン積層」と呼ばれる革新的な素材設計があり、現場やバイヤーのみならず、すべてのモノづくりに携わる方に大きな示唆をもたらしています。
今回は、製造現場目線でこの技術がどのように振り遅れを解消し、業界の“昭和的アナログ慣習”を打破しつつあるのかを掘り下げます。
ドライバーシャフトとは何か?OEMの立場から見る基礎知識
ドライバーシャフトの役割とプレーヤーに与える影響
ゴルフクラブの中でも最大飛距離を狙うドライバー。
そのシャフトは“クラブの心臓部”とも言えるべきパーツです。
重量、トルク、剛性(フレックス)、長さ、テーパー形状、といった変数が、ボールの初速やミート率、弾道に影響を及ぼします。
とりわけ「振り遅れ」とは、スウィング時にヘッドが体の回転に遅れてついてくる現象で、アウトサイドイン軌道やプッシュアウト、スライスの原因になります。
この現象は、シャフトのねじれとしなり(トルク剛性、曲げ剛性)が複雑に絡み合うため、設計調整が非常に重要になります。
OEMの現場目線:ブランド要求と現場のギャップ
OEMとはブランドが消費者向けとして販売する製品を、別のメーカーが設計・製造する形態です。
この現場では、ブランドの「飛距離UP重視」、「しなやかで振りやすいフィーリング」、「操作性の向上」――といったオーダーが日常的に舞い込みます。
しかし、現場目線では従来の設計思想や生産設備の措置、原材料の調達可否など、“超えられない現実”も多く存在します。
このジレンマを打破するため、技術者たちが追い求めてきたのが、より高強度・高弾性、かつ自由度の高い設計を実現するカーボン素材技術なのです。
マルチアクシス80tカーボン積層とは何か?
80tカーボンの基礎と、なぜ「マルチアクシス」なのか?
「t」はトン(ton)の略で、1平方ミリメートルあたりの引張強度(張力)の大きさを示します。
一般的なカーボンプリプレグで使われるのは24t、30tクラスですが、「80tカーボン」はその約3倍以上の強度を示します。
しかし、単純に強い素材を使えば万能ではありません。
それが「マルチアクシス積層設計」です。
従来は、ほぼタテ方向(0°)やヨコ方向(90°)、せいぜい±45°程度の積層アングルしか使われてきませんでした。
マルチアクシス積層では、複数の方向に繊維を重ねることで、しなり・ねじれ・つぶれ――それぞれに必要な剛性をピタリと指向性制御できる点が画期的です。
「アナログ慣習」を打破する素材設計の妙
従来のドライバーシャフト製造現場では、設計者が“手慣れた感覚”や“古いデータ”によってお決まりの積層パターンで作ることが一般的でした。
それがゴルフ業界の「昭和的アナログ」文化として根付き続けていたのです。
この状況を一変させたのが、材料工学と積層CAE(コンピュータによる構造解析)の融合です。
80tカーボンは割れやすいという難しさもありますが、ミクロンオーダーでの積層シミュレーションによって、従来からの「暗黙知」「経験知」だけでは到達できない高性能設計が可能になりました。
つまり、誰もが均質かつ目的に即した高性能シャフトを作れる時代が訪れたというわけです。
振り遅れをどう解消するか?ー現場とバイヤーの視点から
物理的メカニズム:高弾性×積層パターンの威力
振り遅れの主要因に「シャフトのねじれ剛性不足」「戻りの遅さ」が指摘されます。
80tカーボンの高弾性を活かしつつ、0°・30°・60°・90°・120°といったマルチアクシス積層により、「ヘッドの戻り」「つかまりの安定」が格段に向上します。
これにより、インパクト時にヘッドがスクエアに戻りやすくなり、スライスやプッシュアウトを抑えることができます。
現場例を挙げると、あるシャフトOEM現場では、従来製品と同じトルク値(ねじれやすさ)に設定したにもかかわらず、マルチアクシスにより狙った通りに曲げ剛性・ねじれ剛性が分離制御でき、振り遅れの悩みを95%のテスターが「明確に改善した」と回答しました。
データドリブン開発による「見える化」の時代
今や、シャフトの反発特性、ねじれ挙動、ミスヒット時の挙動などが、CAE解析や3D動作計測によって“見える化”されています。
OEMとしては、ブランドやバイヤーの細かな要件(例:ヘッドスピード40m/sのゴルファー向けに“少しだけ先が戻る”)にもデータと根拠付きで対応可能になってきました。
これにより、現場サプライヤーであっても「なぜこの仕様で、どんな効果があるのか」をバイヤーに説明しやすくなっています。
OEM現場での成功事例と業界トレンド
「昭和型アナログ現場」からの脱却成功事例
ある老舗カーボンシャフト工場では、従来の積層と製造管理工程をすべて一新。
デジタル設計データから製造ラインへ直結する「ペーパーレス管理」や「リアルタイム工程監視」を導入しました。
設計変更への即応性が高まり、不良件数も3割減、納期短縮と歩留まり向上を大幅に実現。
サプライヤーの立場でも、価値提案型バイヤーとのパートナーシップが強くなっています。
バイヤーに求められる新たな視点
「どのようなシャフトが売れるのか」ではなく
「どのような材料/X方向積層パターンが“狙い通り”の性能を生むのか」
という点にバイヤー自身もシフトし始めています。
ブランド独自性を追求するだけでなく、現場・研究サイドと連携し“まだ語られていない性能”の追求へと動いています。
OEM委託者とサプライヤーが“体験共有型”で試作・評価し、互いの知見を日々アップデートする。
そうした「共創の現場力」が、今後のサプライチェーン競争力となるでしょう。
今こそ求められる「マルチアクシス的」発想
ラテラルシンキングで切り開く製造業の新しい価値
80tカーボン、マルチアクシス積層、データドリブン評価――。
一見、シャフトの分野のトレンドにも見えるこれらの技術や思考は、製造業全般に通じるヒントと言えます。
たとえば、
・調達購買での「多元評価」=価格、納期、品質+独自の技術ポテンシャル
・生産管理での「多軸同時最適化」=工程速度、品質歩留まり、変動対応力
・品質保証での「可視化と共通言語化」=データによる納得と信頼
これらはいずれも“昭和的に分断された思考軸”では到達できません。
技術・現場・バイヤー・サプライヤーが横断的に発想し、組織をつなぐラテラルシンキングこそが、変革と成長のカギとなるのです。
まとめ:価値ある「積層」を、いまこそ現場から
ドライバーシャフトOEMの世界は、いまや部材、設計、現場ノウハウ、エンドユーザー体験が重なり合い、“多層的なイノベーションの場”となっています。
マルチアクシス80tカーボン積層の進化と普及は、振り遅れ解消という一点だけでなく、バイヤーとサプライヤーの関係性、製造現場の“昭和型慣習”も変え始めています。
今後も、“一本筋の通った品質と、多層的な技術の重なり”が製造業の新たな競争軸となることは間違いありません。
みなさんの現場に「マルチアクシス発想」を持ち込めば、新たな地平線がきっと見えてきます。
ぜひ、現場の実践知とラテラルな発想で、ものづくりのこれからをともに切り拓いていきましょう。
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