- お役立ち記事
- スマホプッシュ通知で納期前フォローを自動化し顧客満足度を向上させた施策
スマホプッシュ通知で納期前フォローを自動化し顧客満足度を向上させた施策

目次
はじめに:自動化時代の納期フォロー、その重要性とは
製造業の現場では、納期遵守は信頼の礎です。
とくに部品や素材の調達においては、バイヤーやサプライヤー双方にとって「いかに納期を守り、遅延リスクを最小化するか」が、ビジネスの成否を大きく左右します。
昔から昭和的な「電話一本」「FAX送信」というアナログな納期確認が当たり前でしたが、その限界が露呈していることに気づく企業も増えてきました。
現場が高齢化している製造業界では、デジタル化が進みにくい現実もあります。
しかし、スマホというツールが普及し、プッシュ通知などの技術を活用することで、納期前フォローが革新的に変わる時代がやってきました。
本記事では、実際の大手製造業現場で取り組んだ「スマホプッシュ通知による納期前フォロー自動化」の事例から、その施策の効果と業界への新しい波について深掘りします。
なぜ伝統的な納期確認は時代遅れになったのか
人手に頼る納期管理の課題点
製造業の現場では、調達部門の担当者が納期遅延リスクを避けるため、毎週のように各サプライヤーへ「納期大丈夫ですか?」と電話やメール、場合によってはFAXでコンタクトをとっています。
この作業は「保険」や「安心感」を生む一方で、以下のような課題を生みます。
– 担当者の残業・手間が増大し、他業務との両立が困難
– 記録が残りにくく、連携・共有しにくい
– 主観・経験に頼るためミスや抜け漏れが発生
– サプライヤーごとにコミュニケーション方法がバラバラで効率が悪い
特に中堅・ベテラン社員がこの作業の中心になりやすく、属人的な運用が続く傾向です。
さらに「自分たちの手で確認しなければ不安」「電話で直接話さないと本当に大丈夫か分からない」といった、昭和から続く安心感への依存も見受けられます。
サプライヤー側の視点:負担と本音
一方でサプライヤー側には、調達先ごとに異なる連絡方法や、複数担当者から同じことを何度も聞かれる手間がのしかかります。
– 毎日の電話対応に追われて本業の生産が滞る
– 日中の作業時間が細切れになり非効率
– 記録を残す仕組みがなく情報共有が難しい
サプライヤーとしても迅速・正確な情報共有ができる仕組みを強く望んでいるのが本音といえるでしょう。
スマホプッシュ通知で納期フォロー自動化:施策概要
どのようなシステムか
今回私たちが実践した取り組みは「スマホアプリのプッシュ通知」を活用することでした。
– サプライヤー各社に専用スマホアプリを導入
– 生産管理システムと連携し、出荷予定日の数日前に自動でプッシュ通知送信
– サプライヤーはアプリ上でワンタップ「OK」または「要調整」を回答
– 調達担当者は一元的に進捗をダッシュボード管理
この仕組みの最大の特長は、「確認依頼→返信→履歴管理までが全自動」で完結する点です。
導入のポイント
システム導入で重視した点は以下の3つです。
– サプライヤー側の負担を減らす(アプリインストールのみ、操作は2ステップだけ)
– スマホ1台あれば対応可能(PC不要、24時間どこでも返事ができる)
– 遅延や未回答時は自動的にリマインド通知
また、従来の「直接口頭で確認したい」「不安だから念押ししたい」という文化に配慮し、重要案件や有事の場合は従来通り電話や訪問による柔軟対応も可としました。
施策の導入効果:現場が変わった5つのポイント
1. サプライヤーフォロー業務の工数が9割以上削減
これまで10社以上のサプライヤーへの毎週フォローに約半日~1日かかっていた担当者業務が、システム導入後は「進捗ダッシュボードを見るだけ」「未回答のみ電話確認」に。
大幅な残業抑制・業務効率向上に成功しました。
2. サプライヤー回答率は過去最高水準に
電話やFAXでは「忙しくて対応漏れ」「言った・言わない」が多発していましたが、プッシュ通知はスマホで即時確認できるため、回答率が9割以上にまで向上。
定型回答なので記録も明確で、納期の確約から納品までのプロセスに「見える化」が生まれました。
3. 納期遅延の早期発見・リスク検知が大幅に改善
従来は「納期直前にギリギリになって発覚」という事故が頻発していましたが、「要調整」を選択した場合は自動リマインドやアラート機能で関係者に即座に通知。
工程・物流見直しや顧客への連絡も迅速に行えるようになりました。
4. サプライヤーとの信頼関係・顧客満足度が向上
「面倒な電話・FAXがなくなった」「見逃して失礼するリスクが減った」とサプライヤー側でも好評で、関係性のストレスが軽減。
納期遵守率が安定し、エンド顧客にも「いつも納期通り、丁寧な確認体制」と高評価を得ています。
5. 若手・新任社員でも即戦力化が可能に
属人的な「経験に頼る納期フォロー」から脱却し、ダッシュボードやスマホ通知により情報を見逃しにくい環境が整備されました。
人材の流動化が進む現代でも、誰でも現場レベルのきめ細かなフォローができます。
現場でぶつかった「昭和的な壁」への対応策
新しいITツールの導入では、どうしても「これまでのやり方」に固執したり、「人間同士の繋がりが大事」と反発する声が現場に残ります。
現場の説得資料やメリット周知は重要ですが、それ以上に現場感覚に寄り添い、次の「3つの作戦」で移行をスムーズに進めました。
1. 最初から「完全デジタル一本化」にしない
いきなり「今後は電話もFAXも禁止、全部アプリで」としてしまうと、現場の不安や反発が噴出します。
現場の幹部やサプライヤーにヒアリングし、「困った時は従来通りの個別対応もOK」「段階的な併用期間を設ける」ことで、徐々にデジタルへの意識転換を促しました。
2. 小規模試行を重ねながら段階導入
いきなり全社一斉導入ではなく、まずは1部門・1取引先で小規模検証を行い、現場での利便性や改善点を都度フィードバック。
サプライヤーの意見や若手社員の声も吸い上げ、改善・微調整を繰り返しながら、導入のハードルを下げました。
3. 定量的な効果数値を現場で「見せる」
「どれだけ時間が短縮されたか」「納期遵守率がどれほど向上したか」を可視化したグラフや事例を毎週現場共有。
数値で裏付けることで「やっぱり便利だ」の納得感を誘発しました。
自動化がもたらす製造業の未来展望
スマホプッシュ通知を活用した納期前フォロー自動化は、単なる作業効率化にとどまりません。
業界を変える「攻めの調達」への転換
これまで受け身・守りの調達・生産管理から、情報武装・早期対応の「攻めの管理」へとシフトしつつあります。
– データ蓄積による納期リスクの予測分析が可能
– サプライチェーン全体の見える化・構造改革へ発展
– 顧客要求水準の変化にも柔軟かつ迅速に対応
古い業界文化に染まったままでは生き残れない時代に、現場主導で少しずつ現実的なDXを進めるこのアプローチは、多くのバイヤー・サプライヤーにとって大きな意義があります。
人と技術の融合、そして次世代人材の育成
「IT=冷たい」と捉えず、困ったときや信頼醸成が必要な時は“アナログ的コミュニケーション”を存分に活かしつつ、不定型業務は自動化に委ねる。
昭和~令和それぞれの良さを掛け合わせて進化する現場が、これからますます必要とされます。
また、デジタルネイティブ世代の活躍促進、属人化防止、柔軟な働き方への移行にもプッシュ通知自動化は貢献できるでしょう。
まとめ:現場発DXで「製造業の未来」を切り拓こう
製造業の未来は、人の知恵とデジタルの技術が調和するところにあります。
「スマホプッシュ通知による納期フォロー自動化」は、昭和以来の業界慣習を現実的な視点で乗り越え、現場起点で新しい可能性を広げる取り組みです。
バイヤーを目指す方、サプライヤーとして差別化をはかりたい皆さんも、ぜひ現実的な視点でこうした施策を積極的に検討してみてください。
業界全体で一歩踏み出せば、もっと「安心」「満足」「信頼」を生み出しやすくなるはずです。
私たち現場からの知見が、皆さまの新たなチャレンジの一助になれば幸いです。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)